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森羅万象 ~ 歩く印象派

スカイアクセス開業 ゼロから作り上げた「在来線最速車両」

2010年07月19日 19時05分00秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
7月19日12時42分配信 産経新聞

 17日に開業した成田スカイアクセス。目玉は何といっても、東京・日暮里駅から空港第2ビル駅までを36分で結ぶ車両「新型スカイライナー」だ。日本の在来線では最速となる時速160キロのスピードを誇る新型車両の開発エピソードを、設計に携わった京成電鉄担当者らに聞いた。



 ――36分という時間を、どう受け止めた

 鉄道本部車両部計画課課長補佐・田中良治氏「現実には上野から高砂までの区間は(カーブなどが多く、速度を抑えて走行するため)15分ほどかかる。そこは詰めようがないので残り時間を考えると、かなり頑張らなくちゃいけない。160キロ運転の区間が長いほど到達時間は短くなるが、その区間が(印旛日本医大から空港第2ビル駅までの約19キロと)短いので楽な数字ではなかった」

 ――実現への道のりは

 田中氏「たくさん電流を流して加速性能を上げれば、早く160キロに到達して時間を稼げるが、設備投資やランニングコストも莫大(ばくだい)になる。実現可能な範囲で、最大限の性能を出せるような設備に調整することが苦労した」

 ――旧スカイライナー(最高時速110キロ)との違いは

 同課・真壁芸樹氏「鉄道車両としては別物だ。ゼロから作りはじめ、完成まで丸3年かかった。鉄道は『安全に止まれる』というのが大前提なので、時速130キロを境に、ブレーキのシステムが全く違ってくるからだ」

 ――ブレーキの仕組みにどんな工夫があるのか

 田中氏「新型は、モーターを持つ車軸にもブレーキを装備している。これは新幹線と同等のシステムで、一般車両よりも構造がかなり複雑になる。京成電鉄ではこういう車軸を使っていなかったので、今回、整備工場にも専用の設備を投入した」

 ――車両開発で最大の難関は

 田中氏「直線でスピードを出すための性能と、曲線が多い在来線のカーブをすんなりと走るための性能を持ち合わせた足回り(台車)を作ることだ。この相反する技術を両立させるのが、一番の勝負どころだった」

 ――具体的には

 真壁氏「あらかじめ試験用の台車を作り、既存の車両に履き替えて、夜間に試走を繰り返した」

 田中氏「台車がフラフラしないように、バネの硬さやヨーダンパー(緩衝装置)を調整した後、高速回転試験台で時速300キロ相当まで回転させ、安定して走れる設定を見つけ出した」

 真壁氏「2年以上かけて調整したので、技術的には一番苦労したところではないか」

 ――開業に向けて一言

 真壁氏「従来のスカイライナーとは見た目も性能も全く違うものができあがった。山本寛斎氏による、無駄を省いたシンプルなデザインをじっくり見てほしい」

 田中氏「設備も車両もとても良いものができた。大勢のみなさんに乗っていただきたい」


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