映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

アルゴ  ARGO

2012-11-05 | 映画 あ行
私、ベン・アフレックって苦手でした。
演技も今一つやなぁ()、な~んて思ってました。
しか~し、本作を見て、監督として俳優として「ベン!なかなかやるやないのー!」っと見直しました。
                  (偉そうにすみません)。
おそらく、いや絶対に今年のベスト3に当確出ました!(あと一つ当確は「最強のふたり」です。)

冒頭、劇画と映像を駆使しイランの近代史のおさらい。これがよく纏まっていてわかり易い
これって、べンの妻ジェニファー・ガーナ―が出演していた「キングダム/見えざる敵」でも、冒頭で
簡潔にサウジアラビアの歴史を振り返っていましたっけ。「キングダム」もよかったですよね。
その後、最後まで、手に汗握り、息詰まる展開の連続に心拍数上がりました
そして「飛行機がイラン領空を出ました」のアナウンスに、最初から結末がわかっているにもかかわらず
不覚にも涙がこぼれてしまいました。この映画で泣く人は少ないでしょうに…涙もろくなったもんだ。

ベン・アフレックはヒゲがあった方が良い 長いお顔が締まります。
恋愛ものではなく、こういうハードな社会派が良いと思います。
(ベンファンの皆さま、重ね重ねの暴言、失礼いたしました
       
               ヒゲがあると精悍な感じ。いいじゃな~い



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         ア ル ゴ   ARGO

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  < ストーリー >
1979年イラン革命によりイランを脱出したパーレビ国王がガン治療の名目でアメリカに入国。
これに怒りを爆発させた民衆がテヘランにあるアメリカ大使館を占拠し、52人のアメリカ人外交官や
海兵隊員、その家族が人質となった。
ところが占拠直前、6人のアメリカ人外交官は大使館から脱出しカナダ大使私邸に匿われる。
CIAのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は6人をイランから救出するため、「アルゴ」という
架空のSF映画をでっち上げ、6人をロケハンのスタッフに仕立てイランから脱出させる作戦をたてる。


題名の「アルゴ」は作戦ででっち上げる架空のSF映画のタイトルで、ギリシャ神話「アルゴノーツ」
からきているようです。    →「ジェイソンとアルゴ探検隊の冒険
さまざまな困難を乗り越え、王女メディアの協力で金羊毛の獲得に成功し、王女をアルゴ号に乗せて
ギリシャに帰還するという物語。人質を奪還しアメリカに帰還するという計画にピッタリな
ネーミングです。

まさか!こんなウソみたあいな作戦が実際に行われたなんて・・・
でもこういう「まさか、ありえへん」って方が疑われなくっていいんでしょうね。
まぁ政府のお偉いさん提案の「自転車で山越え」って脱出方法の方が馬鹿げてると
思いますが・・・。

ハラハラ、ドキドキ、緊迫するシーンの連続!というだけでなく、
会話がなかなか面白くて、結構笑えるシーンもあります。
実話をもとにしたドキュメンタリー調というよりは、楽しませてくれる要素が満載で、
緊張と弛緩のバランスが非常にいいのです。
        
       
アラン・アーキン演じる大物プロデューサーとジョン・グッドマン演じる特殊メイクアップアーティスト
の会話や掛け合いが可笑しくって何度か吹いてしまいました。
ハリウッド映画人や、どこの世界でもいそうな大物を気取る人間を強烈に皮肉ります。

作戦が成功して、みんなで「イェイ~」ってハッピーエンドのアメリカ映画は結構白けるのですが、
何せ本作は実話に基づいているので素直に喜びを共感できます。
そして・・・思わず涙がこみ上げてしまったよ 

しかし、機密扱いってことで、この作戦が公になったのは18年後、1997年のクリントン政権時代だとは。
大使館職員の方々も、いざ両国間で何かが起こったときは大変ですわ。
命の保証はないですもんね。大使館員は全員スパイだなんて…
まぁ、現在は一瞬にして情報が世界中を駆け巡るので、あんまりなことをしたら、世界中から
避難されるってことである程度の抑止力はあるとは思います。
ただ、暴徒の前では、アメリカ人であろうが何人であろうが、そんなの関係な~いでしょうが。

CIAの映画を見るといつも思うのですが、CIAに入る人ってどういう人なんでしょうね?
アイビーリーグ出身で文武両道のエリートだったりするわけで、別の道に進んだら幸せな
家庭生活を送れたりするだろうに…。
作戦遂行に命を賭け、場合によっては一切関わりなしと突き放され手柄を立てても誰にも知られず、
身内にもCIAであることを隠し、それでも国家に忠誠を尽くす。
何を好き好んでこんないばらの道を選ぶんやろうね~。凡人にはうかがい知れませんわ。

匿ったカナダ大使夫妻も、大使邸のお手伝いさんも、みんな命がけ。
儒教でいうところの「仁・義・信」でしょうか。こういうのに弱いのよ~

カーター元大統領が最後のナレーションで参加です。
この作戦を公にしていたら、再選されて二期目を務められたかも? 公表したかったろうねえ~。

歴史に「たら・れば」は無いと言いますが、
冒頭のイランの歴史で紹介された石油国有化政策を取ったモサッデク首相が、
もし英米に潰されることなく頑張っていたら・・・パーレビ国王がやりたい放題することもなく
経済制裁に苦しむこともなかったかも?

           
登場人物が皆さん実際の人物と非常によく似ていて、こんなところにもベン・アフレックの
拘り?だか洒落?が効いています。
ただ、ベン自身は全くご本人に似ていなかったようですが

一つだけ疑問が・・・映画のロケハンってたった1日でよかったの???



エンドロールの最後の方に、感謝の気持ちを込めて妻ジェニファーや子供たちの名前を入れるなんざぁ
なかなか家庭を大事になっているようです。

ベン主演・監督の前作「ザ・タウン」、未見なので見てみます。


 
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