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81.包み隠す(アッ・タクウィール)【4】

2007年11月19日 | ジュズ・アンマ解説
 続いてアッラーは預言者ムハンマド(アッラーの平安と祝福がありますように)の描写に移ります。「(人びとよ)あなたがたの仲間(ムハンマド)は、気違いではない。」「あなた方の仲間は」という表現は、マッカの人々の彼が気違いであるという主張が嘘である説明の始まりです。彼らはムハンマドが預言者の使命を受ける以前から彼と付き合いがあり、一緒に生活をしてきました。彼は純真で正義感に溢れ、成熟した理性を持っており、彼ら以上にそのことをよく知っている人はいませんでした。それがどうして、預言者の使命を受けた後に彼を気違いと呼ぶようになったのでしょうか。ムハンマド(アッラーの平安と祝福がありますように)は天使ジブリールのありのままの姿を目にしました。彼には東の方向の地平線に600の翼があります。「かれは、明るい地平線上にはっきりとかれ(ジブリール)を見た。」

 そしてムハンマドはアッラーから教えられたクルアーンの教えを出し惜しみません。「かれは幽玄界(ガイブ)(の知っていること)を出し惜しまない。」(幽玄界はガイブといい、目に見えない世界のことをいいます。天国や地獄、天使の姿、来世など目に見えないものはすべてガイブです。クルアーンの隠された意味もガイブといいます。)

  クルアーンは不信仰者が主張しているようなものではありません。「それ(クルアーン)は、呪われた悪魔の言葉でもない。」不信仰者たちは、クルアーンは悪魔の言葉だと言っていました。彼らが信じているのは、魔術師がジンの類の悪魔を使って最上天で盗み聞きをさせ、目に見えない情報を持ってこさせることでした。至高なるアッラーは、悪魔たちが真実、善、奇蹟を持ち合わせたクルアーンのような言葉を作ることはないと彼らに言っています。真実がこうであるのだから、「それなのにあなたがたは(それらのことを信用せず)何処へ行くのか。」つまり、あなた方がクルアーンを嘘とするやり方とはどんな道なのか?という意味です。

  最後にアッラーは、クルアーンが正しい道を望む人々のとっての教訓であると言っています。「これ(クルアーン)こそは、万人への教訓に外ならない。それはあなたがたの中、誰でも正しい道を歩みたいと望む者のためのものである。」 アッラーは人間に歩む道を選ぶ自由を与えました。生き方は、導かれたものとそうでない、迷ったものがありますが、人間の望みはアッラーの望みにかかっています。そのため、人間の望みは完全ではありません。このことは、アッラーが章の最後に言っていることでもあります。「だが万有の主、アッラーの御望みがない限り、あなたがたはこれを望むことも出来ないのである。」

 アッラーの望みは、人々を導くための使徒たちの派遣や、彼らが迷いの道を警告し人々を導くところに現れています。そして人間の望みは、この二つの道のどちらかを選ぶところに現れます。 至高なるアッラーは、かれの道を歩もうとする人に導きを与えます。「これによってアッラーは、御好みになる者を平安の道に導き、またその御許しによって、暗黒から光明に連れ出し、かれらを正しい道に導かれる。」(食卓章16節)「誰でもアッラーを信仰する者は、その心を導かれよう。」(騙し合い章11節)
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