گوشت (グーシュト)
イスラームの国では大抵そうだと思うが、市場の一隅にある肉屋の風景は、いささかショッキングだ。上の写真のように、イランのバーザールの軒先には羊の頭がドンと置かれていることがある。しかもこの写真の羊、歯を剥き出しにして、まるで笑っているかのように見えるではないか!その正面には切り取られた足が、あたかも羊に向かって、「あなたの一部ですよ」と言わんばかりに並べられている。
かつて私が訪れたイスラームの国々では、屠られ皮をきれいに剥がれたハラールの羊が、足首を縛られ丸ごと軒下に吊り下げられている光景を幾度となく目にした。
以前アラビア語の「肉」でも書いていたが、大抵これらは防腐剤の毒々しい赤で全身を染められている。あるアラブの国に通い続ける友人の話では、市場で買ってきた肉を茹でると、鍋の中の湯がまるで地獄のように赤く泡立つ・・・というものだから驚いた。
さて、上の羊の写真に話は戻るが、イランでは、羊の頭と足を使った有名な料理が存在する。その名も「キャッレ・パーチェ」といい、訳すと「頭と足」。そのまんまの名前である。イランの街角にはこの羊肉料理を専門とする「キャッレ・パーチェ屋」があり、テイクアウトも可能。イラン人の日常の会話には、「あそこのキャッレ・パーチェ屋が美味しい」「いや、あそこの方がいい」といったものがしばしば登場する。それだけ人気料理だということなのだろうが、見かけがなんともグロテスクで、私はまだ食す勇気がない一品なのだ。
キャッレ・パーチェ屋に入ると、備え付けの大きな鍋で、たっぷりのスープが熱々の湯気を立てているのが目に入る。冬の寒い日などには食欲をそそられる光景だ。しかしその鍋の淵には、例の頭丸ごとの「笑う」羊とその足が、ずらりと並べられているのだ。羊たちはグツグツととろける様に柔らかくなるまで煮詰められ、テーブルに並ぶ時には、その頭をぐちゃぐちゃにほぐして給仕されるのだろうが、羊のあの無邪気な目に見つめられた後では、どうにも食欲をなくしてしまうのだ。味付けはいたってシンプルで、羊で出汁をとり、後は塩・胡椒のみ。
しかし、イラン通の日本人たちは、一度食べたら病みつきになると口を揃えて言う。
しかもキャッレ・パーチェは大抵朝食に食べるものなのだとか。日本人が朝ごはんに焼き魚を食べるという習慣も、外国人から見たら相当奇異に映るかもしれないが、羊の頭(脳ミソ入り)を朝御飯に、というのも、日本人の私から見たらなかなか勇気がいる決断だ。
グルメの方は一度イランを訪れ朝食にキャッレ・パーチェを食してみては如何でしょう。(m)
*他にもイタリアのプロシュート、英語のスラングのミート、ギリシャの串焼き肉、スペインのハモン・セラーノ、大航海時代の始まりを告げたポルトガルの肉など、『地球散歩』には肉料理が盛りだくさん!
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そうそう、この写真からはやはり沖縄や中華の豚足やミミガーを思い出しますよね~。
私は魚の頭もコワイのですが、羊ちゃんの頭よりは食べてみようかという気になります。
でも、食習慣の違いを超えて、やはりイランにいるうちに一度は、このキャッレ・パーチェ、食べてみないわけにはいかなくなってきましたね~。
マグロの頭なら全然大丈夫なのですが、なぜかこれらについてはグロテスクと思ってしまうのは、やはり食文化の違いなのでしょうね♪
グルメではありませんが、是非とも一度は食してみたいです。(中華の豚足はOKです。私)
やっぱり伊達に隣の国ではないですね~(笑)。
旦那様、お好きですか。いや、イラン人もみんな好きだから
トルコ人も皆さんお好きに違いない(笑)。
ああ、頬肉は美味しそうですね、確かに。だけどやっぱり脳みそは
白子っぽい、あの食感が私には。。。
「ケッレパチャ」以外で美味しい食べ方があったら伝授して下さい。
度重なるお引っ越しご苦労さまでした。
こちらこそご無沙汰してしまってすみません。
またイスタンブールライフを覗きに参りますね!
うちのダンナの大好物なんですよね。私は、あの羊・羊した匂いが苦手で、どうでもいい存在です(笑)。このスープと一緒に頭の丸焼きにかぶりつく、というのがいつものパターンです。ワイルド!
頭といえば、脳みそと頬肉は好きです。コクがあって美味しいのです。
引越し&片付けも一段落しましたので、これからまた遊びに来ますね。よろしくお願いします!
イスラームの国々では、おそらく食べない部位はないと
思います。市場ではありとあらゆる部位の肉が売られていて
ちょっとビックリします。どうやって食べたらいいか戸惑う
ものもありますし。そうそう、沖縄に似てますよね!
「キャッレパーチェ」いよいよ挑戦してみなければならない
でしょうか(笑)?
アラブの肉の防腐剤、自然なものだといいんですけど。
多分違う気がします。正体を突き止めます!
とくに歯むき出しで、笑ってみえて、まるで話しかけられそうですね(笑)
でも肉全て食べているみたいで、イスラームの食生活に好感が持てます♪
部位は細かく売っているのでしょうか?
私は「キャッレ・パーチェ」は匂いがきつくなければ、食べられるな~^-^コラーゲン多そうですね。
それよりもアラブの肉に鍋が赤く泡立つくらいの防腐剤はいやだな~。自然な防腐剤なのしょうか??
文化/習慣の違いにより肉や魚の食べる場所が違うのは
興味深いですね。私は魚の頭もあまり得意ではないのですが
羊の頭よりはさすがに抵抗なく食べられますから。
私は残念ながら、病み付きにはなれないような気がします。
魚はよくて肉の頭はダメなのかと言われると、うーむという感じですが、あまりにリアル・・・。
しかし、やみつきになるというその味、ぜひ食べてみたいです。
タヌ子さんがおっしゃるように、全て残さずに
食べつくしてしまうことはよいことであり、
イスラームの知恵だと思います。
ところで、私がキャッレ・パーチェを食わず嫌いに
なってしまった理由は、以前頭でなく「脳ミソ(羊)」がそのままの形でプッカリ浮いている
スープを出された経験があるから・・・なのですが、
それに比べたらキャッレ・パーチェ、行けそうな気
がしてきました。
お一人ですね。
そうそう、形が私はダメなんですが、姿が
分からなければ案外美味しい美味しいと
食べつくしてしまいそうな気がします。
オルサさんはお好きそうですか!?
味は多分美味しいんだと思います。
確かに。食習慣って慣れが大きいですから、
「姿煮」を日々目にするうちに平気になるのかも。
私がキャッレ・パーチェを食す日も近いかも。
そうそう。「イナゴの佃煮」も、私が食べたくない
もののひとつです。決して偏食家ではないんです
けどね。
全て無駄にせず食べるというのは良いことだとは思うのですが、見てしまうとやっぱり退きますね・・・
でも、きっと美味しいのだろうな、とは思います。
中身がなにであるか分からず、形がなければ食べられそうな気がしますが、どうなんでしょう。
やっぱり一度行ってみないことにはなんとも言えません。
チョット引きますよね。
でも何でも食べてみたい性格が邪魔?して、
私は手(口)を出してしまいそう。
それと知らなければ、多分すんなり食べれるのか…も?
そう思う私が仮にイランで生まれていたら、嬉々として口に頬張っていることでしょう。
母曰く、子供の頃は好きだったイナゴの佃煮、今はとてもじゃないけど食べる気がしないそうです。気持ち悪くて。
その逆ってありうるのでしょうか?日々目にしていれば、慣れてきて次第に気持ち悪く感じなくなる?