ピッコロ便り

ピッコロシアター、県立ピッコロ劇団、ピッコロ演劇学校・ピッコロ舞台技術学校など、劇場のトピックをご紹介します。

退任にあたって

2012年04月07日 | 劇場の話題

私こと3月31日をもって館長を退任しました。

1992年4月、初代館長山根さんからバトンを受け取ってからちょうど10年が経過しました。

思い起こせば楽しかったこと、苦しかったこと数えきれませんが、利用者の皆さん、地域の皆さん、職員、劇団員に支えられ、がんばっていただいて何とか無事に職務を終えることが出来ました。

ピッコロシアターは今年開館34年、貸館事業と自主事業2本の柱で、舞台芸術を創る、表現する、観ることを目的として運営してきました。利用者は年間平均して11万人前後で推移していますが、ここ3年は増加傾向に転じています。

また、ピッコロシアターは劇団と学校を持っていることが全国に誇れる大きな特色です。しかし、演劇界は10年前既に冬の時代に入っていて、未だに回復の兆しはなく、「質の高い演劇を創ること」と「より多くの観客に観てもらうこと」の両立が極めて難しい状況が続いています。

少子化、価値観の多様化、長期の景気低迷の中で学校生も減少・低迷傾向にありましたが、昨年から増加に転じ、今年は大幅に増えそうで、よろこばしい限りです。

劇場建物は古くなってもメンティナンスさえしっかりやれば、年を重ねるごとに落着きとして風格をかもし出すものです。それより人が集まり、人が動けば、劇場があたかも呼吸し、生き続ける様な気がします。これからも出来るだけ多くの皆さんが足を運び、活動する劇場でありたいと願っています。

一方、劇団はピッコロシアターでの活動だけではなく、外へ出かけていく機会が増えそうです。学校教育の中で表現力やコミュニケーション力を身につけるため、演劇がとりいれられる等「演劇を学ぶ」から「演劇で学ぶ」という場が今後増えることも予想されるからです。

4月からは相談役として、一歩引いた立場で新館長を支えながら、ピッコロシアターの運営に関わっていきます。週に2~3回出勤しますので気軽に声をかけてください。

長い間ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。


兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター)

相談役 藤池俊