イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

2020年07月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-25-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(11:43~20:50)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨

 

視聴者からの電話相談:「小さい時から、父は女の私に対しては高圧的で、男の兄弟ばかりをかわいがりました。いつも兄弟を寛大に優遇し、女の私達にはお金を出し惜しみ、威圧的に命令し、恐怖を感じる存在でした。家では、何をするにも、男が女よりも不平等に優遇されました。

25歳になり子どもも二人いますが、今まで、私の方から父に優しく接しようとする度に、拒否され、今でも普通に話ができません。親への孝行が義務であることはよくわかっているのですが、父に良くしようとして拒否される度に、以前、父のことを必要だった時に拒否され続けた過去がよみがえって来ます。私は、どう親孝行をしていったらいいでしょうか。」

 

回答:まず、このお父様に告げなければならないことは、男の子を女の子よりも優遇することは、ジャーヒリーヤ時代(イスラーム以前の無明時代)の名残であり、その不正によって、地獄で罰を受けなければならないかもしれないという点です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

≪預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元にある男がいましたが、彼の息子がやって来ると、息子にキスをし膝の上に座らせました。そして彼の娘がやって来ると、目の前(の地面)に座らせました。すると、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は言われました。:二人を平等に扱わないのですか。≫アル=バッザール伝承

 

ここでの平等、というのは、息子と娘両方を膝の上に座らせるか、もしくは、二人ともを地面に座らせるかのどちらかです。ここまでの細やかさで、子どもに対し平等に接することを、イスラームは親に教えています。男の子を女の子よりも優遇することは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が嫌悪されたジャーヒリーヤ時代の名残です。

 

しかし、この投稿をしてくださった彼女に対して告げたいことは、お父様から受けた害のことを思い出されたように、お父様から受けた恩恵についても、どうか思い出してみてください、ということです。お父様は、あなたの存在理由となられた方です。お父様がいなければ、あなたはこの世に存在していませんでした。妻にもなれなかったし、母親にもなれませんでした。あなたを食べさせるために、お父様が昼に夜に、疲れて仕事をしていたことを思い出してください。あなたに食べ物を与え、服を着せ、養育を与えるために、お父様がどれだけの苦労をしたのかを思い出してください。あなたが大人になる過程で、またあなたが結婚する時、お父様があなたのことを心配してくれたことを思い出してください。

 

お父様はあなたへの愛情表現が足りなかったかもしれません。あなたを傷つけたかもしれません。しかし、最後には、あなたの父親です。私は、お父様へのこの彼女の不平不満は、好きだからこそ出てくるものだと知っています。もしあなたがお父様のことを好きでなかったなら、不平は出ないでしょう。ただ、不平等で不正を働く者として、お父様を遠ざければ済むことです。しかし、この手紙には、あなたがお父様を好きだからこそ出てくる不平不満が現れています。お父様のことが好きだからこそ、心の中にお父様への嫌悪が入り込むことに我慢できないのです。あなたが今、お父様に対して感じている愛情を、心から吐き出してみてください。どのように吐き出すのか?というと、お父様の恩恵を数えてみることによって、です。

 

私たちは人間です。間違えることもあります。もしあなたに対してお父様が間違いを犯してしまったとしても、他の点では、あなたに対して恩恵を与えているかもしれません。もしあなたのナフス(自我)が、お父様に対して悪いことを考えさせた時は、逆に、お父様の恩恵を挙げてみてください。

 

また、あなたがまだ小さく、お父様の助けなしには生きて行けなかった時、お父様はあなたに庇護を与えてくださいました。今、お父様は年を取り、この先どんどん年老いて行くでしょう。その時になって、あなたがお父様を必要としたように、今度は、お父様があなたを必要とします。お話したように、お父様はあなたに恩恵も与えたし、あなたの必要の一部は満たすことができなかったかもれませんが、お父様があなたを傷つけたように、あなたがお父様を傷つけることのないように。なぜなら、あなたはお父様を通して、アッラーと接しているからです。あなたのお父様への厚遇によって、アッラーのご満足を得られるからです。もし難しく感じたならば、礼拝に立ち、スジュード(跪拝)の時に、この善行を行うことができるよう、アッラーにドゥアーをしてください。アッラーがあなたの心を信仰と畏怖の念の光で洗い流し、あなたに、お父様を大切にすることによるハラーワ(甘美さ)を味わわせてくださいますように!

 

 

司会者「現代でも、この父親のように、男の子を優遇する親は多いように思います。息子と娘だったら、息子には高等教育を受けさせ、娘には受けさせないetc.、女の子を持つことの恩恵を感じない風潮が根強く残っています。こういった場合に必要なのは、イスラームの知識をもっと深く得ることでしょうか、それとも、自分が授かった子どもに対するアッラーへの満足を持つことでしょうか?」

 

先生:男の子と女の子のどちらが自分にとってより良いのかは、まったくわからないことを思い出すことが必要です。親に反抗する息子よりも、親孝行な娘の方がいいでしょう。また、親に反抗する娘よりも、親孝行な息子の方がよいでしょう。どちらが良いかは、性別にはまったく関係ないことです。

 

【アッラーの御許で最も貴い者は、あなたがたの中最も主を畏れる者である。】クルアーン 部屋章49-13

 

より良い人かどうかは、その人のアッラーとの関係、周りの人との関係によるのであって、性別は何の関係もありません。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこう言われました。

 

《誰でも女の子が産まれても、生き埋めにせず、軽蔑せず、彼女よりも息子(男の子)を優遇しなかった者は、アッラーが、彼女によって、彼を天国に入れてくださいます。》イマームアハマド伝承

 

《誰でも三人の娘を養い、彼女たちを満足させ、慈悲をかけ、親切にした者は、彼女たちによって天国に入ります。

ある男が言いました。「アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)よ、二人では?」

すると彼は言いました。「二人でも。」

もし誰かが「一人では?」と言っていたら、「一人でも」、とお答えになられたでしょう。》イマームアハマド伝承

 

これらのハディースが証明するように、男の子を女の子よりも優遇することには何の根拠もなく、ただのイスラーム以前の古い慣習です。

 

しかし、女の子よりも男の子の誕生を喜ぶのは、一概に性差別ではなく、現代の女の子の育て方の難しさもあるかもしれません。男の子が間違いを犯しても、女の子が間違いを犯しても、来世では同じ罰ですが、現世では、女の子の方がより多くの代償を支払うことになってしまうからです。婚外交渉の危険など様々な危険から、子どもを守ることにおいて、特に女の子の方が男の子よりも難しいです。ただ、それは、女の子に対する庇護をより強くするという方向に向くべきであって、女の子を嫌う、という方向に向くべきではありません。女の子が成長するたび、また思春期になっても、いつも父親が自分のことを心配してくれて、話を聞いてくれて、父親の愛情をいっぱい心に受け止めて育った女の子は、それ以外の異性の存在を探す必要がありません。反対に、父親の愛情を欲しても得られずに育った女の子は、思春期になると、異性の興味が自分に向くこと、異性が自分を認めてくれることを必要とするようになってしまいます。

 

アッラーが子ども達をお守くださいますように。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿