ピッコロ便り

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ピッコロ舞台技術学校「OBのいま」③ 岩花さとみ さん

2019年03月26日 | 演劇学校・舞台技術学校

あちらこちらで桜の開花宣言がされ、春の訪れを感じる今日この頃。

先日、平成31年度生の前期選考試験があり、4月から新たに入学する第28期生の一部が決定しました。3月に卒業した27期生は、舞台関係の仕事に進んだ人も多かったため、春からはニューフェイスが増えそうです。

久々に掲載の「OBのいま」は、舞台技術学校9期・10期卒業生で「株式会社ハートスの岩花さとみさん」です。

『みちのくのスポーツ少女!!』

岩花さんは岩手県出身。幼い頃から運動神経抜群で、小中学校ではサッカー部・陸上部・バトミントン部など様々な運動部を掛け持ちし、雄大な自然の中を駆け回っていました。将来はオリンピック選手?と騒がれていたかどうかはわかりませんが、アクティブなスポーツ少女としてその名を轟かせていました。

『そして高校へ!』

そんな岩花さん。高校に入学し運動部からの勧誘合戦が繰り広げられた結果、勝ち名乗りをあげたのは、なんと演劇部!? ある意味体力勝負的なところもある演劇はスポーツの一種目と考えられなくもないですが、かなりの方向転換… 周りの人たちもさぞかし驚いたことでしょう。これは、宝塚歌劇大ファンの先輩に引っ張られてのこと。演劇部に籍を置き、何だかわからないままに演劇少女への道を邁進(まいしん)することになります。

『そして関西へ!』

高校時代は宝塚先輩の英才教育を受け、演劇人としてもデビュー?を果たした岩花さん。大学は岩手からわざわざ1000㎞以上離れた関西の大学へ!

しかし舞台とは全く関係のない学部への進学で、やはりと言うか当然というか大学時代はキャンプをしながら高校生と交流するサークルに所属し、北海道から九州まで全国津々浦々の山野を巡っていく超体育会系な活動に明け暮れていました。

『そしてピッコロへ!』

ご両親は放任主義だったため、就職を急かされることもなく優雅な学生時代を過ごしてきた岩花さん、卒業後はフリーターをしながらゆるゆると暮らしていました。

大学時代は演劇から離れていましたが、宝塚先輩の教育のおかげか観劇だけは地道に続けていて、劇場でたまたま見つけた舞台技術学校募集チラシを見て即入学を決意したそうです。高校演劇部の経験から、観劇のたびに裏方さんの技術や発想のすごさに魅了されていて自分でもやってみたいと常々思っていたからです。かつてのスポーツ少女の人生は、これをきっかけに大きく転換していくこととなります。

『そしてプロの道へ』

舞台技術学校には結局2年間通って、株式会社ハートスにアルバイトとして入り、その後働きぶりが認められて正社員として採用されました。ピッコロに通い始めたころはプロになろうとは思ってなかったのですが、熱心に自分のやりたいことをやり続けたことがプロ技術者という結果となってあらわれました。ご本人曰く「もちろん運や巡り合わせも良かったのだと思いますが、頑張ってきたからこその“運”だと思います。」

 
『物語はこれで終わりじゃない!』

入社後数年は懸命に現場の仕事に取り組んでいましたが、異動で大阪の国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)の劇場管理を任されることになりました。担当は自分ひとり…これまでは照明だけやっていればよかったのが、舞台・音響・映像・マネジメントに至るまであらゆることをやらなくてはいけなくなり、てんてこまい!大失敗は数知れず…大変でしたが、初めての劇場付きは仕事面だけでなくホールを利用される方たちとの交流など、数多くの体験ができて、岩花さん自身にとって大きな財産となりました。

『岩花さんから、プロを目指す未来の後輩たちへ』

上司からピッコロ舞台技術学校の講師を打診されたときは、正直ビビりました。他人にモノを教えるなんて経験はほとんどなかったから。それでも頑張って講師を始めてもう8年、いつも思うのは「勉強になる」ということです。ほとんどの学校生が初心者なので、その人たちに伝えていくとき、いつも何となくやっていたことの意味や業界で当たり前に通じていることが、普通の人には当たり前でないということに気づかされます。ちゃんと伝えるために伝え方・接し方を考える、これが毎日の仕事の中でも活きてきていて、毎年新しい後輩たちに出会うのがとても新鮮で楽しみです。

この学校を受験しようという人の中には、プロを目指している人もいると思います。実際多くの先輩たちが活躍していますし、恐れずチャレンジしてほしいと思います。わたしがみなさんに言えることは、まず“好き”という気持ちが必要だということ。何が好きで何をやりたいかということを考えてほしい。そして仕事になっても勉強は必要であるということ。私自身、多忙ですが観劇にはできる限り通うようにしています。私にとって演劇はもう人生に欠かせないものとなっていますし、他のプランナーやオペレーターのアイデアや技術を学ぶ絶好の機会だからです。

“好き”を仕事にすることは夢ではありません!趣味を持ちましょう、挑戦しましょう。この世界はいつでもあなたたちを待っています。悩んだり考えたりしているだけでは道は開けません、さあ動き出しましょう!

『最後に』

こういう風に他人を励ましていると「あなたは才能があるから」とか「できる人だから」とか言う人もいますが、私はどちらかというと、覚えるまでに時間のかかるタイプで、決してエリートではなかったと思っています。同じことでも3日でできる人もいれば3年かかる人もいます。最初は順調でも後々伸び悩む人もいるし、その逆だって… 人はその人の数だけ個性や才能が眠っているものです。誰でも化ける可能性は秘めています。私は本人がやりたいという気持ちと情熱を失わない限りは、応援していこうという気持ちを持っています。

では4月に、また新しい後輩たちに出会えることを楽しみにしています。

岩花さんの「OBはいま」はいかがでしたか?過去に掲載された「OBはいま」もお読みいただけます。以下のリンクからどうぞ。

「OBのいま」① 渡辺 舞さん

https://blog.goo.ne.jp/piccolo-town/e/35cba71e5ed9b9a72af6211de56d676f

「OBのいま」② 竹内哲郎さん

https://blog.goo.ne.jp/piccolo-town/e/b774881da7ed9387da51e4ab406f6aaa


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