イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

続)ムスリムの子ども教育-17-思春期の子ども達とのかかわり方(8) 視聴者からの質問

2020年02月07日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-17-

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生16」(40:38~最後)

https://www.youtube.com/watch?v=8IKeIlrPnnk   

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨  ✨

 

イスラームにおける思春期※の子ども達とのかかわり方(8) 視聴者からの質問

 

※思春期:

医学的には「第二次性徴の発現の始まりから成長の終わりまで」と定義。(ウィキペディア)

イスラーム的には「10歳からブルーグ※までの時期」

※ブルーグとは?:ムカッラフ(イスラーム法学上の義務行為を行う義務が課せられる者)になること。男の子は精通、女の子は初潮が来ると「ムカッラフ」となる。ブルーグに達した子どもたちは、すでに思春期を卒業し、「ムカッラフ」として、アッラーの元でイスラーム的な義務を負う「成人」の状態になる。

 

 

子ども達から親への不満:

「私が電話していると、誰からだ?どうして話をするのか?と親が詮索して来る。そして、友達のことを、あの子は良くない、付き合わないように、この子は自分勝手であなたを利用している、とジャッジします。うんざりです。」

「僕が10時間以上勉強した後、やっと休憩していると、親が、どうして勉強しないのか?と怒る。少し休憩しているのだというと、休憩するのは十年早い、勉強しろ、と。」

 

回答:親子の関係で、私が自分の母親を思い出すのは、母が私に、「私はあなたの話を聞きます。だから、あなたも私の話を聞いてくださいね。」といつも言っていたことです。親が子どもの意見をしっかり聞くことで、子どもは、自分には価値がある、親は自分の意見を尊重してくれている、と感じることができ、子どもの自尊心が育ちます。その上に成り立った親子関係では、子どもが一方的に自分の意見を通すこともなく、親が一方的に子どもに命令することもありません。お互いがお互いの意見を聞き合い、尊重し合う友達のような関係、それがとても大切です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)も、ご自分の子どもの意見を受け入れて尊重していました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)と娘さんのザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)の逸話があります。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマディーナへとヒジュラされた時、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、夫のアブー・ル=アースと一緒にマッカに残っていました。彼女の夫、アブー・ル=アースは、ムスリムになっていなかったため、バドルの戦いでマッカの多神教徒達の側にいて、ムスリム達に敵対して戦い、ムスリム軍に捕えられ、捕虜となりました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、捕虜解放の手段を、親族が身代金を払うか、捕虜本人がムスリム子弟10人に読み書きを教えること、とされました。

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の元に、捕虜になった人達の身代金が届いた時、その中に、首飾りがありました。それは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の奥様のハディージャ様(アッラーのご満悦あれ)が、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)とアブー・ル=アースとの結婚に際して、彼女に贈ったものでした。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はその首飾りをご覧になると、彼女に同情し、ある伝承によると、涙を流され、こうおっしゃいました。

《この首飾りは、ハディージャものです。もしあなた方が、彼女の夫を解放し、彼女の首飾りを返却するのがよいと思われたなら、そうしなさい。》

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、命令はなさいませんでした。あくまで、決定は、ムスリム達に任されました。ムスリム達は、もちろんです!と答え、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)に、首飾りを返しました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アブー・ル=アースに、解放の条件として、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)をマディーナに移住させることを約束させました。すでに、ムスリマ女性は、ムスリムでない夫と一緒に住むことが禁止されたためです。アブー・ル=アースはその約束通り、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)をマディーナへ送りましたが、その旅の途中、マッカの多神教徒達が彼女の乗ったラクダを突き、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)はラクダから落ち、妊娠していた子どもを流産してしまいました。その時の傷の痛みは、ヒジュラ暦8年に彼女が亡くなるまで続きました。

 

それから6年後、アブー・ル=アースは商人として、マッカの多神教徒達からお金を預かってシャーム地方で商売をするために旅に出ました。旅の途中で、マッカの多神教徒達に財産を没収されたムスリム達が、その代替として多神教徒達のお金を持っている彼を捕まえ、持っていたお金を没収しました。アブー・ル=アースは、捕虜になりそうになったところを逃げ、マディーナのザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)の家に助けを求めて訪れました。ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、彼を家の中に入れると、マスジドでファジュルの礼拝をしていた預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)とムスリム達のところに行き、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が礼拝最後のタスリーム(座った状態で左右にサラームをする動作)をする前に、大声で人々に向かって叫びました。

「人々よ、私は、アブー・ル=アースを保護しました。」

 

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はタスリームを終えると、おっしゃいました。

《人々よ、私が聞いたことを聞きましたか?》

人々が、「はい」と答えると、

《ムハンマドの命がその御手にある御方にかけて、あなた方を聞いたことを聞くまで、私は何もこれについて知らなかった。実に彼は、ムスリム達に保護されました。》

 

それから預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘のザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)のところに行くと、こうおっしゃいました。

《娘よ、その客を丁重にもてなしなさい。そして、彼があなたに近づかないようにしなさい。あなたは、彼にとって許されていないのですから。》

 

その後、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アブー・ル=アースのお金を没収したムスリム達のところに行くと、こうおっしゃいました。

《この男は、知っているように私たちの同族者です。あなた達は、彼からお金を受け取りました。もし、あなた達が良い振舞いをされるのでしたら、彼のお金を返すことで、私たちはそれを好みます。もし、それを拒否するのでしたら、それはアッラーがあなた達にお与えになった戦利品であり、あなた方に最も権利があります。》

人々は、「アッラーの御使い様よ、私たちはそれを彼に返します。」と言いました。

そして、ムスリム達は、彼から没収したお金や品物を少しも欠けることなく全額返しました。アブー・ル=アースは、それを持ってマッカに戻り、多神教徒達に、彼らから預かったお金をすべて返却すると言いました。

「クライシュ族の方々よ、私のところに、まだ受け取っていない自分のお金が残っている方はいますか?」

人々は言いました。「いいえ、ジャザーカッラーフ ハイラー。私たちは、あなたが完全に約束を守られる方だとわかりました。」

すると彼は言いました。「アシュハドアッラーイラーハイッラッラー、ワ アシュハド アンナ ムハンマダン アブドゥフ ワ ラスールフ(私はアッラーだけが神であることを証言します。私はムハンマドがアッラーしもべであり、使徒であることを証言します)。私からイスラームを妨げるものは何もありませんでした。ただ、あなた方のお金を欲したと思われる恐れ以外は。ですから、アッラーがそれをあなた方に戻してくださり、その恐れがなくなった今、私は、ムスリムになりました。」

 

彼はマディーナへと戻ると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところへ行き、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)との結婚を許しました。

 

ザイナブ様(アッラーのご満悦あれ)は、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の許可なく、夫を保護する、という決定を自分一人で決め、それを大勢の人前に出て発表する、という行動を起こしました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、娘の決定と行動を尊重し、そのことが、イスラーム的に問題がないことを人々に告げ、娘の行動を支持しました。その結果が、アブー・ル=アース様(アッラーのご満悦あれ)の入信につながりました。

 

親が子どもの行動を認め、受け止め、応援することで、親子の関係はもっと良くなるでしょう、インシャーアッラー。

 

親からの質問:

「息子が悪い友達と付き合っていて心配だ。友達が息子の性格や言動に大きな影響を与えている。どうしたらいいか。」

 

回答:預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がマッカを開城した年、それに反発したマッカの多神教徒の諸部族が結集し、フナインの戦いが起こりました。その戦いの後、アザーンが制定され、マッカの人々は初めてアザーンを聞くことになります。当時16歳で、マッカ郊外に住んでいたアブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)も、その一人でした。初めてアザーンを耳にした彼(アッラーのご満悦あれ)は、友達たちとそれを馬鹿にし、一緒に真似していたことを、ご自身が伝えているハディースがあります。

 

「私は、10人の若者達と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに出かけました。我々にとって彼はもっとも憎悪する人でした。そこで、アザーンをしていたので、私たちも彼らをからかって、アザーンを真似して唱えていました。すると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がおっしゃいました。

《私のところにあの青年たちを連れて来なさい。》それから、こうおっしゃいました。《アザーンをしてみなさい。》そこで我々はアザーンをし、自分もそのうちの一人でした。すると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、(私がアザーンを唱えると)

《そう、これが、私がその声を聞いた者だ。行って、マッカの人達のためにアザーンをしなさい。》

とおっしゃいました。そして、私の前髪に触れ、言われました。

《アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、アシュハドアッラーイラーハイッラッラーと2回、アシュハドアンナムハンマダンラスールッラーと2回、そして、アシュハドアッラーイラーハイッラッラーに戻って2回言い、アシュハドアンナムハンマダンラスールッラーと2回、ハイヤーアラッサラート、ハイヤーアラッサラート、ハイヤーアラルファラーフ、ハイヤーアラルファラーフと2回、アッラーフアクバル、アッラーフアクバル、ラーイラーハイッラッラー。また、スブフ礼拝の時にアザーンを言う時には、アッサラートハイルンミナンナウム、アッサラートハイルンミナンナウムと2回。そして、イカーマをする時には、カドカーマティッサラート、カドカーマティッサラートと2回言いなさい。あなたは、聞きましたか。》

伝承者は言いました。アブー・マハズーラは、その前髪を刈ることも分けることも決してしませんでした。アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がそれに触れたためです。」イマームアハマド伝承

 

 アブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)は、こう言っています。「預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が私の前髪に触れた時、(別の伝承では、前髪と胸に触れた時)、アッラーに誓って、私の胸は、イーマーン(信仰)とヤキーン(確信)で一杯になりました。そして、わかりました、この方はアッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)だ、と。」

アブー・マフズーラ様(アッラーのご満悦あれ)はその後、マッカでムアッズィンとなり、亡くなるまでその役目を果たしました。

 

アザーンを馬鹿にして真似する友達たちと一緒にいて、自分も馬鹿にしていたような状態の時に、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)から、突然、ムアッズィンの役割を言い渡された彼の驚きを考えてみてください。悪い友達の影響は、良い人と出会うことで変化します。そして、親がその役割をすることは十分に可能です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のように、どんな時でも子どもを善い見方で見ることで、子どもは良い方向に変わることができます。

 

ムスリムの子ども達に、アッラーのご加護がありますように。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続)ムスリムの子ども教育-16... | トップ | 続)ムスリムの子ども教育-18... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

預言者の教育方法」カテゴリの最新記事