田沢湖高原の手前に位置する水沢温泉郷に属する温泉宿ですが、水沢温泉から砂利道を数百メートル進んだ先の森の中に一軒離れてポツンと佇んでいるので、一軒宿の秘湯と表現して差し支えないでしょう。某日、立ち寄り入浴でお邪魔しました。こちらでは昼食時に十割そばをいただけるそうでして、蕎麦に目がない私は是非食べてみたかったのですが、残念ながら訪問時はそば処の営業時間を過ぎていたため、お風呂だけの利用となりました。
やたらと広いロビーです。券売機で料金を支払い、その券を宿の方に渡そうと声をかけてみるのですが、いくら叫んでもどなたも出てこない…。どうしたら良いのかと途方に暮れていたときに、ようやく奥から宿の方が現れ、フロントのデスクを指さしながら曰く「券をそのお皿に置いてくだされば、勝手に入っていいんですよ」とのこと。そういうことだったのね…。共同浴場みたいなシステムだったのか…。
玄関を入って右手が浴室。お風呂は男女別の内湯があります。露天風呂も用意されているそうですが、露天は宿泊客限定なんだそうです。
ちょっと昭和後期な雰囲気が漂う浴室ですが、よく手入れされています。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が9基あります。化粧石板貼りの浴槽の大きさは、公式HPによれば2.7×2.7m、深さ55cmなんだそうです。
青みを帯びた乳白色に薄ら濁ったお湯ですが、透明度は高く、底がしっかり見えます。白い湯の華が夥しく多く、まるで溶き卵のスープの中に浸かっているかのようで、底には沈殿がたくさん溜まっていました。やや熱めの湯加減で、ゴムを噛んだような味に石膏味、そして後味に微かな塩味が感じられ、ゴムのような匂いがはっきり嗅ぎ取れました。重曹泉的なスベスベと石膏泉的な引っかかり浴感が混在しているようですが、スベスベの方が勝っているように感じられました。
湯口には岩のオブジェが置かれ、その岩を刳りぬいたところに塩ビが3本出ていて、うち2本が源泉、1本が加水用の水となっており、それらが木の枡に落とされて混合され、短い樋で浴槽へ注がれています。その量たるやとても多く、樋のキャパシティを超えており、枡から流れるお湯の半分以上は樋からこぼれ落ちていました。大量投入されるお湯は浴槽縁からオーバーフローせず、浴槽の底から突き出たVU管によって吸われて排湯されていきます。
打たせ湯があるのですが、落ちてくるお湯はぬるく、しかも吐湯口はボロボロのペットボトル。ユニークといえばユニークですが、もう少し何とかならないもんかしら…。
休日の夕方16:30に訪問したのですが、常時3~4人のお客さんが利用していました。宿泊のみならず、立ち寄り入浴施設としても多くのお客さんに認識されているようです。水沢温泉郷にありながら、水沢温泉とは全く異なる泉質で、しかもし一軒宿風情が味わせる、隠れた名湯ではないかと思います。今度は是非お蕎麦をいただきたいなぁ。
カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉
52.0℃ pH6.5 溶存物資2167.4mg/kg 成分総計2320.4mg/kg
Na:145.0mg(22.38mval%), Mg:112.0mg(32.70mval%), Ca:220.0mg(38.94mval%), Cl:205.0mg(20.43mval%), SO4:800.0mg(58.89mval%), HCO3:353.0mg(20.47mval%)
温度調整のため加水あり
秋田県仙北市田沢湖生保内字下高野80-68 地図
0187-46-2688
ホームページ
立ち寄り入浴9:00~19:00 無休 毎週水曜9:00~12:00入浴不可
400円
貴重用の小型ロッカー(100円有料)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
名前こそ知っていますが、実際に食べたことがありません。いずれ食べてみなければ!!
それにしても、下道で青森から群馬まで辿るって凄いですね。ヘタレな私は僅かな距離でも高速を使ってしまいそうです。