2015年新年号のコラムは芭蕉。
2011年の秋に東北を取材した。
伊達政宗や100名城のことが主な関心事ではあったがついでに松尾芭蕉ゆかりの地も訪ねていた。
芭蕉の句のいいところは光景の演出と余韻。
17文字で芭蕉がみせるシーンが主に哀愁と共に映像となって浮かび上がる。
最上川や山寺、平泉で名句が生まれた。
佐渡の句はいうまでもなく、
「荒波や 佐渡に横たう 天の河」であるが、佐渡島と天の川を同時に見られる場所はないらしい。
つまり芭蕉はCGのように光景を合成したことになる。
無粋な私には芭蕉のこころを読み取ることなど無謀の極。
落としどころに悩んで結局、一番好きな句を紹介しておさめた。
「月寂びよ 明智が妻の はなしせむ」