レンタル、五本まとめて1000円期間ということで、例によって長時間選定作業に入る。本当、最近は、見たいものは一通り見てしまっているので選ぶのに苦労する。何でも端から見るなどという気力は、もうとうに無い。
日本映画では「のんちゃんのり弁」を見ようかと思ったが(消去法で)、生憎レンタル中。旧作で何か無いかと探すと、以前は監督別に整理されてなかった棚が監督別にすっきり整理されていた。しかし、間違っても「加藤泰」「森一生」などのコーナーはない。せいぜい「増村保造」までだ。当然「小津安二郎」のコーナーはあるが、その品揃えはあまりに貧弱。笑ったのは「鈴木清順」のコーナー。あるのはいいが、そこにあったのが「殺しの烙印」だけ。これはある意味凄いが、単なる偶然、出会い頭の衝突と理解した方がいいだろう。がそんなイマイチな監督コーナーで、何故か「成瀬巳喜男」が充実していた。旧作と言っても、ここまで旧作になるかの世界だが。
成瀬作品は一通りは見ているはずだが、何か見落としたのが無いかとチェックすると「稲妻」という作品があった。同じようなタイトルが多いので、見たのか見てないのかはっきりしない。解説を見るとどうも記憶にない。結局これを借りることにした。
「稲妻」、高峰秀子主演の昭和二十年代の東京を舞台にした、父親がそれぞれ違う四人姉妹(兄弟)の物語だ。貧すれば貪する人間の姿が、あざとさのない演出で描かれている。そんな中で自立していく主人公の高峰秀子は実に魅力的だ。そのしっとりとした世界はまさに成瀬ワールド。対局にあるのが橋田ドラマといったところではないだろうか。それにしても思うのは、日本のテレビドラマのレベルの低さである。