自己表現は作品にではなく姿勢の中に表せ

いえ、あくまでもワタシの場合はってことですよ(^^;。

前にも話したと思うんですが、書く仕事をしていると、時々「わたしってば、何をやってるんだろう」って思うことがあるわけです。思ってもいないこと、時には賛成しかねるようなことも、肯定的に書かなくちゃいけないですし・・・雰囲気にしても、自分らしいとは言い難い文調で書くことが殆どですし・・・仕事とはいえ、わたしは何をしているんだろう・・・これで良いんだろうかって思うわけです。

けどね・・・この仕事に向き合う姿勢としては、それは間違っていないと思っているんです。わたしは、自己表現の為に書いているわけじゃなく、お金を払ってくださる人が欲しがるっているものを提供する約束をして仕事をしているのだから、ただただそれに専念すべきだと。そこに自分を表すなんて以ての外だと。

ただね・・・じゃあ、仕事で書くもの中に、わたしは全く居ないのかっていうと、決してそうではないと思うんですよね。たしかに、対象物に対する自分の考えや感じ方は反映させていないけど、仕事に向かう姿勢な考え方や感じ方が反映されているわけで・・・つまりは、仕事で自己表現はしないという自己表現が表されているなって思うんです。

でもって、わたしの表すべき自己っていうのは、そういう形で表現されるに相応しい個性を持っていると思っているわけです。

わたしが藍那や裕太の年ごろには、ずいぶん迷っていましたよ。自分を表すべきフィールドを見つけなきゃいけないというのに、未だそれを見つけられていないこと・・・つまりは、自分が生涯を通して身を捧げたいような職業に付けないでいることに、大いに焦りを感じていました。

けどね・・・三十歳を超えたあたりで思うようになったわけです・・・これがワタシだなって。当時は、まだまだ意気がっていましたから「わたしは職業一つで表現できるような小さな器じゃない」的な言い方をしていましたが・・・要は、なんとか馬鹿になれるタイプじゃないっていう自分の個性を、やっと認めてあげられたわけなんですよね。

であれば、わたしが自分を表現する場所って、人生そのものしかない・・・って、そう思ったわけです、まだまだ若かったあの頃のワタシはね。若かった・・・そう、確かに若かった・・・けど、今でも、おおむね、その通りだとは思っているんです。わたしは、自分を表す作品を創りだせるような人間ではないので、生き方そのもの、死に方そのものでもって、自分を表すしかないって。

もちろん、そういうことって、この世に生まれた人全てが、意識するかしないかはべつにして、当たり前にしていることなんですが・・・それを、わたしはより強く意識して行おうと・・・そう思ったわけです。

だから・・・書くことにおいても同様で・・・わたしの場合に限って言うなら・・・書いたもので自分を表現するのではなく、書く姿勢でもって自分を表現しようと・・・その選択が、自分には合っていると思っているわけです。　

ただね・・・そうは思っているんですが、一つ大きな障害があるんですよね。それは「評価と期待」ってやつでして・・・わたしって人間は、評価を得るためには、そんなに頑張らない性質なんですが・・・それでも評価いただいて、期待していただけちゃったりしたら、それに応えたいっていう欲に取りつかれて、余計なことを考えてしまうという、悪い癖があるんです。

だから、そういう自分に気づいたら、ちょっと一息ついて・・・ダメダメ、普通に、普通にって、自分を諌めています。このタイプの欲は、そのまま自己の露出に繋がりますから、文章を駄目にします。淡々と、ただ淡々と、自分のすべきことをする・・・その立ち位置に戻っていかなくちゃと思います。

って・・・何の話でしたっけ。これから一週間は、ひたすら書くもんだから、先に自分を誡めたと・・・まっ、そういうことでありますね、はい(^^;。


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