日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

今再び硫黄島の平和利用を強く望む

2012-06-25 | その他あれこれ
先週の土曜日に、高校の同級生で写真家の田中正文氏の個展「女子学徒たちのウムイ」に足を運び、氏と三十数年ぶりの再会を果たしました。氏は大戦で海に沈んだ戦艦や戦闘機などを自ら潜水して撮影する「鎮魂の写真家」といて知られる写真家です。今回の「女子学徒たちのウムイ」は、今や80歳を越す高齢になった沖縄戦で駆り出された女子学徒の方々から語られる戦争の真実を語り継ぐことの重要さを、ファインダーを通して撮った彼女たちの姿と氏のキャプションによって訴えかけるという、とても意義深い個展でありました。

私が足を運んだ理由も、長年ぶりに旧友に会いたいと言う想いと共に、まさしく“勝者なき戦争”の愚かさを語り継ぐことに力を注ぐ友と手を携えて志を共有したいと思えばこそでもありました。くしくも土曜日は沖縄慰霊の日。すなわち、第二次大戦において日本国土である沖縄がアメリカ軍の上陸攻撃によって多くの犠牲者を出し占領を余儀なくされた、決して忘れてはならない日であります。前日に田中氏の個展の話を友人から聞き、偶然にもちょうどこの日に足を運ぶことになり氏と再会して話ができたことは、なんとも不思議な縁を感じさせられもしたものです。

私はこれまで仕事の中で、クライアント先の企業のトップヒアリングの際に、起業のきっかけや経営理念形成に直結するような経営者(主には先代経営者)自身の戦争体験談をうかがう機会が多数ありました。亡き戦友たちの無念の思いをしょって起業された経営者や、戦場で尊い命を見殺しにしてきた後ろめたさへの償いの想いで日々社会貢献に取り組む経営者など、それらは決まって重苦しい話でした。生々しくもおぞましい戦場の真実を聞くにつけ、微力ながらもこの聞いた話を決して無駄にしてはならない、「戦争に勝者なし」を訴え広く世界の人々に呼び掛けることを機会あるごとにしていきたい、そんな思いから当ブログでも毎年終戦記念日と相前後する時期を選んでこのテーマを取り上げているのです。

私が聞いた体験談の中でも特に忘れ難いのが、硫黄島の悲劇。一人またひとり戦友が息絶えていく中、負傷を負い食料もなく何週間にも及んだ洞窟内での地獄のような日々の体験談を私は決して忘れません。そしてこの島がいまだに自衛隊の基地として占拠され、遺骨の収集作業はおろか地雷の撤去作業すら進んでいないという事実に、日本政府に対して強い怒りを感じてもいます。なぜこんな愚行が、終戦後70年近くが経とうとしている今も許されているのかです。それは、もともと住民の絶対数が少なく異を唱える声が世論を形成しにくいという環境を巧みに利用し、一切の民間人の許可なき上陸を禁止した自衛隊の基地利用を貫き通しているからなのです。

硫黄島は近年クリント・イーストウッド指揮の下、日米双方の立場からまったく異なる2本の映画が作られたように、日米両国の兵士が共に多くの犠牲者を出しながら死力を尽くして戦ったという、まさに「戦争に勝者なし」を象徴する場所でもあるのです。そんな人類史に残る愚行を語り継いでいく必要性を感じればこそ、今の硫黄島の利用法は間違っている、一刻も早く自衛隊は撤退し国をあげて平和モニュメント化をすすめ、戦争の愚かさを世界に向けて訴えるべきであると思うのです。

先日の田中氏との語らいを通じ、彼が自己のミッションに突き動かされ行動する姿を眼前にして、私もまた同種のミッションを感じる同志として(同志などというとやけに思想的な匂いがてしまいますが)、戦争の悲劇を繰り返させないためにその愚かさを語り継いでいくための力になっていきたいと、改めて心に強く誓った次第です。

※「女子学徒たちのウムイ」は、東京国際フォーラム内相田みつを美術館で7月1日まで開催されています(入場無料)。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-06-26 02:05:57
フランちゃんうふふ
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