温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

熊谷 花湯スパリゾート

2019年10月03日 | 東京都・埼玉県・千葉県
温泉といえば都会の喧騒から離れている山海の自然に恵まれた場所に湧いているイメージがありますが、ボーリング掘削技術の進歩により都市部やその近郊でも立派な温泉が汲み上げられるようになって、場所を問わずいろんなところで温泉入浴を楽しめるようになりました。特に東京圏ですと埼玉県の平野部は良質な温泉が点在する関東屈指の湯どころであり、私が遠出できないときは、しばしば埼玉県のスーパー銭湯へ出かけて、手軽に良質な温泉を楽しんでおります。



先日も埼玉県の温泉に入るべく、自宅から電車を乗り継いで熊谷を目指しました。
いまや中東の砂漠よりも暑いのではないかと思われるほど灼熱の街のイメージが強くなった熊谷で湘南新宿ラインの電車を降り、北口2番乗り場から、ラクダではなく、犬塚行の路線バスに乗車します。



駅からバスに揺られること約20分弱。「宿裏」バス停で下車し、国道17号バイパスへ向かいます。バイパスに出ると沿道に上画像の大きな看板が立っているのがわかります。ここが今回の目的地である「花湯スパリゾート」。2017年にオープンしたばかりの新しい施設にもかかわらず、早くも高い評価を得ているという話を小耳に挟んだので、行ってみることにしたのです。バイパス沿いという立地からもわかるように、車で来ることを前提にしている施設であり、敷地内には広い駐車場が用意されています。またその立地ゆえ、週末には終夜営業も実施しています。



駐車場を横切って玄関へ。エントランスは和風旅館のような佇まいです。
こちらの施設では、まず受付で利用サービス(プラン)を申し出て、所定の料金を先に支払い、ロッカーキー受け取ります。そして退館時に館内で追加利用したサービスの料金を精算し、精算完了時に発行されるQRコードのレシートを出口専用のゲートに読み取らせて退館します。
こちらでは岩盤浴を利用してノンビリ過ごすお客さんが多いようですが、今回は入浴のみの利用とさせていただきました。



上画像は館内案内図です。
館内には温泉施設の他、岩盤浴、食堂、エステなどいろんな施設が集まっており、特に岩盤浴をご利用のお客さんは、岩盤浴のみならず、ラウンジ、テラス席、リクライニングチェア、コミック・書籍コーナー、フリードリンクなど、様々なサービスが利用できるため、多くのお客さんが専用の館内着を身に着けて日がなのんびり過ごしていらっしゃいます。この他、掛け流しの露天風呂付き貸切部屋もあり、思い思いのスタイルで利用できます。



館内には「埼玉県最大級源泉量」と書かれた説明プレートが誇らしげに掲示されていました。毎分300リットル、日量最大414トンなんだとか。草津温泉や伊東温泉のように、自然水と地熱が常に供給されている場所ならともかく、そうしたものとは無縁と思しき平野部でこの量はなかなか立派ではないでしょうか。

【以下、浴室や浴槽の写真は公式サイトから抜粋致しました】


脱衣室は広くて綺麗。パウダーゾーンもしっかり確保されているので使い勝手良好です。ただし各ロッカーのサイズがそれほど大きくないので、場合によっては隣のロッカーを使うお客さんとの干渉が気になるかもしれません。

まるで何かのホールを思わせるほど広くて開放的な浴室(内湯)には、主浴槽の他、サウナ、地下水放流式の水風呂、電気風呂(真湯)、炭酸風呂など多種多彩な浴槽類が用意されています。洗い場にはシャワーがたくさん設置されていおるので、混雑時でも待つことなく利用できるでしょう。

大きな窓の下に据え付けられている主浴槽には加温された温泉が張られており、その大きさは(目測で)9メートル×3メートルといった堂々たるもの。この並びに炭酸風呂も設置されています。主浴槽の一部は寝湯のような構造だったり、浅くなっていたりと年齢層や健常者障碍者などを問わず多くの方が湯あみを楽しめるように工夫が凝らされていました。



内湯から屋外に出ると、人工のせせらぎが流れる立派な日本庭園が設えられており、その庭園内に大小合わせて7つの露天風呂が点在しています。木々の緑が美しい庭園を回遊しながら各種の露天風呂を巡るわけです。この露天風呂にいると、自分がいまスーパー銭湯にいることを忘れてしまいそうになりました。



(男湯の場合)小川の左手奥にある岩風呂は浴槽が2分されており、片方は真湯、もう片方は加温放流式の温泉です。いずれも適温。露天風呂の王道とでも言うべき設えです。



小川左手の手前側に設けられた屋根に護られているこの浴槽はシルク風呂。細かな気泡がお湯に放たれることにより、滑らかな浴感を実現しています。気泡により白濁しているように見えますが、お湯自体は真湯です。近年このシルク風呂は全国各地の温浴施設でも見られるようになりましたね。



一方、せせらぎの右手にあるこちらの浴槽は寝湯。館内説明によればクールダウン用なんだとか。実際に私も他の浴槽で逆上せかかったとき、この浴槽を使いましたが、たしかに無理せずクールダウンできました。敷地が広いので、そうした用途の設備も設けられるのですね。
川の右側にはこのほか、デッキチェアーが並べられている一角や、源泉壺湯(3人分)があるのですが・・・



様々な浴槽がある中でも、私が最も気に入ったのがこの浴槽。「生源泉檜風呂」と称し、その名の通り非加温無加水の掛け流し源泉が檜のお風呂に注がれているのですが、何も手が加えられていないこの生源泉のお湯は、結論から申し上げると白眉そのものでした。
淡い黄色を帯びた褐色透明のお湯からは、金気味、重曹的な清涼苦味、そして柔らかな土類系の味が感じられます。関東平野内陸部の温泉は化石海水系が多いのですが、こちらは塩気がほとんどなく、純粋な重曹泉に近い泉質であることが特徴的です。また湯面からは金気臭やメタンガスの残り香と思しき匂い、微かな硫化水素臭が漂っており、浴槽に近づくだけで香ってくるほど、しっかりとした匂いを有しています。
分析表によればこの温泉の源泉は「美肌の湯」とネーミングされており、その名の通り湯中ではサラスベ系のさっぱりした浴感や美肌効果が得られるでしょう。また、非加温のお湯は表示によれば37~8℃なのですが、私の体感で40~41℃はありましたので、どなたにとっても長湯しやすい快適な湯加減でしょう。私にとっても好みのストライクゾーンど真ん中の浴感と湯加減でしたから、湯船に浸かった当初はしっかり長湯しようと考えていたのですが、この生源泉はビックリするほど温まるので、10分も浸かっていられずに出てしまい、上述の寝湯などでクールダウンすることになりました。40℃前後だとは信じられないほどのパワフルさに脱帽。源泉名は「単純温泉」ですが、ちっとも単純ではありません。重曹泉と同様な優しさを有しながらも個性豊かで力強い良泉です。



帰りは路線バスではなく、玄関前から出発する無料の送迎バスを利用しました。新しい施設なのにバスは群馬ナンバーのご老体。こちらの運営会社(リゾート花湯の森グループ)は埼玉県や群馬県の高崎線沿線で温浴施設やホテルを複数運営しており、同社の別施設で使われていたバスを、2017年の新規開業の際にこちらへ転用させたのでしょう。バスは古いものの、さすがに他施設で培われたノウハウがあるため、まだ新しいにもかかわらず、いろんな面で充実していました。もちろん施設やサービスも良いのですが、個人的にはお湯の良さ(湯使いの良さ)を評価したいと思います。


美肌の湯
単純温泉 40.0℃ pH7.9 316L/min 溶存物質903.7mg/kg 成分総計917.5mg/kg
Na+:214.9mg(91.70mval%), NH4+:2.3mg, Fe++:1.8mg,
Cl-:26.9mg(7.42mval%), Br-:0.1mg, HS-:0.2mg, S2O3--:0.03mg, HCO3-:573.3mg(91.71mval%),
H2SiO3:64.2mg, CO2:13.8mg,
(平成26年12月18日)

埼玉県熊谷市上之1005
048-501-1126
公式サイト

月曜~木曜→10:00~23:00(受付22:30まで)
金・土・日・祝前日→10:00~翌日午前9:00(受付深夜1:00まで)
朝風呂営業→6:00~9:00
入浴のみ:平日750円、週末850円(18:00以降は100円引)
この他岩盤浴や貸切などの料金は公式サイトでご確認ください。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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