のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

雑記

2011-03-15 | Weblog
地震が起きた時、ワタクシは京都駅ビル7階の美術館「えき」で『ラファエル前派からウィリアム・モリスへ』展を鑑賞中でした。
お客さんたちが「何か揺れてる?」「揺れてるよね」「地震だ」と顔を見合わせ初めてから、かなり長い間、ぐらあり ぐらあり とゆっくりとした周期的な揺れが続きました。船酔いを引き起こしそうな嫌な揺れ方で、どうやら揺れが収まってからもしばらくめまいが残りました。どこか遠くで大きな地震があったのだということは漠然と知れたものの、まさかあのような大惨事になっているとは思いませんでした。

展覧会の内容は、ロセッティとバーン=ジョーンズの手がけた作品が中心で、その他に同時代の画家や、モリス商会によるテーブルやタイル等の工芸品もちらほらといった所。ケルムスコット・プレスのヴェラム装本も一点展示されておりました。ラファエル前派独特の濃いい世界にお腹いっぱいになりましたが、最後にウォーターハウスの油彩2点を見られたのは嬉しかった。





黒澤明監督の『夢』というオムニバス映画に、富士山の噴火に原発事故が重なって、あたり一面放射能に汚染された焼け野原になるという話がありました。さまざまな色に着色され視覚化されたカラフルな放射性物質の霧が主人公たちに迫って来る、不気味な終幕でした。
20年ほど前にこの作品を見た時、黒澤明という名前の持つイメージと、SF的な絵と話のギャップにとまどいました。そしてそれ以上に、放射能の霧を避けようと必死に上着を振り回しながらも霧に呑まれて行く主人公の姿に、ぞおっとうそ寒い気分になったことを覚えております。
2000カ所以上の活断層を抱えた島の上に55基もの原発が据えられているという現状を鑑みれば、これはそれほど「SF的」な話ではないのだということに、その当時は思い至りませんでした。

↓以前の記事でも紹介させていただいたサイトです。

原発がどんなものか知ってほしい(全)

被災地の原子力発電所において、被曝の恐怖と闘いながら作業にあたっていらっしゃる方々、避難を余儀なくされている住民の方々が、放射能による被害を受けないよう、せめて祈るばかりです。





昨日函館の実家からメールがありました。父親が宮城県の栗原市に、地震の二日前までいたとのこと。今回の地震で震度7を観測した所です。宮城県で介護施設の代表をしていらした知人がこの年初に亡くなったため、氏を偲ぶ会に足を運んだのです。ワタクシも施設のオリジナルカレンダーに毎年カットイラストを描かせていただいており、うっすらとながらも繋がりがありました。父親はたった2日の差で何事もなく帰宅できたわけですが、昨日の時点で、施設との連絡はまだついていないということです。


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