「チュウヒ」目撃話を、いやに詳しく聞きたがるスノッ
ブなM氏に何故かと聞くと、全くそういうものに興味
が無さそうに思っていたのだが、どうもそうでもない
らしいのだ。
最初は、猛禽類がいたとしか話さなかったところ、「何
だったの」と聞くので、「チュウヒ」(自信ありげに)
と答えたのだった。
当然、「チュウヒ?」と聞き返した。
「サシバ」とかは知ってる?と聞き、そういういろいろ
いる猛禽類の一種だと答えた。
この場では、こちらがそういうもののスペシャリスト
という立場だ。
本当は、図鑑で見てやっとそうかなと思っている程度
なのだが、M氏相手ならば、知ったかぶりが通用する。
飛び方がどうのと(これも図鑑からの知識)いかにも
前から知ってるかのように解説すれば、「ほう」と感
心する。
それで調子に乗って、「<鳶>以外の猛禽類なんて見
たことないでしょ」と言ったところ、「<オオワシ>しか
見たことないよ」と答えた。
すかさず、「<鳶>じゃないの?」と聞き返す。
「あんな大きいの、見間違えること無いよ、それに双
眼鏡て確認したもの足の白い部分を」ときっぱり言っ
た。
どうやら、本当らしい。
しかも、こちらがまだ見たこともない「オオワシ」を。
羨まし過ぎる。
それにしても、双眼鏡まで持ってるのか。
本当に好きだったのね。
今度はこちらが根掘り葉掘り聞く番だ。
「オオワシ」は、それ程高い位置ではなく旋回してい
て、烏などを攻撃していたらしい。
情報では、かなり高い位置を旋回するのでなかなか確
認できないということであったが、そんなことは無かっ
たようだ。
相当目の悪いM氏が普通に確認できたのだから。
運の良い奴め。
「鳶」(完全に差別だが)以外の猛禽類に対しては、
畏怖のような憧れの感情がある。
だから、一度目撃すると、それだけで何か得したよ
うな気分になるのだ。
それが、日本で一番大きな「オオワシ」、しかもオホー
ツク以外では滅多に見られない貴重なものを、いくら
好きだとは言っても、わざわざ行ってまではしないM氏
が目撃するとは。
世の中は不条理である。