のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『佐伯祐三とパリの夢』2

2007-02-23 | 展覧会
ヤボ用にかまけて
記事を準備できぬまま、スピノザ忌を過ぎてしまいました。
ああ無念。それでも2秒で立ち直れ。


はいっ
でわ。
2/18の続きでございます。

おおむね、見目うるわしい、眼に心地よい作品で構成されている本展において
異彩を放っておりますのがスーチンの『南仏風景』でございました。

ベイコンの作品にも言えることでございますが
スーチン作品の前に立ちますと、何かこう
身体が ぎりっ とねじれるような心地がいたします。
(↑ ベイコン作品リンク先、画像をクリックすると大きく表示されます。
 Second Version of ...等の項目もぜひごらんくださいまし。ヒッヒッヒ、今夜は悪夢ですよ)

スーチンの作品の特徴は、描かれているのが
風景にせよ
静物にせよ
人物にせよ
どこか 臓 物 に似ているという点でございますね。
画布に描かれたモチーフは、現実にあるモノとしての端正なかたちと、
それを見る画家の激しく動揺する情念の間に挟まれて、苦しげにねじれております。
同じ時代、同じ場所でキスリングやローランサンが
いかにもきれいな女性像を描いていた一方で
かくも激しくのたうち、荒れ狂う魂を表現した作品が描かれたというのも
興味深いことではございませんか。

ところで
本展では佐伯祐三コーナー以外の全作品に
作品そのものの鑑賞ガイドになるだけでなく、作品や作者の背景を知ることができる
平易かつ丁寧な解説がつけらております。

例えばカミーユ・ピサロの『チュイルリー公園の午後』
パリの中心地チュイルリー公園が俯瞰で描かれておりますが
のろは あれっ と思ったのですよ。
ピサロ=農村風景、という思い込みがございましたもので
人の大勢いる都会の風景も、俯瞰の構図も、わたくしの知っているピサロさんとは違うのう、と。
解説によりますと、老年のピサロは屋外での制作が困難になったため
パリのホテルの窓から見える風景をよく描いたのだとか。
また、遠景に薄紫色のシルエットとなって見えるのは
その時まさに建設中のオルセー駅(そう、のちのオルセー美術館。もちろんピサロの作品も飾られることになる)
であるということも、解説を読まねば分からぬことでございました。
ええまあ、のろが知らなかったというだけの話ではございますが。

ポスターデザインの天才カッサンドルが、自死によってその生涯を閉じたということも
のろは本展の解説で初めて知りました。
本展には彼の出世作、『北方急行』が展示されております。
ええまあ、これものろが知らなかったというだけの話ではございます。

会場は地下鉄心斎橋駅から徒歩5分という、都会の喧噪のただ中に位置しておりますが
ゆったり、じっくり、楽しめる展覧会でございました。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿