ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

レンタルDVD

2010年05月29日 | 映画


この前借りたレンタルDVDの内訳は、サム・ライミの「スペル」、韓国映画の「チェイサー」、フランソワ.オゾンの「8人の女たち」、ゴダールの「アワーミュージック」、そしてもう一本は、と今思い出そうとしたら何と思い出せないではないか。まあ、思い出せないくらいの印象の薄い映画だったのだろうと言うことで、この四本について。

一番つまらなかったのは「チェイサー」。実際にあった猟奇事件を元にしたものということだが、それで思いつくのはポン.ジュノの「殺人の追憶」。主人公の破天荒な性格(この映画では元刑事)とか、不気味な犯人を追うストーリー展開とその重苦しい雰囲気とか、かなり似ている(主人公の顔も似ている)。しかし、この映画、あまりに警察が馬鹿すぎたり、展開に無理があったりでかなり杜撰。それとスプラッター映画的表現に頼りすぎ。「殺人の追憶」を100とするならば50がせいぜい。

サム・ライミの「スペル」。これも思ったよりは面白くなかった。個人的なサム・ライミのベストは「キャプテンスーパーマーケット」。

フランソワ・オゾンの「8人の女たち」。この監督は特別好きでも無いが、どの映画もそれなりに出来ていると思う。今回はある館が舞台。殆ど舞台の芝居のような作りで、実際館の敷地外の場面は無く、そこで起こる殺人事件を中心に(実際は違うが)、その真相を究明していくという話を中心に、8人の女たちが繰り広げる人間模様を描くという内容だが、突然ミュージカルになったり、如何にも舞台上の芝居といった嘘っぽい作りを敢えて挿入している。この殺人事件を中心に館内で繰り広げられる人間模様という内容、何かに似ていると思ったらアルトマンの「ゴスフォード.パーク」だった。あっちは8人どころではなく何十人という人間が出てきて、その人間関係を把握することだけでも大変だったが(しかし面白かった)、今回は8人。その点では難しさもなく、それぞれに秘密を抱え徐々にそれが明らかになっていくというストーリー展開が有り、館内という設定に変化は無いがそれなりに面白く見られた(予想通りの展開だったが)。「ゴスフォードパーク」を100とすると75くらいか。

ゴダールの「アワーミュージック」。バルカンを舞台とした民族問題を扱った映画だ。三つの章に分かれたご存知ゴダール形式の映画で、第一章は、殆ど「ゴダールの映画史」のような、映画、哲学、詩、思想の引用のみの断片の集合体で、いつものように物語とは無縁の章となっている。兎に角その引用が多すぎて、一つ一つに引っかかると全く映画に入っていけないのも毎度のことである。ここはその断片の洪水に身をまかせるのが正しい姿であろう。ひとつだけ「キッスで殺せ」の最後の場面が出てきたのだけははっきり分かった。あとの二章三章は、一応普通の映画の体裁を整えているが、これも緩やかな断片の集合体のようなもので、論理的に筋書きを追うという普通の映画の見方をする限り、全く面白くないというか訳が分からない。が、それこそがゴダールの魅力なので、その緩やかな断片の流れに身をまかせるのが楽しむ方法でもある。それにしても「Sans espoir de retour」が「ストリート オブ ノーリターン」か。なかなか意味深である。
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