イスラーム勉強会ブログ

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続)ムスリムの子ども教育-26-番外編

2020年08月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-26-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(20:50~35:21)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「父は、私の兄に対してとても厳しく抑圧的で、暴力をふるうこともたびたびでした。兄は30歳近くになりますが、未だに父に聞かないと何も決められないようになり、父は娘の私に対しても、同じように厳しく、また、母に対しても、暴力をふるったり、他人や近所の人の前でも構わず激しく怒鳴ったりします。ところが、弟が産まれた途端、父の態度が豹変しました。弟に対してだけは、愛情あふれ、優しく、弟のことをとても大切に可愛がっています。私たちへの接し方とは完全に違います。私はそのことを父に抗議したことがありますが、父の態度は全く変わりませんでした。」

 

回答:

アッラーが、お父様を改善してくださいますように。イスラームでは、親は、男の子と女の子を差別しないだけでなく、すべての子どもを公平に扱う義務があります。一部の子どもにだけ良くすることは許されません。

アン=ヌウマーン・ブヌ・バシール様(アッラーのご満悦あれ)は言いました。

父が、私に与えた物を見てもらうために、私を連れて、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに行きました。すると、こう言われました。

≪あなたには、彼以外に、子どもがいますか?≫

「はい。」と言うと、手を組み、このように重ねました。

≪彼らの間を公平にしなさい。≫ナサーイーの伝承

 

同様の意味のハディースが多く残っています。イスラームにおいて、子どもの権利というのは、このように細かく決められています。

 

また一方、父親の権利というのも、イスラームではとても大きなものです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

アッラーの御遣い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところにある男がやって来ました。彼は老人と一緒でした。すると、こうおっしゃいました。

≪誰某よ、あなた方の同伴者は誰ですか?≫

彼は言いました。「私の父です。」

彼はおっしゃいました。

≪彼の前を歩かないようにしなさい。彼より先に座らないようにしなさい。彼を名前で呼ばないようにしなさい。≫アッタバラーニー伝承

 

両親と歩くときには注意してください。親の前を歩くことがないように。一緒に歩くときには、常に、親の隣か少し後ろを歩くよう気を配るのが、イスラーム的な親に対する礼儀作法です。また、親が立っているのに、自分だけ先に座ることがないように。そして、親を名前で呼ばないことです。この点は、最近、親を名前で呼ぶことが流行っていて、親子関係を良くするために、と言っている人たちもいますが、イスラームではそうではありません。子どもの悩みを聞いたり、子どもと遊んだり、子どもと信頼関係を築くことは、子どもが、親に対する尊敬の気持ちを持ち、礼儀を保つことと矛盾するものではありません。そして、最低限の礼儀として、親を、「お母さん」「お父さん」と呼ぶことがあります。

 

ただ、親の権利が、何よりも大きく、親は子どもに何をしても許される、ということはありません。イスラームにおいて、親の権利が大きいということは、親の責任が大きい、ということでもあります。常に、権利と責任は一対です。子どもに対する親の責任とは、ただ、子どもの養育費を支払い、食べ物や服を買い、教育を与えることだけではありません。子どもの、内面的な人格を形成するという責任もあります。

 

 

質問「この質問者の方の問題は、親の愛情が不公平に下の弟だけに傾いてしまっていることですが、親が、自分の子ども達の中で、ある子どもに特に愛情を感じてしまうことは、イスラームでは許されないことですか?」

 

回答:

愛情というのは、心の問題なので、一人に対し多くの愛情を持つこと自体は禁じられません。ただ、その愛情が、行動に移ってしまった場合、ある子どもだけに何か特別に与え、別の子どもには与えなかったり、ある子どもだけに優しい言葉をかけて、別の子どもの権利を害していたり、といった行動になってしまうと、それは問題です。しかし、この質問者の方のお父様は、若い頃は子どもに対して厳しく、最後に産まれた弟に、これまで注げなかった愛情を表しているだけかもしれません。ただ、自分の妻に対する暴力は、イスラームでは、本当に禁じられています。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、このお宅に行って、彼が妻に暴力をふるっていたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がどんなにお怒りになられるでしょうか。イスラームにおける女性の権利、妻の権利はとても大きなもので、妻への暴力は、アッラーによって必ず問われます。

 

しかし、私はこの娘さんに伝えたいことがあります。

ひとつは、これが、あなたの父親だ、ということです。こういった欠点もすべて含めて、彼が、アッラーがあなたのためにお選びになってお与えくださった、あなたの父親だ、ということです。アッラーは、あなたに大きなご褒美を与えるために、このお父様をお与えくださって、お父様があなたを害することに対して、あなたが善行で返して行くことができるチャンスをお与えくださいました。まず、アッラーにドゥアーをすることです。アッラーよ、どうか私の父を善くしてください、どうか父に悔悟を御恵みください、こういったドゥアーを沢山します。なぜなら、あなたはお父様のことが好きだからです。どんなに批判しようとも、もし今、お父様が事故に遭ってICUに運ばれた、と聞いたら、どんな気持ちになるでしょうか。今は、なんとも思わない、と言うかもしれませんが、実際に起った時にわかります。

 

もし、来世で、あなたの家族が全員天国に入っている時に、お父様だけが、あなたや家族に対する不正のせいで、地獄の炎で焼かれているのを見たくはないでしょう。もし見たくないと思うのであれば、お父様を許すことです。もちろん、許すことは難しいでしょう。しかし、あなたがお父様を許せば、アッラーがあなたの罪を赦してくださいます。来世で、アッラーにあなたの犯した罪をひとつひとつ見せられる時、アッラーが自分を許してくれたらどんなにいいかと切望する時を思い出してください。もし、今、あなたの心が、お父様を許す、という気持ちを持つことができれば、それは、来世でアッラーの御前に立った時に、アッラーがあなたを許してくださる吉報です。

 

そして、お父様があなたの気持ちを害するたびに、お父様に善いことをしていってください。悪いことをされたら、善いことで返してください。アッラーが、あなたの忍耐と努力によって、お父様の心を愛情深くしてくださるでしょう、インシャーアッラー。

 

 


タジュウィードの法則勉強会【3】

2020年08月14日 | タジュウィードの法則解説

タジュウィードの法則勉強会【3】

録音(ラジオトーク)
録音(過去勉強会から)

3.舌(アッ=リサーン اللسان)
18文字の発音場所。細かく分けると10か所、大きく分けると4か所。

  1)舌の最奥(2):喉に近い舌の付け根で軟口蓋を突き上げるようにしてق
            それよりも少し手前でك

  2)舌の中央(3):舌の中程を口蓋に当てて手前からج、次いでش、そして子音としてのي。

  3)舌の肩脇(2):舌の右側、または左側、あるいは両側を右上、または左上、あるいは上両側の臼歯の根元に至る部分に当て、舌を上口蓋に押し付けてض。
            右側より左側の方がやり易い。右側は難しく、両側を付けるのはさらに難しいが、預言者様ﷺとウマル様(彼にアッラーのご満悦あれ)は両側を付けられた。
            舌の肩脇から先までを犬歯から前歯にかけた歯の根元に至る部分に当ててل。

  4)舌の先(5) :舌の先を上前歯の根元から上の部分に当てて、ن。
            舌の先から腹にかけてを上前歯の根元から上の部分に当ててر。
            舌先の腹寄りを上前歯の根元に至る部分に当てて、ط、د、ت。
            舌の先と下前歯の先の間に隙間をわずかに開けて、ص、س、ز。
            舌先の腹寄りを上前歯の先に付けて、ظ、ذ、ث。

※参考文献:アル=ムフィード・アル=イルム・アッタジュウィード、ハヤート・アリー・アルフサイニー著
      ブグヤ・イバード・アル=ラフマーン、ムハンマド・ブン・シャハーダ・アル=ガウル著、ハビーバ中田香織訳

タジュウィードの法則勉強会【4】 


タジュウィードの法則勉強会【2】

2020年08月12日 | タジュウィードの法則解説

タジュウィードの法則勉強会【2】

録音(ラジオトーク)
録音(過去勉強会から)

●発音場所(مخارج الحروف):

1.口腔(アル=ジャウフ الجوف)
2.喉(アル=ハルク الحلق)
3.舌(アッ=リサーン اللسان)
4.唇(アッ=シャファターン الشفتان)
5.鼻腔(アル=ハイシューム الخيشوم)

1.口腔(アル=ジャウフ الجوف):
  喉の奥から口にかけての空間を指す。
  一箇所の発音場所から3つの文字が発音される。

  前の文字がファトハ(فتحة)の場合のスクーン(سكون)のアリフ(ألف)
  前の文字がダンマ(ضمة)の場合のスクーン(سكون)のワーウ(واو)
  前の文字がカスラ(كسرة)の場合のスクーン(سكون)のヤーウ(ياء)

  これらは長母音(マッド مد)の3文字で、それらには音が終わるはっきりした場所はなく、
  息を止めた時に音が止まる。

2.喉(アル=ハルク الحلق):
  6文字の発音場所で、3つの発音場所に分かれる。

  1)最奥部:ء ـ هـ  
  2)中部:ع ـ ح
  3)最前部:غ ـ خ

※参考文献:アル=ムフィード・アル=イルム・アッタジュウィード、ハヤート・アリー・アルフサイニー著
      ブグヤ・イバード・アル=ラフマーン、ムハンマド・ブン・シャハーダ・アル=ガウル著、ハビーバ中田香織訳

 

タジュウィードの法則勉強会【3】

 


タジュウィードの法則勉強会【1】

2020年08月08日 | タジュウィードの法則解説

 

タジュウィードの法則勉強会【1】

録音(ラジオトーク):

 【1-1】

 【1-2】

録音(過去勉強会から):

 

【われらが啓典を授け、それを真の読誦で誦む者たち、そのような者たちが彼を信じるのだ。そして誰でも彼を否定する者、それらの者たちこそは損失者である。】(2章121節)

●タジュウィードの歴史:
 アッラーの御言葉であるクルアーンはタジュウィードに基づいて啓示された。
 信頼おける大天使ジブリールはアッラーに示された読み方でそれを読み、預言者ムハンマド様ﷺはジブリールから聞いたとおりに啓示を受け取った。
 そして預言者ムハンマド様ﷺは教友たちにジブリールから受け取ったままの形のクルアーンを伝授し、それが啓示された通りに読み上げるよう彼らに言われた。
 彼ﷺは次のように言われている:まことにアッラーはクルアーンが啓示された通りに読み上げられるのを好み給う。

 ただ、アラビア語を解さない土地にイスラームが広がるにつれて、クルアーンの読み間違いが増えてしまうおそれが出て来たためムスリムの学者たちはクルアーンの改ざんが起きることを恐れた。
 そこでクルアーンを正しく読むためのルールを定める学者たちが現われたが、彼らはこのルールをタジュウィード学と名付けた。
 学者たちはタジュウィードの法則を自分たちで編み出したのでは決してなく、プロの読誦家らの読みが預言者ムハンマド様ﷺより伝わった読み方そのものであることに着眼することに目的があった。
 つまり後代のムスリムたちは前代のムスリムたちの読誦に使われていたルールに名称を付けたということである。

●タジュウィードの定義:
 より良くすること。
 各文字に、発音場所、性質、母音における権利を与えること。

●クルアーン読誦のマナー:
 アッラーは「純粋」で「正しい」行為のみを嘉納し給う。
 「純粋」とは、アッラーの御喜びを求めたものであり、
 「正しい」とは、聖法に適ったものを指す。

 そのためにも読誦者は読誦にあたって必要なマナーを身につけるべきである。
 その中でも重要なマナーが以下:

1.ハダス・アスガル(ウドゥーを失効する事項)から清浄であること。
  (つまり礼拝が出来る状態であること)

2.場所が清浄であること。

3.読誦の初めに御加護を求めること。スーラの初めから読む時、途中から読む時も同じ。
  根拠:【(信仰者よ、)あなたがクルアーンを誦む時には、追放されたシャイターンに対し、アッラーによるご加護を乞うのだ。】(16章98節)

4.悔悟章を除く全てのスーラを初めから読む際にバスマラを唱えること。
  (バスマラ:ビスミッラーヒッラフマーニッラヒーミ)

5.敬意を込めて、畏敬の気持ちをもってクルアーンを読むこと。
  【もし、われらがこのクルアーンを山に下し(、それがその約束と警告を理解し)たならば、あなたはそれが恭順となり、アッラーへの恐怖ゆえに砕け散るのを見たであろう。】(59章21節)

6.自分が読んでいる内容に思いを巡らせて読むこと。
  【一体、彼ら(偽信者たち)は、クルアーンを熟慮しないのか?】(47章24節)

7.無理のない範囲で、美しく読むよう努めること。
  ハディース:《皆さんの声でクルアーンを飾りつけなさい》
  美しく読む目的は、聴いている人にその内容を分かりやすくし、また聴くこと自体を楽しめるようにすること。
  しかしクルアーンを音楽のように読み上げることは禁じられる。

8.クルアーンを聞く者(生の読誦であれ、機械からの音であれ)は、それに聞き入り、読まれている内容を考えること。
  【クルアーンが読まれたら、あなた方が慈しまれるよう、それに耳を傾け、傾聴せよ。】(7章204節)

9.クルアーンをより良く読むよう努めること。

10.あくびが出そうな時はそれが去るまで読誦を止めること。

11.読誦の終わりには、アッラーが真実を仰せになったこと、また預言者ムハンマド様ﷺがそれを伝搬したことを証言すること。
   (サダカッラーフ・ル・アズィームと唱える)

12.必要時を除き、会話で読誦を途中で止めてはいけないこと。

13.慈悲についての部分を読んだら、アッラーに恩恵を与えていただけるよう祈願し、
   罰についての部分を読んだら、アッラーにそれから守っていただけるように祈願すること。


※参考文献:アル=ムフィード・アル=イルム・アッタジュウィード、ハヤート・アリー・アルフサイニー著


タジュウィードの法則勉強会【2】


      


続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

2020年07月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(11:43~20:50)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「小さい時から、父は女の私に対しては高圧的で、男の兄弟ばかりをかわいがりました。いつも兄弟を寛大に優遇し、女の私達にはお金を出し惜しみ、威圧的に命令し、恐怖を感じる存在でした。家では、何をするにも、男が女よりも不平等に優遇されました。

25歳になり子どもも二人いますが、今まで、私の方から父に優しく接しようとする度に、拒否され、今でも普通に話ができません。親への孝行が義務であることはよくわかっているのですが、父に良くしようとして拒否される度に、以前、父のことを必要だった時に拒否され続けた過去がよみがえって来ます。私は、どう親孝行をしていったらいいでしょうか。」

 

回答:まず、このお父様に告げなければならないことは、男の子を女の子よりも優遇することは、ジャーヒリーヤ時代(イスラーム以前の無明時代)の名残であり、その不正によって、地獄で罰を受けなければならないかもしれないという点です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

≪預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元にある男がいましたが、彼の息子がやって来ると、息子にキスをし膝の上に座らせました。そして彼の娘がやって来ると、目の前(の地面)に座らせました。すると、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は言われました。:二人を平等に扱わないのですか。≫アル=バッザール伝承

 

ここでの平等、というのは、息子と娘両方を膝の上に座らせるか、もしくは、二人ともを地面に座らせるかのどちらかです。ここまでの細やかさで、子どもに対し平等に接することを、イスラームは親に教えています。男の子を女の子よりも優遇することは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が嫌悪されたジャーヒリーヤ時代の名残です。

 

しかし、この投稿をしてくださった彼女に対して告げたいことは、お父様から受けた害のことを思い出されたように、お父様から受けた恩恵についても、どうか思い出してみてください、ということです。お父様は、あなたの存在理由となられた方です。お父様がいなければ、あなたはこの世に存在していませんでした。妻にもなれなかったし、母親にもなれませんでした。あなたを食べさせるために、お父様が昼に夜に、疲れて仕事をしていたことを思い出してください。あなたに食べ物を与え、服を着せ、養育を与えるために、お父様がどれだけの苦労をしたのかを思い出してください。あなたが大人になる過程で、またあなたが結婚する時、お父様があなたのことを心配してくれたことを思い出してください。

 

お父様はあなたへの愛情表現が足りなかったかもしれません。あなたを傷つけたかもしれません。しかし、最後には、あなたの父親です。私は、お父様へのこの彼女の不平不満は、好きだからこそ出てくるものだと知っています。もしあなたがお父様のことを好きでなかったなら、不平は出ないでしょう。ただ、不平等で不正を働く者として、お父様を遠ざければ済むことです。しかし、この手紙には、あなたがお父様を好きだからこそ出てくる不平不満が現れています。お父様のことが好きだからこそ、心の中にお父様への嫌悪が入り込むことに我慢できないのです。あなたが今、お父様に対して感じている愛情を、心から吐き出してみてください。どのように吐き出すのか?というと、お父様の恩恵を数えてみることによって、です。

 

私たちは人間です。間違えることもあります。もしあなたに対してお父様が間違いを犯してしまったとしても、他の点では、あなたに対して恩恵を与えているかもしれません。もしあなたのナフス(自我)が、お父様に対して悪いことを考えさせた時は、逆に、お父様の恩恵を挙げてみてください。

 

また、あなたがまだ小さく、お父様の助けなしには生きて行けなかった時、お父様はあなたに庇護を与えてくださいました。今、お父様は年を取り、この先どんどん年老いて行くでしょう。その時になって、あなたがお父様を必要としたように、今度は、お父様があなたを必要とします。お話したように、お父様はあなたに恩恵も与えたし、あなたの必要の一部は満たすことができなかったかもれませんが、お父様があなたを傷つけたように、あなたがお父様を傷つけることのないように。なぜなら、あなたはお父様を通して、アッラーと接しているからです。あなたのお父様への厚遇によって、アッラーのご満足を得られるからです。もし難しく感じたならば、礼拝に立ち、スジュード(跪拝)の時に、この善行を行うことができるよう、アッラーにドゥアーをしてください。アッラーがあなたの心を信仰と畏怖の念の光で洗い流し、あなたに、お父様を大切にすることによるハラーワ(甘美さ)を味わわせてくださいますように!

 

 

司会者「現代でも、この父親のように、男の子を優遇する親は多いように思います。息子と娘だったら、息子には高等教育を受けさせ、娘には受けさせないetc.、女の子を持つことの恩恵を感じない風潮が根強く残っています。こういった場合に必要なのは、イスラームの知識をもっと深く得ることでしょうか、それとも、自分が授かった子どもに対するアッラーへの満足を持つことでしょうか?」

 

先生:男の子と女の子のどちらが自分にとってより良いのかは、まったくわからないことを思い出すことが必要です。親に反抗する息子よりも、親孝行な娘の方がいいでしょう。また、親に反抗する娘よりも、親孝行な息子の方がよいでしょう。どちらが良いかは、性別にはまったく関係ないことです。

 

【アッラーの御許で最も貴い者は、あなたがたの中最も主を畏れる者である。】クルアーン 部屋章49-13

 

より良い人かどうかは、その人のアッラーとの関係、周りの人との関係によるのであって、性別は何の関係もありません。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこう言われました。

 

《誰でも女の子が産まれても、生き埋めにせず、軽蔑せず、彼女よりも息子(男の子)を優遇しなかった者は、アッラーが、彼女によって、彼を天国に入れてくださいます。》イマームアハマド伝承

 

《誰でも三人の娘を養い、彼女たちを満足させ、慈悲をかけ、親切にした者は、彼女たちによって天国に入ります。

ある男が言いました。「アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)よ、二人では?」

すると彼は言いました。「二人でも。」

もし誰かが「一人では?」と言っていたら、「一人でも」、とお答えになられたでしょう。》イマームアハマド伝承

 

これらのハディースが証明するように、男の子を女の子よりも優遇することには何の根拠もなく、ただのイスラーム以前の古い慣習です。

 

しかし、女の子よりも男の子の誕生を喜ぶのは、一概に性差別ではなく、現代の女の子の育て方の難しさもあるかもしれません。男の子が間違いを犯しても、女の子が間違いを犯しても、来世では同じ罰ですが、現世では、女の子の方がより多くの代償を支払うことになってしまうからです。婚外交渉の危険など様々な危険から、子どもを守ることにおいて、特に女の子の方が男の子よりも難しいです。ただ、それは、女の子に対する庇護をより強くするという方向に向くべきであって、女の子を嫌う、という方向に向くべきではありません。女の子が成長するたび、また思春期になっても、いつも父親が自分のことを心配してくれて、話を聞いてくれて、父親の愛情をいっぱい心に受け止めて育った女の子は、それ以外の異性の存在を探す必要がありません。反対に、父親の愛情を欲しても得られずに育った女の子は、思春期になると、異性の興味が自分に向くこと、異性が自分を認めてくれることを必要とするようになってしまいます。

 

アッラーが子ども達をお守くださいますように。

 


続)ムスリムの子ども教育-24-番外編~Q&A

2020年07月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-24-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(最初~11:43)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「子どもが小さい頃に一番最初に何がいいことで何が悪いことかを教えるのは母親で、イスラームのことを一番最初に教えたのも母親で、クルアーンの短いスーラを教えたのも母親です。しかし、私の息子は、母親を母親と思っていません。息子は、私にとても冷たく当たります。

ただ学校で試験がある時や必要な時だけ、ご機嫌を取りに来ることがありますが、すぐにまた元の冷たい態度に戻り、私の方を見ようともしません。息子は、父親にはおこずかいが欲しい時に優しく接していますが、私が息子と話がしたいと思っても、私のことを無視します。私の心は傷つき、血が流れています。どうか息子に向けて、番組からアドバイスをお願いします。」

 

先生からの回答

息子さんへ。あなたにアッラーの祝福がありますように。あなたのためにアッラーが扉を開け、善いことにおいてあなたを助けてくださいますように。あなたが、お母様が傷付いていることを考え、心に痛みを感じられていることを願います。あなたが、お母様がテレビ番組を通してさえ、あなたに話しかけてくれるよう頼む必要があるほど困難な状況に陥っていることを理解できたなら、あなたは、もう二度とこのような対応はされないでしょう。もしあなたが、現世と来世で幸せになりたいと望むのであれば、その鍵は、お母様のあなたへの満足にかかっています。お母様のお話から、あなたにはアッラーへの信仰がきちんとあることがわかります。試験の時にお母様に優しくなるのは、お母様があなたに怒っていたら、アッラーによる成功が見込めないことを恐れているからですよね。お母様のあなたへの怒りが、アッラーとあなたとの間のヒジャーブ(覆い)になることを知っている、これはすばらしいことです。あなたの心に、善いことがある証拠です。

 

どうかよく聞いてください。アッラーは、クルアーンでこうおっしゃっています。

 

【(アッラーは)目つきも、胸に隠すことをも凡て知っておられる。】クルアーン40-19

 

つまり、あなたが、試験の時だけお母様に優しくすることを、アッラーはよくご存知です。お母様の本当の価値は、自分で子どもを持って親となった時に、ようやく理解できるでしょう。あなたは、自分の子どもが、今、あなたがお母様に対してしているのと同じ態度で自分に接してほしいですか?あなたの態度に関わらず、お母様があなたに悪いドゥアーをしないことを知っているのならば、アッラーが、お母様の代わりにあなたに罰を与えるとは思わないのでしょうか。あなたの目から見て、もしお母様が間違いを犯していたとしても、お母様があなたにしてきた善行が帳消しになるわけではありません。あなたは、お母様にお世話をされて大きくなった、この事実は生涯変わることがありません。もしお母様がいなかったら、あなたは本来存在しなかった。もしお母様が10ヶ月間お腹の中で重くなっていくあなたを抱えて忍耐してくれなかったら、お母様が、大きくなったお腹の痛みで目が覚めて眠れない夜を過ごさなかったなら、あなたはこの世に存在することさえなかったのです。お母様のあなたへの善行は、何ものにも替えがたいほど大きなものです。

 

アッラーは、クルアーンの中で、こうおっしゃっています。

【あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが、あなたと一緒にいて老齢に達しても、かれらに「ちえっ」とか荒い言葉を使わず、親切な言葉で話しなさい。

そして敬愛の情を込め、両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)て、「主よ、幼少の頃、わたしを愛育してくれたように、2人の上に御慈悲を御授け下さい。」と(祈りを)言うがいい。】クルアーン17-23,24

 

アッラーは、最も重要なタウヒード(唯一神信仰)を両親への孝行と結びつけました。親孝行は、両親が、ムスリムではない不信仰者であっても義務です。

 

【われは、両親への態度を人間に指示した。人間の母親は、苦労に窶れてその(子)を胎内で養い、更に離乳まで2年かかる。「われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである。

だがもし、あなたの知らないものを、われに(同等に)配することを、かれら(両親)があなたに強いても、かれらに従ってはならない。だが現世では懇切にかれらに仕え、悔悟してわれの許に帰る者に従え。やがてあなたがたはわれに帰り、われはあなたがたの行ったことを告げ知らせるのである。」】クルアーン31-14,15

 

多神教徒の両親が、自分に多神を拝むように強いた時には従わなくていい、つまり、それ以外の時には、【懇切にかれらに仕え】ることが義務付けられています。

 

親孝行は先払いのようなものです。あなたが今、お母様にする孝行は、必ずあなたが父親になった時に受け取ることになります。また親孝行によって、すべての行いにアッラーによるタウフィーク(成功)が得られます。親孝行によって、この世で直面する様々な困難や災難、病気や不安、悩みごとなどは、すべて来世で確実にそのご褒美を受け取ることになります。アッラーのご満足の鍵は、お母様のご満足です。お母様があなたの態度に、傷つき、お怒りになって過ごされた夜は、あなたが礼拝をいくらしたところで償うことはできません。断食をしたところで償うことはできません。今、これを聞いた後で、立ち上がってお母様の手にキスをし、また、天国がその下にあるお母様の足にキスをし、お母様の頭にキスをし、お母様に赦しを求めることなしには、償えないことです。

 

お母様の権利は、お父様の権利よりも大きなものです。なぜ、お父様に優しく接することができるのでしょうか、お父様がおこずかいをくれるからでしょうか。悪いことをするとあなたに罰を与えるからでしょうか。アッラーの罰の方がずっと大きいものです。

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の有名なハディースがあります。

≪ある男が預言者のところに来て訊ねた。

「預言者よ。人々の中で、私が最も良く付き合うべき人は誰でしょうか?」

 預言者は言った。「あなたの母親です。」

 男は言った。「その次は?」

 「その次はあなたの母親です。」

 「ではその次は?」

 「その次はあなたの母親です。」

 「ではその次は?」

 「あなたの父親です。」≫ブハーリーとムスリムの伝承≫

 

どうか注意してください。あなたの人生のどんなことにおいても、アッラーからのタウフィークは得られません、もしお母様があなたにお怒りであれば。また反対に、どんなことにおいてもアッラーのタウフィークの扉が全開になります、もしお母様があなたに満足していたら。

 

そして、お母様へ。

あなたが息子さんについて心を悩ませておられることは、すべてアッラーがご存知です。そして、息子さんの態度に関わらず、あなたが息子さんに対して寛大に愛情深く接していることについて、アッラーは、天国であなたをもっと上の段階に入れてくださいます。あなたの息子さんは、アルハムドゥリッラー、ムスリムで、礼拝をしたりしているということは、貴女もご存知のように、現代の多くの国の多くのムスリムの子ども達の状態よりもずっと良い状態です。もちろん、だからと言って、息子さんの振舞いを正当化するつもりはありません。ただ、息子さんにはまだ良いところが存在している、ということを認めてあげましょう。

 

そして、もう一つ重要な点があります。あなたの振舞いを振り返ってみてください。息子さんがあなたに対してそういう態度になってしまう原因が、もしかしたらあなたの中にあるのかもしれません。もちろん、そうであったとしても、息子さんの振舞いは正当化されることはありませんが。もしあなたの振舞いに、原因となるようなものが見つけられなかったら、もしかしたら、アッラーは、あなたにこの災難をお与えになられ、あなたが、この災難に関し、アッラーに満足しているか、していないか、あなたの心をご覧になるためかもしれません。

 

もし、息子さんに対して、今と同じような気持ちを持ち続けるのであれば、家族が寝静まった頃、一人で起きて、ウドゥーをし、2ラカートのサラ―トゥルハージャの礼拝(必要を満たす礼拝)をしていてください。そしてスジュード(跪拝)の時にアッラーに心の底からお願いしてみてください。どうか今の涙をアッラーの前で流してください。「アッラーよ、どうか息子を正してください。私に対する態度を優しくしてください。息子の振舞いにバラカ(祝福)をお与えください。正しい道に導いてください。」アッラーに沢山ドゥアーをしてください。

 

なぜなら、あなたの息子さんは今、とても危険な状態にあります。もし今、誰かが、息子さんが外出したら、交通事故に遭うことをあなたに告げたら、どうするでしょうか?もちろん、あなたは、なんとかして息子さんの外出を止めさせようと必死になるでしょう。しかし、現在の状況、あなたに対する今の息子さんの態度は、交通事故よりももっと深刻で、他のどんな病気や災難よりも、息子さんにとってずっと危険な状態にあります。もし今息子さんが亡くなってしまったら、取り返しのつかないことになります。息子さんが眠りについた時、アッラーが彼にお怒りになっている、ということは、恐ろしく危険な状態です。このアッラーのお怒りを、あなたのドゥアーや夜の任意の礼拝で消してください。

 

私たちの子ども達が、親孝行ができますように。親に逆らうことから逃れられますように。

 

多くのご両親が、こういった類の子どもによる試験に遭います。彼らは、子どもの教育を欠いたわけではないにもかかわらず、子どもが親不孝に陥ります。預言者でさえ、子どもの親不孝に苛まれた方もいました。ヌーフ様(平安あれ)の息子は、不信仰に陥り、ヌーフ様(平安あれ)の忠告を拒否して、船に乗らなかったために不信者たちと共におぼれ死んでしまいました。アッラーは、ヌーフ様(平安あれ)の息子についてこうおっしゃっています。

【かれは仰せられた。「ヌーフよ、かれは本当にあなたの家族ではない。かれの行いは正しくない。あなたの知らないことに就いて、われに求めてはならない。われはあなたが無知な者とならないよう戒める。」】クルアーン11-46

 

こういった災難は、両親の天国での段階を上げるためにアッラーが用意された物です。親は、アッラーにすべてを託し、子どものためにドゥアーをし、アッラーが子ども達を導いてくださるようお願いすることだけが求められています。

 

アッラーが私たちの子どもを正しい道にお導き下さいますように!

 

 


続)ムスリムの子ども教育-23-番外編~Q&A

2020年06月30日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-23-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生18」(20:10~最後)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=7ZIe_KLHIRE   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「私の父親は、イスラーム大学の出身で、イスラームに関する知識が沢山ありますが、家では、イスラームとまったく反対のことをします。家族を大切にしない、母にひどく当たるなど、父の言動はとてもイスラームを学んだ人とは思えません。父がひどい言動をするたびに、父の知識は何の役にも立っていない、と絶望的な気持ちになります。どうしたらいいですか。」

 

回答:まず、あなたのお父様がムスリムとして良い模範ではなかったにも関わらず、こうしてアッラーが、あなたに導きをお与えくださり、善いことと悪いことの判断が正しくできる心をお与えくださったこと、善いことを好むきれいな心をお恵みくださったことに、感謝します。最初にすべてきことは、あなたが間違った道に傾かなかったことに対して、「アルハムドゥリッラー」とアッラーに深く感謝することです。

 

そして、その感謝をアッラーに表すためには、行動が必要です。どんな行動でしょうか。お父様の悪い言動に惑わされず、父親孝行をしていくことです。これが難しく聞こえることはわかっています。でもあなたはお父様のことを嫌悪している訳ではなく、お父様の言動に腹を立てているだけで、それは正しい怒りですが、あなたはお父様を嫌っている訳ではありません。なぜなら、あなたにとって、お父様は、あなたに恵みを与え良くしてくれた方、あなたが今ここに存在する原因となった方だからです。

 

今の状況において、あなたができることは、3つあります。

1.まず、お父様への真摯なドゥアーを毎日続けて行くことです。夜に任意の礼拝をして、スジュード(跪拝)をし、アッラーの前で泣いて懇願してください。

「アッラーよ、どうか父を導いてください!

父を地獄の炎からお救いください!

どうか父の状態を正してください!

父を、あなたへの崇拝行為に使い、あなたがお好きな状態にしてください!

父が学んだ知識を、罰するための証拠とせず、報奨を与えるための証拠としてください!!」

こう言いながら、必ずアッラーが叶えてくださると確信してドゥアーしてください。

 

2.お父様がどんなに悪い言動をしてきても、あなたは、善いことで返しましょう。難しいことはわかります。しかし、不可能ではないことです。お父様に良くしていくことです。善行を惜しまないでください。あなたがお父様に対して、善い言動をしていき、愛情を表してくことは、お父様の心をやわらかくします。お父様の心がやわらかくなったら、あなたのアドバイスを受け入れられるでしょう。アドバイスは直接的ではなく、何度も繰り返し言わないように注意します。

 

3.お母様への気遣いと親孝行。お父様がお母様に優しくできないのなら、あなたが、お母様にもっと優しく親孝行をしていきましょう。

 

この3つを行っていくことで、アッラーの元でのあなたの地位が変化します。あなたにはアッラーからすごい報奨が届きます。また、アッラーが、お父様を改善するために、あなたを使ってくださるようになります。あなたは、それができる方です。アッラーがあなたのお父様と私たちにお導きをお与えくださいますように!

 

 

視聴者からの電話相談:「私の娘は、義務のお祈りをしません。どうしたらいいですか。今、娘と一緒にあなた方のテレビ番組を見ているので、先生から、娘に忠告を与えてください。」

 

回答:娘さんに善いことをお望みになったことに対して、あなたにアッラーの祝福がありますように。これを見ている娘さんへ、どうかお母様があなたのことをテレビで相談されたことに対して怒ったりしないでください。見ている人にはあなた方が誰だかわからないですから安心してください。まず、あなたにお伝えしたいことは、お母様はあなたのことを愛している、ということです。もしあなたのことを愛しておらず、あなたに善いことを望まず、あなたを悪いことから守ろうと必死になっていなければ、こんな風にテレビに電話相談をすることはなかったでしょう。お母様はあなたのことを愛しています。

 

この人生には、様々な目標があり、叶えたいことがあり、またあなたが避けたいと思う災難もあります。生きている限り、人が、様々な心配事から完全に解放されて、心の底から安心できる方法はありません、ただアッラーとのつながりを持つ以外には。アッラーとのつながりを持つことの基本は、礼拝です。礼拝を、ただ、義務でやらなければならない面倒なこと、と捉えないでください。礼拝を、その瞬間は、確実にアッラーとつながることができる特別な瞬間、と捉えてください。アッラーに話しかけてください。アッラーがあなたに話しかけています。アッラーとあなたの間のこの約束の時間はかけがえのない重要なものです。

 

きっとあなたは礼拝したいと思っているでしょう。ただ、周りのお友達や学校のクラスメートに、礼拝への願望がないのかもしません。どうか礼拝している友達を探してみてください。あなたが礼拝を守ることを簡単にしてくれる友達を探してみてください。そして、もしあなたが、うっかりして義務の礼拝を逃してしまった時には、お母様があなたに怒りだすのを待たずに、自分から立ち上がってカダーの礼拝(埋め合わせの礼拝)をしましょう。そして、アッラーにドゥアーをするのです。

 

≪アッラーフンマ アインニー アラー ズィクリカ ワ シュクリカ ワ フスニ イバーダティク≫

 

このドゥアーはそんなに長くないですから、覚えて唱えてみてください。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ムアーズ様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)にこうおっしゃいました。

 

≪ムアーズよ、実に私は、アッラーに誓ってあなたのことが好きです。だから、すべての礼拝の後にこう言わずにいてはいけません。:アッラーよ、どうかあなたを思い出すことと、あなたに感謝することと、あなたへの崇拝行為をきちんとできるように、私を助けてください。※≫ アブーダーウード、ニサーイー伝承 

※アラビア語≪アッラーフンマ アインニー アラー ズィクリカ ワ シュクリカ ワ フスニ イバーダティク≫≫

いつもこのドゥアーを唱えてみましょう。アッラーが全力であなたを助けてくださるのを感じることができるでしょう。

 

 

視聴者からの電話相談:「アッラーに対して善い見方をしなければならないことはわかっていますが、時々、シャイターンのささやきが入って来て、アッラーのことを悪く考えるよう自分にささやきかけます。どうしたらいいですか。」

 

回答:シャイターンのささやきは、相手にしないことが一番です。相手にしない、というのは、それを聞き続けたり、議論したりしないことです。ぼんやりしている時に、アッラーに対して悪いささやきが入って来たら、立ち上がってウドゥーをし、礼拝して、ズィクルをします。その考えを追いかけないことです。シャイターンのささやきは、長いロープのような物です。それを引き抜こうと引っ張ると、どこまでも続いて終わりがありません。治療法は、無視すること、そして、それを嫌悪すること、アッラーへのズィクルをして自分を忙しくすることです。

 

 

視聴者からの電話相談:「自分を害する相手に対して、イスラームでは、相手に対して善いドゥアーをするように、とよく聞きますが、自分にはとても難しくてできません。自分に悪いことをする相手に仕返ししてはいけないのですか?」

 

回答:あなたは、自分を害する人に対して、ドゥアーをすることが、とても難しいということですが、アッラーがあなたを祝福しますように。それはもちろん難しいことです、しかし、完全に不可能なことでもありません。まず、それをするためにあなたを助ける初めてのステップがあります。

 

まず一つ目のステップは、相手にドゥアーをすることの方が仕返しをするよりも良いことだ、と認めることです。不可能だ、とか、ドゥアーをすることは良くない、と言わないでください。仕返しよりもレベルが高い対処法は、ドゥアーをすることだ、と認めることが第一歩です。

 

二つ目は、これまでの人生を振り返って、自分も誰かに対して間違えを犯したことがある、と気付くことです。そして、最後の審判の日に、アッラーの御前に立った時に、自分がこれまで犯した数々の過ちを、アッラーが許してくださることを望むことを思い出します。アッラーは、私たちに、相手を許すことを奨励し、あなた達は、私に許されることを望みませんか、とおっしゃっています。

 

【かれらを許し大目に見てやるがいい。アッラーがあなたがたを赦されることを望まないのか。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。】クルアーン 御光章22

 

あなたが自分を害する人を許し、彼のためにドゥアーをすればするほど、アッラーはあなたをお赦しになられ、過去にあなたが害した人達に対して、あなたを許すことに満足する気持ちをお恵みくださいます。あなたが彼を許すことに満足したように。

 

このことを実行に移すのを簡単にするために、どうか、昔の敬虔な方たちのお話を読んでみてください。預言者伝(スィーラ)やサハーバ物語、アッラーに近しい人達がどのように自分を害する人達に接していたのか、読んでみてください。でも彼らは自分とは違う、、、と言わないでください。預言者達(彼らに平安あれ)はアッラーに罪を犯さないよう守られていますが、他の人達はそうではありません。それでも、彼らは人を許し、人を許すことは可能なことです。アッラーが私たちとあなたの心に、人を許す高徳さをお恵みくださいますように。最初は、難しく感じるかもしれませんが、継続していくうちにアッラーがあなたを助けてくださり、簡単にしてくださるでしょう、インシャーアッラー。

もし、彼にドゥアーをしてあげなければ、彼は、あなたに対する害を継続するか、もし止めたとしても、あなた以外の人を害することを止めないかもしれません。しかし、もしあなたが彼に導きをドゥアーしてあげたら、彼は善良な人となって、あなたに対する害も止め、あなた以外の多くの人に対する害も止めるでしょう。そうすれば、あなたが人々への彼の害を止めたことになります。

 

アッラーが私たちの心を正してくださいますように✨ ✨ ✨

 

 


続)ムスリムの子ども教育-22-番外編~Q&A

2020年06月24日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-22-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生18」(最初~20:10)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=7ZIe_KLHIRE   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの質問:「10代の私は、親に対して感謝するつもりはない。親のせいで私の人生はメチャメチャになった。親はハラームのことをしてお金を稼ぎ、そのハラームのお金を私達子どもに食べさせておきながら、良いムスリムになれ、親を尊敬しろ、と言う。できるわけがない。私の親は、目標でも 見本でもない。」

 

回答:イスラームでは、両親というのは、彼らを通して、アッラーへと近づく存在、親孝行によって、アッラーのご満足を得る存在です。親に対して、疑問に思うことを尋ねたり、話し合ったりする際には、親に対する礼儀があり、親に対しての言葉遣いの礼儀は、それを守ることで、子ども自身がその利益を受け取るものです。しかし、彼女がこういったことを言うのは、彼女自身がとても深く傷ついているからであり、彼女には親の愛情が今とても必要です。もし、これを聞いて、自分の子どももこう思っていると感じた親御さんたちは、どうかお子さんを、愛情を持って抱きしめてあげてください。

 

しかし、彼女がここで言っている内容は、親自身に対する真剣な批判で、ハラームのお金を家に持ち込むことは、親自身が考え直さなければならないことです。彼女は、自分がそのお金で食べていかなければならないことを知り、絶望しています。親御さんたちは、この真剣な訴えに、しっかり耳を貸さなければなりません。

 

また、子ども達に忠告したいことは、どんな親であっても、アッラーがあなたに与えた親に対する恩義があるということです。どんなに沢山罪を犯している親であっても、どんなに自分に対し間違いを繰り返そうとも、無視することができない、忘れてはならないことがあります。それは、彼らは、貴方がこの世に存在する原因となった存在だ、ということです。彼らがいなければ、貴方はこの世に存在していない、という恩です。

 

◇子ども教育以外の質問~番外編

質問:「夫が亡くなり、4歳の娘と2人で暮らしています。夫が残した遺産から生活費を捻出していますが、その遺産に、ザカート(義務の喜捨)はかかりますか?」

 

回答:遺産であっても、額がニサーブ(金85グラムの金額)を超えていたら、一年ごとに2.5%のザカートを支払う義務が発生します。毎年、一年に一度だけ、2.5%のザカートを支払うことで、残りのお金にアッラーがバラカ(祝福)をお与えくださいます。ザカートを支払うことで、生活費の中にアッラーのバラカ(祝福)が現れ、その影響は、それを使うご本人と、娘さんにも現れるでしょう。

 

 

質問:「私は今、ヒジャーブをしていませんが、ずっとヒジャーブは義務だと思っていました。しかし、イスラームをよく知っている友人は、義務ではないと言っています。女性にとって、ヒジャーブをかぶることは義務ですか?それともスンナや、できればやった方がいいことですか?」

 

回答:すべての学者の一致した見解では、ヒジャーブは、女性にとっての義務です。イスラーム学者や、イスラームを少しでも学んだことがある人なら、女性にとって、手と顔を除く全身を覆うことが義務であり、ヒジャーブが義務であることを知っています。これは、すべてのイスラーム学者が一致していることで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代から現代におけるまで、変わることのない義務です。もし誰かが、この点について異なる意見を言ったとしたら、それは、明らかに詐欺であり、宗教を弄んでいるだけでしょう。

 

しかし、現在ヒジャーブをしていないけれど、ヒジャーブが義務であることを知っていて、アッラーに対し恥ずかしさを感じている女性は、ヒジャーブの義務を否定しヒジャーブをしない人達よりも、ずっと優れた状態にあり、アッラーの元でより高い地位にいます。なぜならば、イスラームにおける義務である「ヒジャーブの義務」を否定することは、「ヒジャーブをしないこと」よりもずっと大きく危険な罪だからです。ヒジャーブをしていない人がすべきことは、宗教を弄ぶことではなく、自分の罪を自覚し、アッラーに赦しを乞い、アッラーのお導きと真実へ戻ることができるよう、ドゥアーをしていくことです。

 

また、ヒジャーブをしていない女性に対して、まるで何の価値もないように振る舞ったり、彼女のすべてを否定したり、彼女はイスラームについて何も知らない、と断罪したり、批判したりすることは、イスラームにおいて正しい行いではありません。また反対に、ヒジャーブの女性が悪い振舞いをすると、「あれでは、ヒジャーブの意味がない!」と言うこともおかしなことです。ヒジャーブは女性の義務です。その女性はヒジャーブの義務を遂行している、ただそれだけです。ヒジャーブの女性の中にも、優れた人徳の女性もいれば、間違いを犯す女性もいます。ヒジャーブの女性がすべて、イスラームの先生であるかのように勘違いする人がいますが、ヒジャーブの女性の中にも、嘘をついたり、人を騙したり、悪行を行う人もいます。

 

現在は、特に、ヒジャーブの女性が少ない地域では、ヒジャーブの女性の言動に何か少しでも間違いを見つけると、「見て見て!ヒジャーブの女性が、あんなことをしている!」と言ったりしますが、彼女はヒジャーブの義務を行っているけれど、他の事では間違えてしまった、というだけのことです。その間違いに対してはアッラーが彼女を清算するでしょう、ただそれだけです。また、ヒジャーブをしていない女性であっても、高い人徳を持ち、すばらしい女性も沢山います。その高い人徳のバラカ(祝福)によって、アッラーが、彼女たちにヒジャーブの恩恵をお恵みくださるでしょう、インシャーアッラー。

 

 

質問:「夢で預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を見るために、何をすればいいですか?」

 

回答:この質問をされた方には、アッラーによるタウフィーク(成功)があったということです。アッラーが、彼の心の中に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に対する熱望をお恵みくださったからです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、こうおっしゃいました。

 

≪夢で私を見た者はいずれ目が覚めているときに私を見るであろう。

あるいはあたかも目覚めている状態で私を見るであろう。

なぜならば悪魔は私の姿を真似できないからである。≫ムスリム伝承

 

これは、私達に預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を恋しがらせるためだけにおっしゃったことでしょう。

ご質問は、どうすれば預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を夢で見られるか、ということですが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への熱望が強くなれば、見ることができます。継続して行っていくことで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の夢をお恵みいただける4つの事柄をご紹介します。

 

1.預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)への祝福祈願を沢山行う

 

2.預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を愛すること(シャマーイルやスィーラ等の預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の伝記やお話を常に読んで、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に愛着を覚え、彼への尊敬と愛情で心を満たすこと)

 

3.彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のスンナを賞賛し強化すること。そのご人徳やスンナの行いを自分が模倣することに尽力すること。

 

4.彼(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のウンマ(イスラーム共同体)に対し尽くすこと。自分の周りのムスリムのウンマに対し、自分に何ができるかを常に考え実行していくこと。このことによって、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に近づくことができる。

 

祝福祈願は心がこもっているかどうかが大きなポイントになります。心のこもった祝福祈願を継続していくこと、です。

 

アッラーが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を現世と来世で拝見できる幸せを、私たちにお恵みくださいますように✨ ✨ ✨

 

 


続)ムスリムの子ども教育-21-思春期の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問5

2020年06月14日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-21-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(46:00~最後)@イエメン

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「最近、父が亡くなりました。亡くなった父を、母はとても恨んでいて、父から受けたひどい扱いについていつも話します。最近産まれた自分の子どもに、父の名前を付けようと思っていますが、母からは、絶対に父の名前をつけるな、と反対されています。母の話を聞いて、父への尊敬が揺らいでもいます。どうしたらいいでしょうか。」

 

先生の回答:「あなたの状況はよくわかりました。まず、イスラームにおける父親の権利と母親の権利というところからご説明します。亡くなったお父様に対する権利は、彼のためにドゥアーをすること、お墓を訪問すること、彼の友人や兄弟姉妹に良くすること、です。また、あなたにとっての母親の権利というものもあります。そして母親の権利は、父親の権利よりもより重要です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにあるように、誰に一番尽くすべきか、という質問に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、あなたの母親です、次もあなたの母親です、その次もあなたの母親です、と三回繰り返し、その次は?と四回目に尋ねられて初めて、あなたの父親です、とおっしゃいました。

 

しかし、父親の権利を果たさないことが、母親の権利の一部に含まれることはありません。つまり、母親を満足させるために、父親の権利を果たさない、ということはできません。そこにはバランスがあります。母親の権利が父親の権利よりも大きいからと言って、母親の権利を使って、あなたに、父親の権利を放棄させる、ということはできないのです。亡くなられたお父様の権利を果たすことは、お母様を傷つけることなく行うことができます。両方の権利を大切にするために、お母様を傷つけない方法で、お父様の権利を果たすことだけに集中してください。

 

また、もし、お母様に会うたびに、亡くなったお父様の悪口を聞くことに耐えられないのであれば、お母様が落ち着いている時を見て、お母様に声をかけてみてください。決して、お母様に、「あなたは間違っている」、とか、「亡くなった父の悪口はもうやめてくれ」、などと直接言ったりしないように気を付けましょう。お母様は、あなたが、もう自分の味方ではなくなり、すっかり父親の味方になってしまったと感じてしまうからです。そうではなく、「お母さん、お父さんは間違っていたかもしれない、お母さんを傷つけてしまったし、苦しめた。僕にはお母さんの苦しみを全部わかってあげることはできない。でも、お父さんはもう死んでしまったんだ。もうここにはいない。ただアッラーのご慈悲があるだけだよ。」一度だけ、こう話して、お母様の手を取って、しっかり慰めてあげてください。お母様が、あなたがお母様のことを本当に大事に思っている、と心から感じられるように、側にいてあげてください。もしかしたら、お母様は、お父様が亡くなったことで、あなた達の気持ちがお母様から離れて、お父様の方に関心が行ってしまった、ひどい目にあって来た自分は子ども達に忘れ去られてしまった、と感じ、寂しく感じているのかもしれません。

 

また、お子さんの名前については、問題ありません。お父様の名前を付けることは、お父様に対しての義務ではないし、あなたがお父様に対してできることはもっと他にたくさんあります。お母様を傷つけない形で、お父様の権利を果たせばよいことです。他の良い名前を付けて、お母様を満足させてあげてください。」

 

司会者「彼の問題は、一般的によくあることです。子どもが、父親と母親に意見の相違がある場合、どちらの側に付くべきか?とても悩みます。また、子どもが父親に対して嫌悪感を抱く一番の理由は、父親が母親に対してひどいことを言った、母親に暴力を振るった、母親を大切に扱わない、こういったことで、そこから、父親を嫌悪するようになることがよくあります。しかし、子どもには、親の喧嘩の原因をすべて理解できる訳ではありません。子どもは、父親の側につくか母親の側か、どうやって選んだらいいのでしょうか。」

 

先生の回答:「この問題の核心は、どちらに付くかという点ではありません。根本は、子どもの見ている目の前で、親が互いの意見の相違を見せてしまい、喧嘩をすること、それ自体です。もし父親と母親の間に問題が生じたのなら、二人で部屋に入り、子ども達のいないところで、それを解決すべきです。子どもから遠く離れたところで、自分たちだけで問題解決をすべきです。子どもの目の前で、両親が言い争っているということが決してあってはなりません。子どもが思春期を過ぎて、親の問題を一緒に解決できる年齢になっており、教育的に問題を子どもに提示するのであれば別ですが、そうでなければ、決して子どもの前で夫婦の意見の食い違いを話し合うべきではありません。

 

まして、父親が母親に怒鳴っている、暴力を振るっている、母親が父親に向かって叫んでいる、、、こんな姿を子どもに決して見せるべきではありません。もし相手が急にそういったことをしてきても、子どもの前でそれが起きるのを避けるため、トイレでもお風呂場でも行って、その場を離れましょう。両親のそんな姿を見てしまった子どもは、精神的にとても不安定になります。子どもの心が破壊されます。親のそんな状態を見せておきながら、自分の両親を尊敬しなければならない、と言われる、子どもは訳が分かりません、これは、とてもとても大きな問題です。これは、子どもの問題ではなく、親の問題です。

 

しかし、もしも自分の親がこういった状態で、親の夫婦喧嘩を見てしまった場合、アッラーは、あなたにこういったことを、家庭を持った時には決してしないように、という教訓を与えてくださっているのだ、と理解しましょう。それはアッラーの英知です。あなたは、親の喧嘩を見てしまった、それがどんなに子どもにとって辛い経験か、よくわかっています。あなたにはそれが理解できます。あなたの子どもに、この苦しみを決して味あわせないようにしよう、と決意してください。

 

また、注意しなければならないのは、あなたがどんなに親の欠点を見たとしても、それを、親への礼儀を欠く言い訳にすることはできない、という点です。あんな親は、親孝行される資格がない、、、そんなことはありません。どんな親であっても、親の欠点が、あなたに対する親の権利を無効にするわけではありません。父親が、どんなにひどい人であっても、あなたは、父親に対して礼儀正しく接するべきであり、母親がどんなにひどい人であっても、あなたは、母親に対する礼儀を欠くことは許されません。なぜなら、アッラーが、私たちにそう命じているからです。親がムスリムであっても、ノンムスリムであっても同じです。

 

親孝行は、アッラーが私たちに義務付けていることです。親孝行は、崇拝行為です。欧米でも日本でも、親にどう接するかは、ただ家族の問題、社会的な問題だと思われていますが、イスラームは、そうではありません。このことは、最近のアラブ圏の若者達にも、しっかり時間を取って説明しなければならなくなってきていますが。イスラームでは、親に対する振舞いは、もっと重要な問題です。私と父の関係は、それによってアッラーへと近づく崇拝行為です。母との関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、とても大切なものです。また、両親にとっても、子どもとの関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、崇拝行為です。この点が理解できていれば、親が自分に何もしてくれなかった、親にひどいことをされた、という狭い枠から解放され、違う視点を持つことができます。」

 

アッラーが私たちに親孝行をお恵みくださいますように✨ ✨ ✨

 

 


続)ムスリムの子ども教育-20-思春期の子ども達とのかかわり方(11)視聴者からの質問4

2020年06月09日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-20-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(34:44~46:00)

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(11)視聴者からの質問4

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「前回の父親を憎んでいるA君からの手紙を聞いて電話しています。僕も、父のことが大嫌いでした。昔から両親の喧嘩が絶えず、父と母が争っているのを見て、ある日、母に同情するあまり、父に反抗的な態度を取ってしまいました。

父はまもなくして、交通事故で急死しました・・・。父の生前、自分は父にとって、反抗的で親不孝な息子だった。特に、あの日、父に対してとったひどい言動を思い出すと、悔やんでも悔やみきれない後悔の念に苛まれます。父が亡くなってしまった今、もう父が、自分の罪を許してくれる方法はないのでしょうか。」

 

先生の回答:あなたのその「後悔」の念が、すべてを可能にするでしょう。誠実な悔悟には、後悔の念が伴います。あなたが、自分の行いを反省し、アッラーに悔悟し、赦しを乞うことが、お父様への償いの第一歩であり、自分の罪が赦されないかもしれない、という不安を拭い去ります。お父様がすでに亡くなっていても、です。

 

まず、お父様が亡くなった後、あなたの前には、たくさんの親孝行の扉が開いています。お父様の墓を訪問すること、お父様のためにドゥアーすること、クルアーンを詠み、その報償をお父様に贈ること、お父様への報奨となるように、というニーヤ(意思)でサダカをすること、ハッジやウムラ巡礼を、自分の義務を遂行した後、お父様の代わりに行うこと、お父様のご親戚や血縁関係のある人達と良いつながりを持つこと、彼らを訪ね、近況を聞き、彼らに孝行すること、お父様のご友人や同僚達に良くすること、こういったお父様への親孝行は、お父様のところに届き、お父様がそれらを感じます。お父様の墓の前に立ってサラームを言い挨拶したら、お父様はあなたにサラームを返し返事をし、あなたのことを感じます。お父様の魂は、あなたの気持ちを感じます。

 

前回の父親を抹殺してほしいというA君の手紙の後、こうして同年代の彼から、父親を亡くした体験が寄せられたことには意味があります。どんなに親を憎んでいても、親は親であり、親の本当の価値は、亡くなって初めて気付くものだ、ということを、彼の体験は伝えてくれています。親の権利は、とても大きいものです。もし、今、A君がこのテレビを見ていたら、もしくは、この社会に存在する、A君と同じ気持ちを持っている大勢のA君達がこれを見ていたら、伝えたいことがあります。

 

もちろん、あなたのお父様は間違いを犯しました。あなたをこんな気持ちにさせるほど、とても大きな間違いを。しかし、あなたは、お父様と関わり合うのではなく、アッラーと関わり合っています。アッラーと関わり合う以上、親には、それがどんな親であっても、自分を害する親であっても、間違いを犯している親であっても、親というものには権利がある、ということを知っているでしょう。もちろん、親に間違いを犯す権利がある訳ではないので、親があなたにしたことは、アッラーがすべて清算してくださいます。ただ、そういう親であっても、あなたにとって、親というものは権利を有している、ということです。

 

あなたは実はお父様のことが好きなのです。静かに自分の内面を見直してみるとわかるでしょう。あなたは、決してお父様を嫌っていない。もしお父様が亡くなったら、最初に涙を流すでしょう。あの手紙は、あなたがいかにお父様を愛していて、それゆえお父様の言動によって深く傷つけられていることが表現されていました。繰り返されるお父様の言動により、大嫌いだ、と叫ばざるを得なくなった、しかし、それは本心ではありません。お父様が嫌い、というその幻想から抜け出してみることです。そこでわかる事は次の3つのことです。

1.自分がお父様のことを愛していること

2.お父様はあなたの権利を侵害し、間違いを犯したこと

3.その間違いは、修繕可能なこと

 

お父様に静かに話しかけてみたことはあるでしょうか。「お父さん、お父さんのことが好きだから、嫌いたくない。でもお父さんから○○や△△と沢山聞かされて、疲れてしまった。もちろん自分は間違いを犯すから、どうか忠告してほしい。でもその時、お父さんは、僕を破壊するために言ってるんじゃなくて、僕のためを思って言っているんだってわかるようにしてほしい・・・」こういう話し合いを、ぜひお父様としてください。もしそれでもお父様が頑固で、あなたのことを受け入れなかったら、お父様の間違いによって築かれてしまった壁を、お父様の感情に訴える「愛情」によって打ち壊していってください。その「愛情」の道具は、お父様に対して誠実であること、優しくすること、気に掛けること、尽くすこと、愛情表現をたくさんしていくこと、あなたはお父様から愛情に基ずく誠実な関係以外何も求めていないのだ、とお父様が確信するまで、それを続けてください。

 

司会者「彼が父親のことを愛していて、もし死んだら一番に泣くのは彼だというのは同感です。それに加えて、父親の方も息子のことをとても愛しているはず、ただ、自分の息子が一番になってほしい、と思っているはずで、、もし息子が死んでしまったら、一番に泣くのは父親でしょう。」

 

先生「あなたの言葉によって、ひとつの問題が浮かび上がります。私たちはどちらか一方の死を待たなければ、愛情を表現できないのだろうか、という問題です。なぜ普段から、父親が息子に、「大好きだ」と伝え、息子が父親に、「大好きだ」と伝えられないのでしょう。どちらかが死ぬまで、自分の愛情を秘めておかなければならないというのはどういうことでしょうか。いつも母親が娘に「大好き」と言い、息子が母親に「大好き」と言う、簡単なことを、なぜ災難が来るまでせず、愛情表現に「ケチ」になってしまうのでしょう。父親が事故に遭い、息子に事故にあって亡くなるまで、お互いの愛情を表さないのでしょうか。いつも親に対し、子どもに対し、愛情を表しているべきです。

 

何度もご紹介した通り、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ご自分の子どもにも親戚の子どもにも全ての子どもに、常に大きな大きな愛情を惜しみなく注ぎ、それを伝えていました。男たるもの感情的になるべきではない、などということはまったくありません。誰が自分の子どもに対する愛情を秘めておくことが男らしさの象徴だと言ったのでしょう?!感情的になって愛情を伝えることを女々しいという価値観はどこから来たのでしょうか?!預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、大人にも子どもにも感情豊かに愛情を伝えていました。愛情表現に関し「ケチ」になることはありませんでした。

 

司会者「もし親が息子にひどい言動をしたとしても、息子が親孝行の徳を知り、その大きな報償を知って親孝行をしたならば、彼にはアッラーからのすばらしい報奨がありますよね。」

 

先生「そうですね、あなたの言葉は、先ほどのA君への言葉です。

A君、そして、この社会に存在する大勢のA君達、あなた方の前には2つの選択肢があります。ひとつは、親に対する怒りを持ち続けるという道、そしてもうひとつは、この問題を解決する道です。

 

もし怒りを継続する道を選んだとしたら、あなたはそれによって疲弊し、苦しめられ、親との最悪の関係を続け、親子関係を破壊します。もうひとつの道は、これを解決すると決意する道。さぁ、どうやって解決するのでしょうか。まず最初の解決策は、自分に対し誠実になることです。自分自身に話しかけます。あなたはアッラーのしもべです。あなたにはあなたの主がいます。親と自分という双方向の関係だけではなく、3つ目の存在があり、その存在との関係性があります。親子関係を包括する3つ目の存在があり、アッラーとの関係があります。

 

あなたはアッラーとの関係を築いていて、アッラーが自分に満足してくださることを求めています。アッラーはあなたに対して試験を与えました。アッラーのご満足を、あなたの親があなたに満足することに結びつけたのです。そして、親不孝は、シルク(アッラーと並べて何かを崇拝すること、偶像崇拝)に続く大罪となさいました。

 

【17-23.あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。】

 

このことは、アッラーがあなたに運命づけた物です。あなたが、あなたの親を選んだわけではありません。アッラーがそれをお決めになりました。この言葉は、多くの子どもにとって耳が痛く苦しい言葉だと言うことはわかっています。しかしこれは事実で、私たちはこのことを知っておく必要があります。そして、驚くかもしれませんが、これはあなた達にとって必ず善いことです。アッラーがあなた達に運命づけたことは、必ずあなた達にとって善いことだからです。なぜなら、この関係によって、あなた自身の自我の形成が促進され、自分自身の成長につながります。例え父親が間違いを犯しても、その間違いが耐えられないほど甚大な被害をあなたに与えたとしても、その関係をあなたが作り直す必要があります。自分の中の自我に打ち勝たなければなりません。どうやって自我に打ち勝つのでしょうか。

 

あなたを破壊した父親に対して、アッラーに対する振舞いをしていくこと、アッラーを目的にして行動して行くことです。アッラーを目的にして行動する以上、父親からの反応はまったく期待しません。あなたが父親に親孝行をしたにもかかわらず、父親がそれに対しまったく良い反応をせず、ひどい言動を続けたとしても、それはあなたに何の関係もありません。父親が目的ではないからです。アッラーのご満足が目的だからです。アッラーを目的にしている限り、アッラーは必ず、自分にひどいことをする親に対し行った親孝行に対して、報奨を下さるという確信があります。

 

どうか「あなたのお父様があなたにした仕打ち」という狭い円の中から抜け出てください。今、あなたは、父親が自分にひどいことをした、というそれだけの事実を感じ続けるという狭い円の中に閉じこもっています。そこにいても何もいいことはありません。そこから出てください。どうやって出るのでしょうか。ただ、「今日からは、父親に対する振舞いは、父親を目的にするのではなく、アッラーのご満足を目的にする」、と決意することです。どうやってアッラーのご満足を獲得しますか?アッラーは、私にどんな親であっても、親に対する親孝行を義務付けた、いいでしょう、私は今日から親孝行をします、どんなに親が自分に悪いことをしても、そう決意します。

 

もしどうしても怒りで自分が見えなくなった時には、ウドゥーをして、怒りを収め、2ラカートの礼拝をして、両手を挙げてアッラーにドゥアーします。

『アッラーよ、あなたが私にこの親を選びました。どうか彼を善良にしてください。もし私が親の権利を害していることがあったら、私を許してくださることを願います。アッラーよ、私と親の心の距離を縮め近づけてください。』

 

どうか親に対する不満を、すべてアッラーに預けてください。その不満を解決するために、アッラーにすべてを預けて、自分自身をアッラーに投げ出してください。アッラーのご満足だけを求めて、親孝行を決意する、それさえすれば、あなたは、必ずアッラーが、あなたを使って父親を善良にする過程を見ることになります。アッラーにすべてを預けてください。」

 

 


続)ムスリムの子ども教育-19-思春期の子ども達とのかかわり方(10)視聴者からの質問3

2020年03月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-19-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(24:45~34:44)

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(10)視聴者からの質問3

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「両親は、自分たちが若い頃の常識で、私の振舞いの良し悪しを決めます。そのせいで問題が起こるのです。自分たちの若い頃と今の時代が違うことをどうしてわかってくれないのか。」

 

先生の回答:まず最初に、この質問者の方に伝えたいことは、親の時代の価値観のすべてが、今の時代において間違っている訳ではない、ということです。価値観の中には、時代と共に変わることもあれば、時代が変わっても変わらないこともあります。また、この子の親に伝えたいことは、自分の若い頃に良かったことが、すべて今の時代でも良いこととは限らない、ということです。時代と共に価値が変わるものもあれば、変わらないものもある、双方が知っておくべきことは、時代が変わっても変わらぬ価値があるものと、時代と共に変わるものの「基準」です。どのように変わらぬ価値観を共有して行き、また、時代と共に変わって行くものをどのように受け入れるのか、その「基準」を持つことが大切です。

 

また、この質問から浮かび上がってくるのは、私達、親が、自分の子ども達と一緒に過ごす時間の少なさ、子どもと十分に話をする時間をきちんと持っていなかったという親の怠慢です。そのせいで、子ども達に、親たちの考え方は自分たちの考え方とは全く違っていて、理解できない、という大きな誤解を抱かせてしまいました。この問題は、子ども達と過ごす時間、話をする時間を多くとればとるほど、解決できる問題です。

 

親御さんたちに伝えたいのは、どうか、子ども達に、あなた方が子ども達の価値観を理解できることを証明してあげてください。子どもに対して、ただ、一方的に命令を出して終わり、という関係ではなく、子どもと対話してください。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

《子どもが自分に親孝行できるよう、子どもを助ける親に、アッラーが慈悲をお与えくださいますように。》イブンハッバーン伝承

 

自分に親孝行するように勧めること、親孝行の子どもに育てることが、親が、アッラーのご満足を得ることにつながります。子ども達の不満は、親たちがこのハディースで言われている親子関係の基本を行っていないことに起因しています。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「親を抹殺してほしい。なぜ私の人生にケチをつける権利があるのか?ただ、「私が、お前を産んだのだ」というだけで。親から、「お前は失敗作だ」と100万回以上聞かされた。もう限界だ。礼拝していても、お前は地獄行きだ、と言われる。いつも親の言葉に傷つけられてきた。親は、自分に一ミリも敬意を示すことはない。早く親を処刑してほしい。」

 

先生の回答:この質問者の方に深く同情します。この手紙は、彼の心の痛みを表現しています。彼の心の奥底からの叫びです。もちろん、彼の要求が間違っていることは言うまでもありませんが、それ以前に、彼が親からの言動によって、どんなに傷つけられているか、を考える必要があります。絶対に、彼の親には、大きな問題があります。息子がどんなに親に不服従であっても、どんなに反抗的であっても、息子が、親の信頼を失わせるような行動ばかり取っていたとしても、です。問題は、親にあります。息子に対して、「お前は失敗作だ。」という言葉を聞かせること自体が、その息子の中に、「失敗」を植え付けます。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子どもに対して、そんな言葉を使うことは一度もありませんでした。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、彼の家を訪問し、彼が父親にこう言っているのをご覧になったら、息子に注意する前に、まず、父親を責めるでしょう。息子の父親に対する言葉は、もちろん許されないものですが、それを治すためには、まず、父親の間違いを先に正さなければなりません。息子にここまで言わせてしまう父親の責任は大きいです。

 

また3つ目の問題は、父親と息子以外の問題、彼らを取り巻く現代の社会の問題です。親子関係に対して、間違った考え方が広まっています。それを正さなければ、こういった不幸な親子関係が産まれてしまいます。しかし、このすべての問題の鍵は、父親が握っています。お父さん、どうか預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のスィーラ(伝記)を読んでください。子どもの間違いに対して、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はどのように接しておられたでしょうか。前回お話したように、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子ども達への接し方は、現代の親が学ぶべきものです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元に、若者がやって来て、婚外交渉をすることを許可しろ、という、とんでもない暴言を吐いた時も、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の最初の言葉は、《彼を近くに来させなさい。》、でした。自分に対して、途方もなく失礼な命令をした若者に対し、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の第一声は、「あっちへ行け!」でも、「何とひどいことを言うのだ!」でも、「お前は罪人だ!」、でもありませんでした。

 

《彼を近くに来させなさい。》と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。そして、次に、《あなたは、それを自分の娘に望みますか?》と、順番に尋ねて行きました。つまり、子どもの問題を解決する方法の第一歩は、近くに呼ぶこと、そして、とことん話し合うこと、対話です。

 

お父さん達にどうしても言っておかなければならないことがあります。それは、「仕事が忙しくて、子どもの話を聞く暇なんかない。」、「外での仕事で疲れて帰って来るのに、家で子どもの相手なんかしてられない。」、こういった言い訳は、まったく通じない、ということです。自分の仕事が忙しいこと、仕事で疲れて帰宅すること、それらは、まったく子どもの罪ではありません。それらは、あなた方ご自身の問題であって、子どもには何の責任もないことです。仕事で疲れて帰宅して、子どもについ当たってしまうようなことがあったら、自分自身だけでなく、子どもも破壊してしまいます。どうかそのことをよく理解し、親の責任を軽く考えないでください。

 

ムスリムの親御さんたちに、アッラーのご援助がありますように。


続)ムスリムの子ども教育-18-イスラームにおける思春期の子ども達とのかかわり方(9)視聴者からの質問2

2020年02月17日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-18-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(最初~24:45)

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(9)視聴者からの質問2

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた親からの質問:「成長し成人となった娘との家での会話がまったくありません。娘はプライベートなことに口出ししないで、と言い、母親が娘の生活を知ろうとしても、拒絶されます。私たちの育て方が間違っていたのだと思いますが、娘のこの状態で放っておいていいのでしょうか。」

 

回答:こういった問題は多く寄せられています。現代では、成人に達した娘や息子が、自分のことは何でも100%自分で決める自由がある、と主張し、プライベートなことを親に話さなくなり、自分の生活は自分だけに関するプライバシーで、親には関係ない、と考える傾向があるためです。この問題は、ひとつの問題だけではなく、いくつかの問題が複雑に絡まっています。

 

まず一つ目の問題は、子どもがイスラームにおける、母親、両親の重要性を明確に理解していないこと、

二つ目は、これまでに母親が十分に子どもに対して、感情的にも理性的にも良い関係を築いて来なかったこと、

三つ目は、この子だけの問題ではなく、今の時代の共通の問題であること、つまり、ネットやテレビを通して、18歳になった子どもは独立すべき、というような西洋的な考え方が浸透していること、です。この西洋的な親子関係では、子どもは18歳になるまでは、親の責任下に置かれ、好きなことはできないが、18歳になった途端、そこから解放され、自由を謳歌できる、という親子関係です。しかし、イスラーム的な親子関係はそれとは異なります。母親と娘の関係、父親と息子の関係、すべてが西洋的な価値観とはまったく違います。

 

これらの点を踏まえて、この相談者の方に、まずお願いしたいことは、娘さんとの愛情に基づいた親子関係を修復する努力をしてください、ということです。現代は、母親が若いときとは時代が違っていて、子どもは、お母さんの時代とは違うんだから、お母さんにはわからない、と言うかもしれませんが、時代と共に変わることもあれば、時代が変わっても変わらないこともあります。母親の娘への愛情は、変わりません。どんな時代でも子どもを愛する母親の気持ちは同じです。人徳も、良い振舞いも、時代によって変わるものではありません。ムスリムとして、母親や両親への振舞いや親孝行の大切さが、時代によって変わるべきということもありません。

 

 

質問:子ども達は、現代の誘惑の多い環境の中で、どうやって自分を守って行けばいいでしょうか。娘が学校に行けば、異性の男の子達が話しかけて来る、息子が大学に行けば、女の子たちがきれいにお化粧をしてファッショナブルな服を着て歩き回っています。そんな中で、ムスリムの子ども達へのアドバイスをお願いします。

 

回答:学校に行き知識を求める、というすばらしい崇拝行為をしているムスリムの女の子達に送る言葉は、どうか自分のしていることの目的を自分の中で明確にしてください、ということです。何のために学校や大学に行くのか、知識を求めるために学校に行く、という目的を明確にし、その目的を果たすために必要なことを優先して行うことが大切です。目的意識をしっかり持つこと、ニーヤ(意思)をすることによって、大学のカフェテリアで毎日何時間も自分にかかわりのない映画や芸能人のことについておしゃべりをして時間を無駄にしたり、校内の中庭でただ人間ウオッチングをして過ごすようなことはなくなるでしょう。

 

また、学校で誘惑の多い環境を作っている原因は、女の子達だけに責任があるわけではありません。男の子達に対してのアドバイスは、クルアーンにある通りです。

 

【男の信者たちに言ってやるがいい。「(自分の係累以外の婦人に対しては)かれらの視線を低くし、貞潔を守れ。」それはかれらのために一段と清廉である。アッラーはかれらの行うことを熟知なされる。】クルアーン24-30

 

どんなに周りにきれいな女の子がいても、自分の視線を低くし落とすことで、誘惑は確実に少なくなります。男の子達も、女の子達同様、自分が学校に行く目的を明確にし、知識を求めるというすばらしい行為をニーヤ(意思)することで、女の子達の容姿や髪形を比べたり、服のチェックをすることはなくなります。若い男の子達がよく、「視線を低くすることは、もちろん、知っていますよ!でも自分には無理です!」と言うのを聞きますが、すでに、クルアーンでアッラーが、私たちに命令しています。「無理」なことを、アッラーは私たちに求めません。アッラーが命じていることは、私たちが必ず「できること」だけです。

 

【アッラーは誰にも、その能力以上のものを負わせられない。】クルアーン雌牛章2-286

 

男の子達にそれを命じられている、ということは、つまり、彼らにはそれができる、ということです。

 

実際に多くの大学生の若者達が、異性の誘惑を避け、学問を真摯に修めて卒業しています。彼らは、知識を求めるという崇高な目的を持ち、アッラーに近づく崇拝行為をしている時に、左右の異性に目を奪われることはありません。イスラーム学でなくとも、ウンマにとって役に立つ知識を求めることは崇拝行為になり得ます。それによって、社会を改善し、ウンマにとって善いことを望んで学ぶことで、アッラーからのご褒美が沢山あります。自分の目的を明確にして、視線を伏せることで、自分を取り巻く誘惑は、大きく減らすことができます。

 

女の子と男の子両方へのアドバイスは、知識を求めるという目的意識を持った善い友達を選ぶことの大切さです。自分の周りに、異性の彼氏や彼女のことばかり話したり、遊びの話題ばかりの友達を集めるのではなく、本来の大学の目的である学ぶことを楽しんでいる友達を見つけて、そういう人達と付き合うことで、異性の誘惑は、大きく減少させることができます。

 

ただ周りの環境を嘆いて、誘惑を前にして弱くなってしまうことは、シャイターンに負けているということです。私たちはムスリムです。環境がどうあっても、誘惑に対して強く自分を守ることができるように、努力することが大切です。

 

 

質問:子ども達へのアドバイスはわかりました。では、今、思春期の子どもを育てている親御さん達へのアドバイスはありますか。

 

回答:親の世代の方たちにお願いしたいことは、現代は、自分が育った環境や時代と全く違う環境に子ども達が置かれている、子ども達は自分達と全く違う価値観を持っている、と決めつけて、子ども達のことを理解するのをあきらめてしまわないことです。親子の間の信頼関係は、時代が変わっても、変わることはありません。どんなに子ども達が、自分とは違う考え方をしていると感じても、あきらめずに、子どもの話を聞くこと、理解しようとする努力が大切です。

 

現代の親の側の問題は、自分たちの価値観とは違う西洋的な価値観が押し寄せていることや、子ども達を取り巻く環境が誘惑に満ちていることに恐怖を抱き過ぎるあまり、子ども達をまったく信頼せずに、子どもの話も聞かずに、ただ力で押さえつけたり、抑圧したり、一方的に言うことを聞かせようとして、高圧的な態度に出てしまうことです。信頼関係は一方的に命令するだけでは築かれません。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、若者たちの間違った考え方を正す際、実際どうされていたでしょうか。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代に、アブドッラー・ビン・アムル様(アッラーのご満悦あれ)という若者がいました。彼は、イスラームで定められたこと以上に、崇拝行為を行い、自分を痛めつけていました。そのことが預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の耳に届いた時、彼の間違いを正すために、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がなさったことは、まず、彼のところにご自分で出向き、彼を訪問し、彼と話をすることでした。

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子どもを呼び出すのではなく、ご自分で彼のところに出向かれ、彼の自尊心を満たし、彼に、自分は重要な存在なのだ、と感じさせました。親御さん達、子どもと意見の食い違いがあったり、喧嘩をした時、自分から子ども達の部屋を訪れたり、自ら子ども達のところに行き、あなたと話をしたい、と言って、彼らを訪ねているでしょうか。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、そうなさっていました。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が訪問すると、アブドッラー様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)に、部屋にひとつしかなかったクッションを勧めますが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はその上に座ることをお断りになりました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、自分だけがクッションの上に座り、アブドゥッラー様(アッラーのご満悦あれ)が、自分よりも低い位置になることで、彼に対して高圧的になることをよしとなさらなかったのです。

 

その状態で、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼(アッラーのご満悦あれ)と会話を始めますが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、いきなり、彼(アッラーのご満悦あれ)の間違いを指摘することはなさいませんでした。本当に少しづつ、彼(アッラーのご満悦あれ)にとって妥協案となる案を提案していくところから始められました。毎日断食し続ける彼(アッラーのご満悦あれ)に対し、最初は、一ヶ月に3日断食しては、と薦めます。彼(アッラーのご満悦あれ)が、それを拒むと、次に、一ヶ月に5日、次に一週間、と少しづつ妥協点を探すように提案していきます。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、決して、一方的にこうしなさい、と命令し、選択肢を示さない、という形にはなさいませんでした。その時のことが以下のハディース(ムスリム伝承)にあります。

 

アブー・キラーバはアブー・マリーフが(次のように)告げたと伝えている。:

《私はあなたの父君と御一緒にアブドッラー・ビン・アムルの所に行った。彼はわれわれに(次のような)話をした。

アッラーのみ使いは私の断食についてお耳にされた。するとその御方は私の所に御出でになった。私はその御方になつめ椰子の繊維の入った皮のクッションをおすすめしたが、その御方は大地にお座りになった。クッションは私とその御方の間に置かれたままであった。

み使いは私に「一ヵ月に三日間の断食では満足ではないのか」と申された。

私は「アッラーのみ使いよ、(それでは満足ではありません)」と言った。

み使いは「五日では」と申された。

私は「いいえ、アッラーのみ使いよ、(それでも満足ではありません)」と言った。

み使いは「一週間」と申された。

私は「いいえ、アッラーのみ使いよ」と言った。

み使いは「九日では」と申された。

私は「いいえ、アッラーのみ使いよ」と言った。

み使いは「11日では」と申された。

それでも私は「いいえ、アッラーのみ使いよ」と申し上げると預言者は「ダビデが行われた一日置きの断食、つまり半生の断食より優れたそれはない」と申された。》ムスリム伝承

 

《彼(アブドッラー・ビン・アムル)は(老いてから)「ああ、み使いの特許を受け入れておけばよかった」とよく口にしていた。》ムスリム伝承

 

親が一方的に命令するのではなく、子ども達の気持ちを汲んで、妥協できる案を提案して行くという、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の振舞いは、時代を超えて、すべての親と子の対話の見本となるものです。

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続)ムスリムの子ども教育-4-預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子どもたちへの教育

続)ムスリムの子ども教育-3-預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子どもたちへの愛情

続)ムスリムの子ども教育-2- アウラ(隠すべき体の部位)

続)ムスリムの子ども教育-1-


続)ムスリムの子ども教育-17-思春期の子ども達とのかかわり方(8) 視聴者からの質問

2020年02月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-17-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(40:38~最後)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(8) 視聴者からの質問

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

 

子ども達から親への不満:

「私が電話していると、誰からだ?どうして話をするのか?と親が詮索して来る。そして、友達のことを、あの子は良くない、付き合わないように、この子は自分勝手であなたを利用している、とジャッジします。うんざりです。」

「僕が10時間以上勉強した後、やっと休憩していると、親が、どうして勉強しないのか?と怒る。少し休憩しているのだというと、休憩するのは十年早い、勉強しろ、と。」

 

回答:親子の関係で、私が自分の母親を思い出すのは、母が私に、「私はあなたの話を聞きます。だから、あなたも私の話を聞いてくださいね。」といつも言っていたことです。親が子どもの意見をしっかり聞くことで、子どもは、自分には価値がある、親は自分の意見を尊重してくれている、と感じることができ、子どもの自尊心が育ちます。その上に成り立った親子関係では、子どもが一方的に自分の意見を通すこともなく、親が一方的に子どもに命令することもありません。お互いがお互いの意見を聞き合い、尊重し合う友達のような関係、それがとても大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)も、ご自分の子どもの意見を受け入れて尊重していました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と娘さんのザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)の逸話があります。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマディーナへとヒジュラされた時、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、夫のアブー・ル=アースと一緒にマッカに残っていました。彼女の夫、アブー・ル=アースは、ムスリムになっていなかったため、バドルの戦いでマッカの多神教徒達の側にいて、ムスリム達に敵対して戦い、ムスリム軍に捕えられ、捕虜となりました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、捕虜解放の手段を、親族が身代金を払うか、捕虜本人がムスリム子弟10人に読み書きを教えること、とされました。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元に、捕虜になった人達の身代金が届いた時、その中に、首飾りがありました。それは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の奥様のハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)が、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)とアブー・ル=アースとの結婚に際して、彼女に贈ったものでした。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はその首飾りをご覧になると、彼女に同情し、ある伝承によると、涙を流され、こうおっしゃいました。

《この首飾りは、ハディージャものです。もしあなた方が、彼女の夫を解放し、彼女の首飾りを返却するのがよいと思われたなら、そうしなさい。》

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、命令はなさいませんでした。あくまで、決定は、ムスリム達に任されました。ムスリム達は、もちろんです!と答え、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)に、首飾りを返しました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アブー・ル=アースに、解放の条件として、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)をマディーナに移住させることを約束させました。すでに、ムスリマ女性は、ムスリムでない夫と一緒に住むことが禁止されたためです。アブー・ル=アースはその約束通り、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)をマディーナへ送りましたが、その旅の途中、マッカの多神教徒達が彼女の乗ったラクダを突き、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)はラクダから落ち、妊娠していた子どもを流産してしまいました。その時の傷の痛みは、ヒジュラ暦8年に彼女が亡くなるまで続きました。

 

それから6年後、アブー・ル=アースは商人として、マッカの多神教徒達からお金を預かってシャーム地方で商売をするために旅に出ました。旅の途中で、マッカの多神教徒達に財産を没収されたムスリム達が、その代替として多神教徒達のお金を持っている彼を捕まえ、持っていたお金を没収しました。アブー・ル=アースは、捕虜になりそうになったところを逃げ、マディーナのザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)の家に助けを求めて訪れました。ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、彼を家の中に入れると、マスジドでファジュルの礼拝をしていた預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)とムスリム達のところに行き、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が礼拝最後のタスリーム(座った状態で左右にサラームをする動作)をする前に、大声で人々に向かって叫びました。

「人々よ、私は、アブー・ル=アースを保護しました。」

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はタスリームを終えると、おっしゃいました。

《人々よ、私が聞いたことを聞きましたか?》

人々が、「はい」と答えると、

《ムハンマドの命がその御手にある御方にかけて、あなた方を聞いたことを聞くまで、私は何もこれについて知らなかった。実に彼は、ムスリム達に保護されました。》

 

それから預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)のところに行くと、こうおっしゃいました。

《娘よ、その客を丁重にもてなしなさい。そして、彼があなたに近づかないようにしなさい。あなたは、彼にとって許されていないのですから。》

 

その後、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アブー・ル=アースのお金を没収したムスリム達のところに行くと、こうおっしゃいました。

《この男は、知っているように私たちの同族者です。あなた達は、彼からお金を受け取りました。もし、あなた達が良い振舞いをされるのでしたら、彼のお金を返すことで、私たちはそれを好みます。もし、それを拒否するのでしたら、それはアッラーがあなた達にお与えになった戦利品であり、あなた方に最も権利があります。》

人々は、「アッラーの御使い様よ、私たちはそれを彼に返します。」と言いました。

そして、ムスリム達は、彼から没収したお金や品物を少しも欠けることなく全額返しました。アブー・ル=アースは、それを持ってマッカに戻り、多神教徒達に、彼らから預かったお金をすべて返却すると言いました。

「クライシュ族の方々よ、私のところに、まだ受け取っていない自分のお金が残っている方はいますか?」

人々は言いました。「いいえ、ジャザーカッラーフ ハイラー。私たちは、あなたが完全に約束を守られる方だとわかりました。」

すると彼は言いました。「アシュハドアッラーイラーハイッラッラー、ワ アシュハド アンナ ムハンマダン アブドゥフ ワ ラスールフ(私はアッラーだけが神であることを証言します。私はムハンマドがアッラーしもべであり、使徒であることを証言します)。私からイスラームを妨げるものは何もありませんでした。ただ、あなた方のお金を欲したと思われる恐れ以外は。ですから、アッラーがそれをあなた方に戻してくださり、その恐れがなくなった今、私は、ムスリムになりました。」

 

彼はマディーナへと戻ると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところへ行き、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)との結婚を許しました。

 

ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の許可なく、夫を保護する、という決定を自分一人で決め、それを大勢の人前に出て発表する、という行動を起こしました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘の決定と行動を尊重し、そのことが、イスラーム的に問題がないことを人々に告げ、娘の行動を支持しました。その結果が、アブー・ル=アース様(アッラーのご満悦あれ)の入信につながりました。

 

親が子どもの行動を認め、受け止め、応援することで、親子の関係はもっと良くなるでしょう、インシャーアッラー。

 

親からの質問:

「息子が悪い友達と付き合っていて心配だ。友達が息子の性格や言動に大きな影響を与えている。どうしたらいいか。」

 

回答:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマッカを開城した年、それに反発したマッカの多神教徒の諸部族が結集し、フナインの戦いが起こりました。その戦いの後、アザーンが制定され、マッカの人々は初めてアザーンを聞くことになります。当時16歳で、マッカ郊外に住んでいたアブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)も、その一人でした。初めてアザーンを耳にした彼(アッラーのご満悦あれ)は、友達たちとそれを馬鹿にし、一緒に真似していたことを、ご自身が伝えているハディースがあります。

 

「私は、10人の若者達と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに出かけました。我々にとって彼はもっとも憎悪する人でした。そこで、アザーンをしていたので、私たちも彼らをからかって、アザーンを真似して唱えていました。すると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がおっしゃいました。

《私のところにあの青年たちを連れて来なさい。》それから、こうおっしゃいました。《アザーンをしてみなさい。》そこで我々はアザーンをし、自分もそのうちの一人でした。すると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、(私がアザーンを唱えると)

《そう、これが、私がその声を聞いた者だ。行って、マッカの人達のためにアザーンをしなさい。》

とおっしゃいました。そして、私の前髪に触れ、言われました。

《アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アシュハドアッラーイラーハイッラッラーと2回、アシュハドアンナムハンマダンラスールッラーと2回、そして、アシュハドアッラーイラーハイッラッラーに戻って2回言い、アシュハドアンナムハンマダンラスールッラーと2回、ハイヤーアラッサラート、ハイヤーアラッサラート、ハイヤーアラルファラーフ、ハイヤーアラルファラーフと2回、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、ラーイラーハイッラッラー。また、スブフ礼拝の時にアザーンを言う時には、アッサラートハイルンミナンナウム、アッサラートハイルンミナンナウムと2回。そして、イカーマをする時には、カドカーマティッサラート、カドカーマティッサラートと2回言いなさい。あなたは、聞きましたか。》

伝承者は言いました。アブー・マハズーラは、その前髪を刈ることも分けることも決してしませんでした。アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がそれに触れたためです。」イマームアハマド伝承

 

 アブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)は、こう言っています。「預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が私の前髪に触れた時、(別の伝承では、前髪と胸に触れた時)、アッラーに誓って、私の胸は、イーマーン(信仰)とヤキーン(確信)で一杯になりました。そして、わかりました、この方はアッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)だ、と。」

アブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)はその後、マッカでムアッズィンとなり、亡くなるまでその役目を果たしました。

 

アザーンを馬鹿にして真似する友達たちと一緒にいて、自分も馬鹿にしていたような状態の時に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)から、突然、ムアッズィンの役割を言い渡された彼の驚きを考えてみてください。悪い友達の影響は、良い人と出会うことで変化します。そして、親がその役割をすることは十分に可能です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のように、どんな時でも子どもを善い見方で見ることで、子どもは良い方向に変わることができます。

 

ムスリムの子ども達に、アッラーのご加護がありますように。


続)ムスリムの子ども教育-16-イスラームにおける思春期の子ども達とのかかわり方(7) 異性への興味

2020年01月28日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(30:00~40:38)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(7) 異性への興味

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

質問:子どもの異性への興味や性欲について、親はどのように対処したらいいですか?

 

回答:まず、親が子ども達に伝えなければならないことは、「両親に従うことと両親の満足は、現世と来世の幸せの源である。」ということです。この事は、すべてのムスリムの子どもが共通認識とすべき事柄です。特に、日本では、家庭以外にイスラーム教育を行う場所がほとんどなく、家庭で教えなければ、こういった基本的なことも知らずに育ってしまう、という危険性が大いにあるため、十分注意すべきです。

日本では、こういったことは、親が教えなければ、誰も子どもに教えてくれません。両親に対する振舞いは、実のところ、アッラーに対する振舞いであって、両親に対して行っているのではないことを理解しておくこともとても大切です。なぜなら、アッラーがお命じになられた両親への孝行によって、子どもは、アッラーへの崇拝行為を行っているからです。

 

【われは人間に、両親に対して親切にするよう命じた。】クルアーン29蜘蛛章8

 

そのためムスリムは、親を騙したり、親に対して反抗したり不誠実な態度を取る、ということはできません。もしうまく両親に隠れて何かをすることができたとしても、アッラーは、決して騙すことができないからです。

 

次に、親の側が、子ども達にしていくべき点がいくつかあります。

 

1)子どもが親孝行をできるよう助けること:

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

《子どもが自分に親孝行できるよう、子どもを助ける親に、アッラーが慈悲をお与えくださいますように。》イブンハッバーン伝承

 

自分に親孝行するように勧めること、親孝行の子どもに育てることが、アッラーのご満足を得ることになります。イスラームにおける親子の関係は、この重要な基本を忘れないことが大切です。

 

2)子どもの心に、いつもアッラーが見ているという感覚を育てること:

ある著名な先生のところで学んでいた生徒達が、先生が1人の生徒だけを特別に見ていると、先生に対して、不平を言いました。

「どうして彼だけ特別視するんですか?」

「彼には、特別の才能があるからです。」

「そんなことはありません。私たちも皆、同じです。」

ある日、先生は、生徒たちに宿題を出しました。鳥を一羽、自分だけの手で、誰も見ていないところで屠り(ほふり)、きれいに洗って掃除してから、翌日、学校に持ってくるように、という宿題でした。

翌日、生徒たちは、手に手にきれいに下処理をし終わった鳥を持って、得意げに学校にやって来ました。

ところが、先生に特別視されていた子だけは、手ぶらです。生徒たちは、彼を馬鹿にし笑って言いました。

「先生、これが、あなたが特別な才能があると言った子ですか?先生の言いつけも守れないじゃないか。」

先生は、その子に尋ねました。

「どうして宿題をやってこなかったのだ?」

その子は申し訳なさそうに答えました。

「先生、僕には先生の出した宿題ができなかったんです。だって、先生は、誰も見ていないところで鳥を屠る(ほふる)ようにと言いました。でも、鳥を屠ろう(ほふろう)と部屋に入っても、どんなところに行っても、アッラーがいつも僕と一緒にいるんです。」

先生は、生徒たちに言いました。

「この才能です、私が彼を特別視しているのは。」

 

子どもが小さい時から、このアッラーがいつも自分を見ている感覚を、子どもの心の中に育てることが、思春期の子ども達のためにとても役立ちます。子どもが自分の内側からの欲望や衝動にかられて、その強い願望にもて遊ばれる思春期の時期には、親がどんなに規制をしても、どんなにルールを作り、禁止したりしても、子どもを抑制することはできないでしょう。子どもは、自分の内側の欲求と戦って、少し弱めることや後回しにすることができたとしても、最後には欲が勝ってしまうでしょう。そして、現代では、親が子どもの行動をすべて監視し管理することは不可能です。

 

子どもの心の中に、アッラーへの愛情を育てることです。もちろん、アッラーへの畏怖の念やアッラーへの期待、アッラーの元にあるすばらしいものへの期待も大事です。しかし、アッラーへの愛情、アッラーのことが好きだから、アッラーを悲しませることをしたくない、という気持ちを子どもが感じていれば、欲望と戦わなければならない時期に、子どもにとって大きな助けとなります。

 

 

質問:現代は、インターネットやテレビで、欲望を刺激するものが沢山溢れています。そういったものに囲まれている中で、子ども達はとても大変だと思いますが。

 

回答:もちろん、そういった誘惑の多い環境を作る大人には、大きな責任と罪があります。お金儲けのために、欲を刺激するハラームの番組を作るテレビの制作会社やスポンサーや、それに歯止めをかけない政治家など、ハラームの番組制作にかかわる大人全てに責任があり、罪があります。しかし、私たちは、この番組で、社会の責任を追及する前に、自分個人の責任を追及することを目的にしています。アッラーは、自分がしたことしか追求しないからです。個人個人が改善されれば、それがすなわち、社会の改善になります。

 

 

質問:現代のような環境の中で、子ども達が、昔の敬虔な方たちのように、自分を守ることはできるのでしょうか?

 

回答:人々は、それが無理なこと、不可能なことのように錯覚しています。そして、実はその間違った錯覚が、善いことを実行に移すことを妨げてしまっています。しかし、実際に、現代でも、少なくない数の子ども達が、自分を守り、貞淑であることを貫いている、という事実があります。世界中で見れば、このような現代においても、その数は膨大です。

では、貞節を守る男の子達、貞節を守る女の子達は、他の子ども達のように危険な環境にさらされていないのでしょうか。彼らも他の子ども達と同じ現代に生き、目の前にある同じ誘惑の多い環境にさらされていますが、アッラーのご加護により、貞節を守っています。違いは、イスラームの人徳を守ること、アッラーがいつも自分を見ていると感じること、そして、これは重要な点ですが、間違えた時に、自分の間違いを直視して自己反省する勇気があること、です。

 

重要な点:

1)自分に嘘をつかないことを教える:

人は誰でも間違えることがあります。特に、まだ大人になっていない思春期の子ども達が間違えるのは当たり前のことです。ただ、後戻りできないような大きな間違いを犯さないこと、そして、小さくても何か間違いを犯した時に、自分で間違いを認め、悔悟する勇気を持つこと、が大切です。自分自身に言い訳をして、自分の罪を認めないことは、その間違いを継続して行い、もっと大きな罪に導かれることを招きます。あの時は仕方がなかった、友達に誘われて断るなんてできないから、私は本当はしなくなかったけれど、あの子があんなことを言い出さなければ、、、等、「自分が悪い」というたったそれだけのことを認める勇気がないために、他人のせいにしたり、周りのせいにしたり、様々な言い訳を考えます。それらはすべて事実ではなく、自分に対する嘘です。親は、子どもに、自分に正直になること、自分に嘘をつかないことを教え奨励すべきです。それは教育においてとても大切なことです。

 

2)子どもとの話し合いの扉をいつでも開けておくこと:

いつでも子どもの話を聞く態勢を保ち続けることが大切です。子どもが間違いを犯してしまった時に、すぐに親に相談できる親子関係があることは、その後に起こる間違いを防ぎ、もっと大きな間違いを犯すことから子どもを守ります。基本的に、子どもが安心して何でも親に話せるような子どもとの強い信頼関係があることが大切です。子どもが間違いを犯して正直に親に話した時に、親から怒られず、親が一緒に解決策を考えてくれるとわかっていれば、子どもは親のところにやって来ます。そうすれば、自分一人では解決が難しい深刻な問題に陥っているような場合にも、大きな問題になる前に親が救うことができます。

 

悪い友達からタバコを薦められてタバコ位ならと吸ってみたら、次は、覚せい剤を薦められ断れずに吸ってしまった、その事実を親にばらされたくなければ、次はコカイン、次は、、、と、子どもは、軽い気持ちから、自分では歯止めをかけるのが難しい危険な犯罪に陥ってしまうこともあります。しかし、その間違いの最初の何回かの段階で、子どもは自分自身で間違いに気付いており、止めたいけれどどうすればいいのか、、と困惑し戸惑っている期間があるでしょう。

 

この期間は、とても貴重な重要な期間です。その時に、親子が強い信頼関係で結ばれていれば、子どもが親に正直に、「お母さん、話があるんだけど。実は、大きな間違いを犯してしまったの。この前、友達に覚せい剤を薦められて、断り切れずに吸ってしまった。」と打ち明けられます。自分の間違いを親に話せるかどうかは、話しても、親が自分を受け止めてくれるという確信が子どもの中にあるかどうかです。親がパニックになって子どもに手をあげたり、「なんてことをしたの!!もうあなたのことは絶対に信用しない!」と子どもを切り離すような言動をとることがない、と子どもがわかっていれば、必ず子どもは困った時に親のところに来ます。

 

子どもが大きな問題に陥る前に、親に相談できることは、まだ一人ですべてを解決することができない子どもにとってはとても安心で、大きな助けになります。しかし、もし子どもに、親に対する信頼がなければ、シャイターンにチャンスを与えてしまい、子どもが間違った行いを継続し、引き返せないギリギリの境界線までも超えてしまうことにもなりかねません。

 

また、兄弟や姉妹がいる場合、彼らとの関係も重要です。兄が弟の間違いを暴露して、親の愛情を独り占めしようとしたり、反対に、兄弟が協力して、お互いの間違いが親にばれないように裏で結託したり、ということは、両方とも間違いです。家族関係の根本、アッラーへの崇拝行為として親子関係や兄弟関係を築くことを、子ども達に教える必要があります。

 

思春期に役立つ子ども教育にとって大切なこと:

1)アッラーがいつも自分を見ているという感覚を子どもの中に育てること

2)アッラーへの愛と畏怖の念、期待を子どもの中に育てること

3)子どもと何でも話せる信頼関係を築くこと

4)子どもが自分の間違いを認める勇気を持てるよう奨励すること

 

 

 

世界中のムスリムの子ども達とご両親にアッラーのご加護とご援助がありますように。


続)ムスリムの子ども教育-15-思春期の子ども達とのかかわり方(6) 子どもの言い訳

2020年01月01日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-15-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(16:54~30:00)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(6) 子どもの言い訳

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

質問:現代の子ども達の環境は、インターネットやスマホ、ゲームなどに囲まれていて、私たち、親が育った環境とまったく違ったものになっているため、親と子の世代間のギャップが大きくなっているように感じます。これはどうすれば解消できますか?

 

回答:まず、子ども達が、親と自分たちの時代は全く違い、親の意見は古臭く、聞く価値がない、と決めつけているとしたら、それは子ども達の間違いです。しかし、親の方も、子どもの意見はいつも間違っていて、聞く価値がない、と思っていたり、または実際に、子どもの意見をじっくり聞く時間を取らずに、親が先にすべて判断し、話し合いの余地なく、親の意見を子どもに押し付けているとしたら、それは親の側の大きな誤りです。子どもの理性的に訴えかけ、納得するまで話し合うことはとても大切です。また、子どもの信仰心に訴えかけること、子どものナフス(自我)に訴えることも大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の対応を学ぶよい話があります。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代に、ハワート・ブヌ・ジャビール様(アッラーのご慈悲あれ)というサハーバがいました。当時、彼はまだ年若い青年でした。ある時、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に出掛けた際、ダーラン(サウジアラビアにある町の名前)を通りかかった時のことがハディースで残っています。

ハワート・ブヌ・ジャビール様(アッラーのご慈悲あれ)は言いました。

 

「私たちが、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に出掛けた際、ダーランを通りかかりました。彼は言いました。:私は自分のテントを出て、話をしている女性たちと一緒にいましたが、彼女たちが気に入ったので、家に戻るとカバンを取り出し、そこから衣装を一着取り出すとそれを着て、また戻り、彼女たちと座っていました。すると、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、建物から出て来て言いました。

《アブー・アブドゥッラーよ、なぜ彼女たちと座っていますか?》

私は、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を見た時、畏れを感じ、混乱して言いました。

『アッラーの御使い様、私のラクダが逃げたので、捕まえたいのです。』

彼は通り過ぎ、私は彼の後を追いかけました。すると、彼は私にご自分の上着を預け、ミスワークの木に入りました。まるで、ミスワークの木の緑に、彼の背中の白さを見ているようです。そして、彼は用を足すと、ウドゥーをし、やって来ました。彼の髭から胸の上に水が流れていました、もしくは、彼の髭から胸の上に、滴(しずく)がしたたり落ちていました、と彼は言いました。

そして、おっしゃいました。

《アブー・アブドゥッラーよ、逃げたラクダはどうしましたか?》

しばらくして、私たちは出発しました。そして、道で私に会うたびに、こうおっしゃいました。

《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》

私はそのことがわかり、マディーナへ急いで戻りました。そして、マスジドを避け、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と一緒に座ることも避けました。しかし、その状態で長い期間が過ぎ、私は、マスジドで一人になれる時間を待ち、礼拝し始めました。すると突然、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、部屋から出て来て、2ラクアの簡単な礼拝をなさいました。私は、彼が行ってしまい、私を放っておいてくれるといいと思い、礼拝を長くしました。すると、彼はおっしゃいました。

《アブー・アブドゥッラーよ、好きなだけ長くするといい。あなたが終わるまで、私が立つことはありません。》

私は心の中で思いました。:アッラーに誓って、アッラーの御使い様に謝り、彼の心を安心させよう。

そして、彼が、《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》と言った時、私はこう言いました。『真実をもってあなたを遣わされた御方にかけて、私は入信して以来、ラクダが逃げたことはありません。』

すると彼は、《アッラーがあなたにご慈悲をおかけくださいますように。》と3回おっしゃいました。その後、二度とそのようにお尋ねになることはありませんでした。」タバラーニー伝承

 

 

ハワート様(アッラーのご満悦あれ)は、女性たちと座って話をしていました。現代でもムスリムの男の子達は、「彼女はタダの友達だよ。」と言い、女の子達とおしゃべりをしたり、冗談を言い合ったりしています。彼らは、「タダの友達」という言い方をします。先生が学生だった頃にも、そういう言い方をして、女の子達とおしゃべりしている男の子達がいました。その前の時代にも、そのまた前の時代にも同じようにいました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の時代にも同じように、そういう男の子達がいたのです。時代が変わっても、一部の男の子達は、自分たちの間違いを取り繕うように同じ言い方をするものです。

 

彼らは、年頃の男の子と女の子が、何の制約もなく、自由におしゃべりをして、冗談を言い合って、笑い合い、一緒に食事をして、男の子の手が女の子の肩に触れたり、男の子がふざけて女の子の髪を引っ張ったり、、、、そういった交流をしても、彼らは、まったく異性に関心のない、全く欲を持たない「機械」だから大丈夫、とでも言うのでしょうか。自分たちは、人間ではなくなったのだ、と言うのでしょうか。本来、男女が自由に交際することで、確実にそこには、間違いが起こる余地が産まれます。実際、現代の年頃の男の子達と女の子達は、そういった間違いに陥っている子が多くいます。しかし、最初はみな、「タダの友達」だったのではないでしょうか。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ハワート様(アッラーのご満悦あれ)が、女性たちとおしゃべりしているのを見た時、どうなさったでしょうか。すぐに、「ハワート、何をしているんだ!そんなところにいてはいけない、来なさい。ここに来て、アッラーに赦しを乞いなさい。どうしてあんなことをしていたのか!!」とはおっしゃいませんでした。

ただ、《アブー・アブドゥッラーよ、なぜ彼女たちと座っていますか?》

とお尋ねになりました。彼(アッラーのご満悦あれ)が、女性たちと座っておしゃべりをしているのを目撃したにもかかわらず、もう言い訳の余地がない状態であるにもかかわらず、ただ、そうお尋ねになられたのです。

 

 

質問:現代では、ムスリムの間でも、男女間の状態が、「タダの友達」ではなく、彼氏、や彼女、という子もいます。親が知らないところで、スマホやインターネットで異性とつながって、チャットをしたり、深夜までおしゃべりをしたりできます。どうすればいいでしょうか。

 

先生:現代は、昔のように、子どもの行動を「監視」することによって、子ども達を守ることができた時代は終わりました。子どもの行動を逐一監視し、携帯の履歴をチェックし、すべてのメッセージを読み、そうやって子どもを見張ることができた時代は、もう終わったのです。その方法は、現代の子どもの正しい教育方法ではありません。現代の教育方法は、子ども達の心の中に、自制できる力を育てることです。それしか、子ども達を守る方法はありません。自分で自分の行動をチェックして、判断できる力を育てることが大切です。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、女性たちと座って話をしている彼(アッラーのご満悦あれ)に声をかけ、彼(アッラーのご満悦あれ)が、「アッラーの御使い様、私のラクダが逃げたので、捕まえたいのです。」と言うのを聞いて、その言い訳をとがめることなく受け入れ、その後に、ご自分の上着を彼に預けています。私はまだあなたのことを信頼していますよ、と、彼をまだ良い見方で見ていることを伝えています。

 

一部の親は、子どもが間違いを犯したのを見た後に、子どもがカバンを持って来てくれても、「私のカバンに触るんじゃない!もうお前のことは信頼できない!!」と言い、子どもとの関係を切ってしまうことがありますが、それは間違いです。すべての信者たちの父親である預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、そうはなさいませんでした。ご自分の上着を、彼(アッラーのご満悦あれ)に預けて、私はあなたに対する期待をまだ捨てていませんよ、と伝えています。

 

その後に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼(アッラーのご満悦あれ)に会うたびに、二人だけがわかる言葉で話しかけます。

《あなたに平安がありますように。アブー・アブドゥッラーよ、あの逃げたラクダはどうしましたか?》

これは隠喩のような働きをしています。女性を追いかける気持ちを、ラクダを追いかける話で思い出させているようです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)からそう言われるたびに、彼(アッラーのご満悦あれ)の中の恥ずかしさが増し、自分で自分の間違いに気づき、自分の中の理性が呼び起こされ、彼(アッラーのご満悦あれ)は、自分の間違いにはっきり気づき、それを正すことができました。

 

親は、子どもの言い訳がどんなに稚拙で、どんなにあり得ないものであっても、その言い訳に敬意を払うべきです。子どもがその言い訳をしたのは、子どもが自分の間違いに気付いているからです。その言い訳を尊重して、そこから対話を始めることが大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼(アッラーのご満悦あれ)の言い訳を、「嘘をつくな。お前は、女性と話したかっただけだ。」と否定したりなさいませんでした。その代り、彼(アッラーのご満悦あれ)に会うたびに、《あの逃げたラクダはどうしましたか?》と彼(アッラーのご満悦あれ)が自分で言った言い訳を思い出させ、彼の中の自制心を呼び起こすように語り掛け続けました。

 

私たちが、子ども達に対する預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の教育法を身につけられますように。

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