温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

瀬戸瀬温泉 セトセ温泉ホテル

2010年06月05日 | 北海道


遠軽の山林奥深くにひっそりと佇む一軒宿です。国道333号線を走って瀬戸瀬の街で道道493号線へ折れ、約9km南下したところにあります。けっこう草臥れた外観で、ぱっと見は営業しているのか不安になりますが、広い駐車場には平日の朝だというのに何台か車が止まっているので、既に先客がいらっしゃるようです。外観から受ける想像を裏切ることなく内部も昭和の香りがプンプン漂っています。



玄関を入って右に折れ、流し台がある休憩室の前などを通って浴室へ。この流し台、てっきり宿泊客がつかう共用の洗面台なのかと思ったのですが、よく見たら各蛇口に「日本一の名泉」「飲泉用蛇口」と印刷されたテプラが貼られていました。おふろへ入る前に早速飲んでみることに。無味無臭、とても軽く飲みやすいお湯で、すぅっと体に浸みわたっていきます。おいしいのでグビグビ飲んじゃいました。この宿の常連さんは、ただお湯に浸かるだけではなく、ポリタンクに汲んで持ち帰るんだそうです。なお、蛇口から出るお湯は気泡でちょっと白濁していましたが、これは源泉由来によるものなのか、あるいは源泉から蛇口までの過程で空気が入ってしまっただけなのか、よくわかりません。



 
浴室にはひょうたん型の大きな浴槽が設けられ、ちょうどひょうたんの括れたところに湯口があって、そこから無色澄明なお湯が掛け流され、浴槽の縁から静かにオーバーフローしています(画像左)。またこれとは別に、細長い形をした掛け湯のための槽もありました(画像右)。
湯口付近でお湯に浸かっていると体中に気泡が付着しました。癖のない優しいお湯で、弱いながらツルツルスベスベ気持ちよく、そしてフワっと軽い浴感です。成分総計154mg/kgという薄めのお湯ですが、なんでも濃ければ良いというものではなく、ここのお湯は薄くてもすぐれている典型例で、薄く澄んでいるからこそすっきりとおいしく飲め、そして肌にやさしい浴感が得られるんだと思われます。訪問時、館内には常連さんと思しき老夫婦が何組かいらっしゃいました。みなさん優しいお湯が好きなのでしょう。
ちなみに露天は無く、内湯だけです。大きな窓ガラスのおかげで浴室内は明るいのですが、嵌め殺しで開かないため、湯気がこもってムンムンとしているのがちょっとした難点かも。


携帯が圏外になってしまうような山奥に立地する結構鄙びた温泉宿でありながら、楽天トラベルなどネットで宿泊予約ができるらしく、そこでの評判は上々の様子。みなさん古い施設であることを承知の上、少々のことは予め割り切った上で利用されているようです。サービスの供給側(宿)と受け手側(客)とではしばしばサービス内容についてミスマッチが起こり、大抵はそれがクレームとして顕在化してくるわけですが、幸いこちらではハード面の不足を対応などのソフト面でカバーし、そして客側も上手い具合に事情に理解を示し、且つお湯の良さを評価することで、両者の間に発生しがちな齟齬をクリアしているようです。


 
余談ですが、当地に到着したとき、ちょうど遠軽行の町営バスが発車するところでした。この時は残念ながら乗客ゼロ。ポールに掲示されている時刻表を見ると、この路線バスは一日たった2本。チェックイン及びアウトに合わせる形で時刻が設定されているようです(温泉着は9:00と15:40、折り返しとなる温泉発は9:10と15:50。なお遠軽町のホームページで掲載されている時刻表では1日3便になっていますので、バスご利用の際は各自ご確認ください)
写真を見て気づいたのですが、このバスは白ナンバーですね。町営で白ナンバーということは、道路運送法第80条に基づく所謂「80条バス」ってやつでしょう。


さらに余談。帰りは道道592号線を走ってみました(残念ながら画像なし)。国道を起点にして瀬戸瀬から伸びる道道492号線は上述の通りここ瀬戸瀬温泉が終点ですが、道自体はさらに奥へと続き、道道592号線湯里生田原停車場線と名前を変えて生田原まで続いているのです。完全舗装の492号線と違ってこちらはダートで線形もよくありませんが、それほどアップダウンは激しくなく、幅員も狭いながら離合は可能なので、簡単な林道ドライブを楽しむにはいいかもしれません。途中にはちょっとした峠越えがあり、そこから先は見通しの良い下りが続くので、結構気持ちよく走れました。



アルカリ性単純泉
42.8℃ pH9.3 地下106mより自然自噴 成分総計154mg/kg

北海道紋別郡遠軽町湯の里 地図
01584-4-2021

遠軽町営バス 時刻表

日帰り入浴 8:00~20:00
500円
ドライヤーあり(10円)

私の好み:★★

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2 コメント

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ひょうたんのおふろと池がまたいいのだ (はじめっち&つるみん&みならいかのん&ゆたか)
2016-11-24 11:42:00
生田原から「石川」という集落を通って、
(瀬戸瀬峠?だったけか)瀬戸瀬の温泉に行ったことがあります。
道幅狭くてカーブうねって見通しがあましよくないので、
ちょびこわかったことを思い出しました。
・・・ほんとにたどり着けるか心配でしたはじめっち

あたいはむずかしいことはよくわかんないけども、
ここの温泉はちゃんと飲める温泉で、
お茶もコーヒーもけっこうお勧めだったりしたのだ。
・・・また売店がレトロっぽくてものあまし置いてないのがいいのだつるみん

一回閉鎖したものを町で頑張って残したそうで、
昔はたくさん来たであろう施設が残ってました。
宴会場やカウンターバーみたいなものまであったような気がします。
・・・まさに奥座敷ですみならいかのん

一時期、寝袋持参だったこともあったような・・・す。
それでも自炊施設(確か)はあったし、
3675円で凍えるよかどれだけありがたいか・・・す。
・・・もめるってことが自分らには考えられないゆたか
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Unknown (K-I)
2016-11-24 20:11:34
懐かしい記事だなぁ…。画像に写っている青い車は、私が以前に乗っていた車ですが、まさにおっしゃっているルート、つまり生田原から峠を越えてくる道でここまで来ました。峠を越す10km弱はダートで、心細い心境でハンドルを握ったことを思い出します。
ここのお湯を飲泉したときのまろやかな口当たりは、今でも忘れられません。
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