光産業技術動向ブログ OITT

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シリコンチップ向けに高効率レーザ

2020年04月28日 | 新技術開発


コンピュータチップのトランジスタは電子動作であるが、光を使うとデータはさらに高速に転送できる。このため、レーザを直接シリコンチップに集積する方法が以前から探求されてきた。Forschungszentrum Jülichの研究者は、これの実現に一歩近づいた。
「決定的に欠如しているコンポーネントは安価なレーザである。これは、高データレート達成に不可欠である。シリコンベースCMOS技術に適合する電気励起レーザなら理想的である。そのようなレーザは、チップ製造工程中に成形するだけでよい。チップ製造全体が、究極的にこの技術ベースになる」とForschungszentrum Jülich’s Peter Grünberg Institute (PGI-9)のディレクタ、Detlev Grützmacher教授は説明している。
新しいレーザは、CMOS製造プロセス中に製造可能である。それは、シリコンのよにⅣ元素であるゲルマニウムとスズベースである。2015年、Jülichの研究者は、GeSnシステムでレーザ発光が得られることを示した。これの決め手は高いスズ含有量である。当時、12%であり、これは溶解限度1%をはるかに超えている。
その新しいレーザでは研究チームは、スズ含有量を約5%に下げた。同時に、必要な励起パワーを0.8 kW/cm2に減らした。これにより無駄な熱が著しく少なくなる。このレーザは、パルスだけでなく連続波でも動作可能な初のグループⅣ半導体レーザとなる。
「これらの値は、ゲルマニウム-スズレーザが技術的に実現可能であり、その効率がシリコン上に成長させた従来のIII-V半導体の効率に匹敵することを実証している」と研究所所長Grützmacherは説明している。その新しいレーザは、現状では光励起に限られ、約-140℃の定温動作である。
そのようなレーザは、光データ転送だけでなく、様々な他のアプリケーションにとっても興味深い。赤外2–4 µmに対応する波長で安価な代替がないからである。潜在的なアプリケーションは、赤外および暗視システムから気候研究における環境モニタリング用のガスセンサ、あるいは医療診断では呼気分析まである。


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