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ムスリムの子ども教育4~家庭の土台の作り方(4)~

2018年07月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

ムスリムの子ども教育4~家庭の土台の作り方(4)~

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)子どもの教育(2:7:20~21:19) bit.ly/1PPruiy

  

前回は、家庭の土台作りとして、養育費に対する不安についてお話しました。今回はその続きです。

 

ムスリムは、自分の糧はアッラーの御手にだけある、ということを頭では知っていますが、その確信がまだ心に降りてきていないこともあるかもしれません。本来は、子どもの養育費はアッラーが担っておられるので、アッラーを信じていれば心配しませんが、その確信が弱いために、もしくは体が弱い、病気etc.の理由がある場合、子どもを持つことを遅らせることは、イスラーム的に許されていることです。それは、病気などのやむを得ない理由でなくても、まだ妊娠していない状態であれば、アッラーの糧への確信が弱いために、しばらく子どもを持たないと計画することは、イスラームで許されていることです。ただ、ここでは許されているかハラームか、という話ではなく、アッラーに対する礼儀と心の状態を考えることを薦めています。また、妊娠がわかったならば、母体に危険が及ぶなど何か理由がある場合を除き、中絶することは許されていません。それは殺人になるためです。

 

心配2)夫婦の信頼関係:

 

養育費の心配の次に、子どもを持つことを遅らせる理由は、夫婦仲の心配です。結婚した女性に、「なぜ子どもがほしくないのですか?」と聞くと、「本当にこの人とやっていけるかどうかもう少し様子を見ないと不安で・・」という答えが返ってくることがあります。夫婦喧嘩が多くて、全然理解し合えない、この相手と本当にこの先ずっと一緒に生活していけるのか、という不安があるうちは、安心して子どもを作れない、と言うのです。

 

夫婦仲に安心できない原因は何でしょうか。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が教えてくださっていることを実践してみましょう。ご夫婦二人が、お互いに、相手の権利を守ることを、自分の権利を主張することよりも優先すれば、必ず夫婦仲は最も素晴らしい形で完成します。また、二人の間に子どもが産まれることで、アッラーが、夫の心に慈悲とやさしさと思いやりを増してくださることもあるでしょう。アッラーに期待すれば、アッラーが自分に期待する人のことを失敗させるわけがありません。

 

こういった様々な妄想による不安が、子どもを持ちたいという自然な気持ちを妨げます。他にも、出産の痛みや妊娠中の苦しみや子育ての苦労について、シャイターンやシャイターンにささやかれた周りの人たちが女性にささやき、子どもを持つことを嫌悪させます。なぜなら、ムスリムが子どもを産むことによって、最後の審判の日に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が喜んでくださることになるからです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

 

《子どもを増やしなさい。そうすれば、私は最後の審判の日に、自分の共同体の人員の多さを誇るであろう。》ブハーリーとムスリム伝承

 

いろいろな不安を抱えて子どもを持つことをためらうことなく、ただ「預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の心に喜びを入れることができる」ということを期待して子どもを持つことを望む人もいます。

 

それでもシャイターンはあきらめずにささやくかもしれません。「今は、昔とは時代が違う。現代の子育ては、育児も教育もとても難しくお金もかかる。自分の子どもをちゃんと教育できなかったらどうするんだ。」

 

大丈夫です。すでに預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、私たちのどんな心配にもすべて回答を与えてくださっています。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

 

《もしも、あなた方のだれかが、自分の配偶者と性交渉をもとうとする時には、「アッラーの御名において。アッラーよ、私たちからシャイターンを退けて下さい。そして私たちに授けて下さったものからシャイターンを退けて下さい。」と言いなさい。そうすれば、そのときにアッラーが子をお授け下さった場合、悪魔がその子に決して害を及ぼすことはありません。》ブハーリーとムスリム伝承

 

アラビア語「 ビスミッラー。アッラーフンマ ジャンニブナッシャイターナ、ワ ジャンニビッシャイターナ マー ラザクタナー。」

 

これ以上に信頼のおける約束があるでしょうか。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、私たちの子どものことを、その子とアッラーとの関係を保証してくださっています。アッラーのズィクルによって産まれてくる子どもは一生シャイターンから守られます。

 

最後の審判が近くなると、このズィクルを忘れてしまい子どもを産む人たちが増え、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこうおっしゃっています。

 

アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)は言いました。

《アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は私におっしゃいました。「あなた方のうちで、ムガッラブーンがいます(もしくは別の単語)か?」私は言いました。「ムガッラブーンとは何ですか?」「彼らにジンが加わった人たちです。」》アブーダーウード、ハーキム伝承

ムガッラブーン:夫婦の営みにシャイターンやジンが加わり産まれた子ども。

 

こうしてアッラーのズィクルによることなく産まれた子どもには、シャイターンの害が降りかかってしまい、後になって、親が「なぜうちの子は親に背くのか。」「なぜこの子にはアッラーによるタウフィーク(成功)がないのか。」と驚き、その子による多くの苦悩に悩まされることになるかもしれません。それは親が、アッラーのズィクルによって、自分と子どもと配偶者をシャイターンから守らなかったためです。

 

ハラールの方法により得た収入とそのお金で買うハラールの食べ物:

 

ムスリムの子育てにおいて、大事なことのひとつに、子どもに与える食べ物をその入手方法もハラールにするということがあります。実は、ハラームの食べ物を与えて子どもを育てないことは、両親の喜びとなるような誠実な子どもになるかどうかに大変大きな影響があります。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

《ハラームによって育ったすべての肉体には、(地獄の)炎がふさわしい。》タバラーニー伝承

 

人を騙して手に入れたお金や嘘をついて手に入れたお金、賄賂を払って手に入れたお金、人に不正を働いて手に入れたお金、そういったハラームの方法で手に入れたお金で家族を養うことにより、望むと望まないとに関わらず、自分の子どもに取り返しのつかない大きな危険を与えます。子どもに及ぼすこの害は、親が、アッラーに対する確信が足りないことに起因します。子どもにおいてアッラーを畏れましょう。

 

また、子どもを持つことの意図を確認し、クルアーンで教えてくださっているドゥアーをしましょう。

رَبَّنَا هَبْ لَنَا مِنْ أَزْوَاجِنَا وَذُرِّيَّاتِنَا قُرَّةَ أَعْيُنٍ وَاجْعَلْنَا لِلْمُتَّقِينَ إِمَامًا

【そして、「主よ、心の慰めとなる妻と子孫をわたしたちに与え、主を畏れる者の模範にして下さい。」と(祈って)言う者。】クルアーン 識別章25-74

アラビア語「ラッバナー ハブ ラナー ミン アズワージナー ワ ズッリッヤーティナー クッラタ アアユニン ワジュアルター リルムッタキーナ イマーマー」

 

自分と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)とムスリム達にとって、心の慰めとなる子どもを御恵みくださるよう、このドゥアーでアッラーに求めましょう。子どもを持つ目的は、自分が年老いた時に世話をしてもらうためでも、子どもの卒業大学の名前や就職先を自慢するためでもありません。うちの子は○○大学に合格した、息子が医者になった、うちの子は弁護士になった、これらは、まったく取るに足らないことです。なぜなら、信仰者もアッラーに背く者も同じように、医者にも弁護士にもなるからです。自分の子どもが医者であっても、アッラーに背く人が、その子よりずっと名高い医者であるかもしれません。現世の職業や大学は、まったく自慢すべき対象ではありません。本当に自慢できるものは、その子が、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)にどれだけつながっているかどうかです。

 

子どもを授かった後にすること:

 

妻の妊娠がわかったら、夫はアッラーに感謝し、その子が男の子でも女の子でもアッラーのご加護があるように祈ります。妻は、アッラーがお恵みくださった子どもによって得られる大きな報償を思い出し、妊娠中のサブル(忍耐)によってアッラーが自分に満足してくださるよう願いします。妊娠中の気分の悪さや苦労や痛みに関して、アッラーに不満を言わないよう注意しましょう。なぜなら、それらの苦労によって、女性には、男性がどんなに努力し崇拝行為を行っても獲得できない高い位がアッラーから約束されているからです。妊娠中の期間をアッラーへのズィクルで過ごし、心をアッラーに向けましょう。母親が口にする嘘や悪口、中傷やハラームを見る一瞥(いちべつ)が、胎児に影響を与えることがないなどと思ってはなりません。それらは本当にすべてお腹の中にいる子どもに多大な影響を与えます。特に、ルーフ(魂)を吹き込まれた後(120日目以降)には要注意です。魂の知覚能力は理性の知覚能力よりも早く形成されるため、十分な注意が必要だからです。

 

出産が近づいたら、アッラーへのズィクルで過ごし、それによって、アッラーが出産を簡単にしてくださるよう願います。陣痛が起こり、耐えられないほどの痛みに襲われた時には、最初の陣痛が起こると、自分の過去の罪がすべて消されることを思い出しましょう。そのため、昔の敬虔な方たちは、出産が近い女性や、出産後の女性を訪問し、彼女に、「どうかアッラーが私を赦してくださるようにドゥアーしてください」と頼みました。なぜなら、出産によって、すべての過去の罪が消され、真っ白な状態になるので、罪のない彼女のするドゥアーは、アッラーに叶えてもらいやすいからです。

 

母親の徳はまだあります。イエメンのある男がハッジに行き、マッカの強烈な太陽の下、自分の母親をずっと背負い、母親のためにハッジ巡礼の崇拝行為を母親を背負ったまますべて行いました。彼は、イブン・ウマル様(アッラーのご満悦あれ)にこう言いました。「イブン・ウマル様、私はこれによって母親の権利を十分に報いましたか。」すると、イブンウマル様(アッラーのご満悦あれ)はこう言いました。「いいえ。まだあなたが彼女のお腹にいた時の、彼女の陣痛の痛みの1つでさえ(報いてはいません)。」

 

《一人の男がアッラーの使徒の所にやって来て「私は人々のうちで誰に一番つくすべきでしょうか?」と言った。

すると預言者は「あなたの母親です」と言った。

そこでその男は「その次は誰ですか?」と尋ねた。

すると預言者は「その次もあなたの母親です」と言った。

そこでその男はさらに「その次は誰ですか?」と尋ねた。

すると預言者は「その次もあなたの母親です」と答えた。

さてその男はさらに「ではその次は誰ですか?」と尋ねた。

すると預言者「その次はあなたの父親です」と答えた。》ブハーリーとムスリム伝承

 

このハディースでもわかるように、イスラームは女性に、男性が届かないほどの高い地位を与えています。子どもを授かることは、男性にとってはたった一晩、もしくは一時の快楽ですが、女性にとっては死の危険にさえさらされる出来事です。そのため、イスラームでは、母親の権利は、父親の権利に優るのです。

 


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