イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

続)ムスリムの子ども教育-21-思春期の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問5

2020年06月14日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-21-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生17」(46:00~最後)@イエメン

https://www.youtube.com/watch?v=b13M2hUECcU   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨

 

イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(12)視聴者からの質問

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

番組に寄せられた子どもからの質問:「最近、父が亡くなりました。亡くなった父を、母はとても恨んでいて、父から受けたひどい扱いについていつも話します。最近産まれた自分の子どもに、父の名前を付けようと思っていますが、母からは、絶対に父の名前をつけるな、と反対されています。母の話を聞いて、父への尊敬が揺らいでもいます。どうしたらいいでしょうか。」

 

先生の回答:「あなたの状況はよくわかりました。まず、イスラームにおける父親の権利と母親の権利というところからご説明します。亡くなったお父様に対する権利は、彼のためにドゥアーをすること、お墓を訪問すること、彼の友人や兄弟姉妹に良くすること、です。また、あなたにとっての母親の権利というものもあります。そして母親の権利は、父親の権利よりもより重要です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにあるように、誰に一番尽くすべきか、という質問に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、あなたの母親です、次もあなたの母親です、その次もあなたの母親です、と三回繰り返し、その次は?と四回目に尋ねられて初めて、あなたの父親です、とおっしゃいました。

 

しかし、父親の権利を果たさないことが、母親の権利の一部に含まれることはありません。つまり、母親を満足させるために、父親の権利を果たさない、ということはできません。そこにはバランスがあります。母親の権利が父親の権利よりも大きいからと言って、母親の権利を使って、あなたに、父親の権利を放棄させる、ということはできないのです。亡くなられたお父様の権利を果たすことは、お母様を傷つけることなく行うことができます。両方の権利を大切にするために、お母様を傷つけない方法で、お父様の権利を果たすことだけに集中してください。

 

また、もし、お母様に会うたびに、亡くなったお父様の悪口を聞くことに耐えられないのであれば、お母様が落ち着いている時を見て、お母様に声をかけてみてください。決して、お母様に、「あなたは間違っている」、とか、「亡くなった父の悪口はもうやめてくれ」、などと直接言ったりしないように気を付けましょう。お母様は、あなたが、もう自分の味方ではなくなり、すっかり父親の味方になってしまったと感じてしまうからです。そうではなく、「お母さん、お父さんは間違っていたかもしれない、お母さんを傷つけてしまったし、苦しめた。僕にはお母さんの苦しみを全部わかってあげることはできない。でも、お父さんはもう死んでしまったんだ。もうここにはいない。ただアッラーのご慈悲があるだけだよ。」一度だけ、こう話して、お母様の手を取って、しっかり慰めてあげてください。お母様が、あなたがお母様のことを本当に大事に思っている、と心から感じられるように、側にいてあげてください。もしかしたら、お母様は、お父様が亡くなったことで、あなた達の気持ちがお母様から離れて、お父様の方に関心が行ってしまった、ひどい目にあって来た自分は子ども達に忘れ去られてしまった、と感じ、寂しく感じているのかもしれません。

 

また、お子さんの名前については、問題ありません。お父様の名前を付けることは、お父様に対しての義務ではないし、あなたがお父様に対してできることはもっと他にたくさんあります。お母様を傷つけない形で、お父様の権利を果たせばよいことです。他の良い名前を付けて、お母様を満足させてあげてください。」

 

司会者「彼の問題は、一般的によくあることです。子どもが、父親と母親に意見の相違がある場合、どちらの側に付くべきか?とても悩みます。また、子どもが父親に対して嫌悪感を抱く一番の理由は、父親が母親に対してひどいことを言った、母親に暴力を振るった、母親を大切に扱わない、こういったことで、そこから、父親を嫌悪するようになることがよくあります。しかし、子どもには、親の喧嘩の原因をすべて理解できる訳ではありません。子どもは、父親の側につくか母親の側か、どうやって選んだらいいのでしょうか。」

 

先生の回答:「この問題の核心は、どちらに付くかという点ではありません。根本は、子どもの見ている目の前で、親が互いの意見の相違を見せてしまい、喧嘩をすること、それ自体です。もし父親と母親の間に問題が生じたのなら、二人で部屋に入り、子ども達のいないところで、それを解決すべきです。子どもから遠く離れたところで、自分たちだけで問題解決をすべきです。子どもの目の前で、両親が言い争っているということが決してあってはなりません。子どもが思春期を過ぎて、親の問題を一緒に解決できる年齢になっており、教育的に問題を子どもに提示するのであれば別ですが、そうでなければ、決して子どもの前で夫婦の意見の食い違いを話し合うべきではありません。

 

まして、父親が母親に怒鳴っている、暴力を振るっている、母親が父親に向かって叫んでいる、、、こんな姿を子どもに決して見せるべきではありません。もし相手が急にそういったことをしてきても、子どもの前でそれが起きるのを避けるため、トイレでもお風呂場でも行って、その場を離れましょう。両親のそんな姿を見てしまった子どもは、精神的にとても不安定になります。子どもの心が破壊されます。親のそんな状態を見せておきながら、自分の両親を尊敬しなければならない、と言われる、子どもは訳が分かりません、これは、とてもとても大きな問題です。これは、子どもの問題ではなく、親の問題です。

 

しかし、もしも自分の親がこういった状態で、親の夫婦喧嘩を見てしまった場合、アッラーは、あなたにこういったことを、家庭を持った時には決してしないように、という教訓を与えてくださっているのだ、と理解しましょう。それはアッラーの英知です。あなたは、親の喧嘩を見てしまった、それがどんなに子どもにとって辛い経験か、よくわかっています。あなたにはそれが理解できます。あなたの子どもに、この苦しみを決して味あわせないようにしよう、と決意してください。

 

また、注意しなければならないのは、あなたがどんなに親の欠点を見たとしても、それを、親への礼儀を欠く言い訳にすることはできない、という点です。あんな親は、親孝行される資格がない、、、そんなことはありません。どんな親であっても、親の欠点が、あなたに対する親の権利を無効にするわけではありません。父親が、どんなにひどい人であっても、あなたは、父親に対して礼儀正しく接するべきであり、母親がどんなにひどい人であっても、あなたは、母親に対する礼儀を欠くことは許されません。なぜなら、アッラーが、私たちにそう命じているからです。親がムスリムであっても、ノンムスリムであっても同じです。

 

親孝行は、アッラーが私たちに義務付けていることです。親孝行は、崇拝行為です。欧米でも日本でも、親にどう接するかは、ただ家族の問題、社会的な問題だと思われていますが、イスラームは、そうではありません。このことは、最近のアラブ圏の若者達にも、しっかり時間を取って説明しなければならなくなってきていますが。イスラームでは、親に対する振舞いは、もっと重要な問題です。私と父の関係は、それによってアッラーへと近づく崇拝行為です。母との関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、とても大切なものです。また、両親にとっても、子どもとの関係は、それによってアッラーを崇拝することができる、崇拝行為です。この点が理解できていれば、親が自分に何もしてくれなかった、親にひどいことをされた、という狭い枠から解放され、違う視点を持つことができます。」

 

アッラーが私たちに親孝行をお恵みくださいますように✨ ✨ ✨

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続)ムスリムの子ども教育-20... | トップ | 続)ムスリムの子ども教育-22... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

預言者の教育方法」カテゴリの最新記事