温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

小野川温泉 ししどや寿楽荘

2014年05月21日 | 山形県
 
前回取り上げた「二階堂旅館」に続いて訪ったのは、小野川温泉のランドマーク的存在である共同浴場「尼湯」の正面右手に位置し、湯治宿風情の渋い外観が良い味を醸し出している「ししどや寿楽荘」です。「夢ぐり手形」を見せながら入浴をお願いしたところ、ご主人はわざわざお風呂まで湯加減を確かめに行ってくださいました。



玄関から奥へまっすぐ伸びる長い廊下を歩いて浴室へ。


 
浴室は男女入れ替え制になっているらしく、訪問時は廊下の正面突き当たりにある手前側の浴室に男湯の暖簾が掛かっていました。


 
脱衣室はコンパクトでして、棚に納められている籠は16個程度ですが、それでもひと通りのものは揃っており、洗面台にはドライヤーの他、ハブラシ・髭剃りなどのアメニティ類が用意されていました。さすがに旅館だけあって綺麗に維持されています。


 
厳冬期ですので湯気で画面が曇ってしまっているのは、どうかご容赦を。
昭和の残り香を横溢させている渋い佇まいの浴室には、一つの大きな浴槽がお湯を湛えており、そして洗い場にシャワー付き混合水栓が3基設置されていました。入室するや、小野川温泉らしいタマゴ臭が鼻孔をくすぐってきました。湯気とともに温泉の香りも充満していたようです。


 
桶や腰掛けが整然と片付けられているところに旅館としての品格を感じます。この桶が積まれている箇所の上には樹脂製蛇口が取り付けられており、開栓すると温泉のお湯が吐出されました。


 
室内に敷き詰められているタイルは、昭和30~40年代によく見られたタイプの古い化粧タイルなのですが、タイルをよく見ますと所々に白や紺の葉っぱ形をしたタイルも埋め込まれており、しかも葉脈までしっかり染め付けられていました。当時のさり気ないオシャレが伝わってきますね。
窓の外には周囲の建物の壁に囲まれている小さな池があり、初め見た時には露天風呂かと勘違いしてしまったのですが、雪が降りしきっているのに湯気一つ上がっていませんから、冷静に考えれば池の水が温泉でないことは明らかなのです。でもその池の縁にあたる部分にはタイルが貼られていましたので、やっぱり元々は露天だったのではないか、と勘繰ってしまいます。



浴槽はヒサゴを半分に割ったような形状をしており、槽内はスカイブルーのタイル貼りで、縁には赤御影石が用いられ、8~9人は同時に入れそうな容量を有しています。槽内に吸込口などは見られず、お湯は全量縁から床へオーバーフローしていました(特に弧を描きながら手前側に出っ張っている左右両側で多く溢れ出ていました。


 
浴室の隅っこに穴の穿たれた岩が据えられており、その穴から塩ビのパイプが突き出て、間断なくお湯を噴き上げています。お湯を口に含むと甘塩味にほんのりビターテイストなタマゴ味が渾然一体となって口腔内に広がり、その味覚はかなりしっかりとしたものでした。また湯口の岩には硫黄の白い湯の華がこびりついており、お湯の中でも細かな湯の華がチラホラ浮遊していました。お宿のホームページによれば1時間に1000リットルのお湯が投入され、約3時間で浴槽内のお湯が入れ替わるんだとか。実際に私が入った時も頗る優れた鮮度感が肌に伝わり、しかも42℃前後の絶妙な湯加減が素晴らしくて、入浴中は深い微睡みにハマってしまいそうでした。

ところで小野川温泉で80℃近い高温の4号源泉をお風呂に供給する場合、ぬるい5号泉をブレンドさせるか、熱交換で温度を下げるか、はたまた加水するか等、お宿や施設によって温度調整の方法が異なるのですが、こちらのお風呂では、アツアツのお湯に、敷地内の細流で熱交換させたお湯をブレンドさせているんだそうでして、それゆえ絶妙な湯加減でありながら、小野川のお湯らしさを失っていない濃い目の味や匂いが感じられたんですね。なお浴槽内には水道蛇口に接続されたホースも伸びていましたので、熱交換で足りない場合は加水も行われるのでしょう。

お宿の規模と同様に決して大きくないお風呂ですが、そのサイズは投入されるお湯の量に見合っており、それゆえにお湯は常にフレッシュさが保たれていますので、湯使いの良さも相俟って、渋い外観からは想像できないクオリティの高い湯浴みを楽しむことが出来ました。


協組4号源泉・協組5号源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 44.5℃ pH7.3 溶存物質4025.3mg/kg
Na+:915.2mg(66.49mval%), Ca++:707.2mg(29.47mval%),
Cl-:2099.4mg(97.21mval%), Br-:5.8mg, HS-:1.7mg, S2O3--:3.75mg, SO4--:50.6mg, HCO3-:54.9mg,
H2SiO3:92.4mg, CO2:22.6mg, H2S:0.6mg,
(平成21年1月26日)

JR米沢駅から山交バスの小野川温泉行で「小野川温泉」下車、徒歩1~2分
山形県米沢市小野川町2565
0238-32-2800
ホームページ

立ち寄り入浴時間不明(一応夢ぐり手形の資料では朝8時~夜9時となっていますが、お宿の都合により異なるかと思いますので、その都度ご確認ください)
立ち寄り入浴400円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★+0.5

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2 コメント

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Unknown (あんちゃん)
2014-05-21 21:07:19
 こんばんは。小野川温泉へは、2度立寄りました。そもそもここを知ったのは、米沢に友人がおりまして、その友人に連れて行って貰ったからです。とは言え、当時は温泉の記録を残すことなど全く考えていなかったので、尼湯と滝の湯とあと旅館1軒に立寄り入浴しただけですが。その後温泉に本格的に興味を持ち初めまして、尼湯と滝の湯は不完全ながら撮影を敢行しました。米沢へ行くとつい友人宅へ泊りたくなってしまうのですが、小野川温泉の宿にも1度泊まってみようと思います。
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Unknown (K-I)
2014-05-22 16:51:47
あんちゃんさん、こんにちは。
米沢にご友人がいらっしゃるんですね。あの界隈は小野川以外にも、白布をはじめ米沢8湯がありますから、何度行っても飽きませんね。確かに旅館に泊まると出費がかさんでしまいますが、小野川でしたら2食付きでも4桁で泊まれるお宿がありますから、次回は是非宿に泊まり、ゆっくり湯めぐりしてみてください。
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