のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『佐伯祐三とパリの夢』1

2007-02-18 | 展覧会
『佐伯祐三とパリの夢』 へ行ってまいりました。

本展は国立国際美術館、サントリーミュージアム天保山、
そして大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室 長いですよあまりにも の3館共同企画、
「大阪コレクションズ」の一環でございます。
こちらの半券を他の2館で提示すれば
開催中の「夢の美術館」展および『夢の20世紀』展を割引料金で見られるという特典がございます。

展示品は全51点。数は多くなくとも名品ぞろいでございます。
本展のメインはタイトルにありますとおり、佐伯祐三でございます。
30歳の若さで逝去した彼の作品をこれだけまとめて見られる機会は、あまり無いのではないかと。
ヴラマンクに「お前の絵はアカデミックなんじゃー!」と
1時間半に渡って叱責されたという頃、即ちやや初期の作品から
屋外で制作した最後の1枚という黄色いレストランまで、まず15点はあったかと思われます。

最晩年の作品は 描け! 描け!と何かにせき立てられるかのような激しい筆致が画布を鞭打っておりまして
「憂愁」という言葉で片付けるにはあまりにも逼迫した物悲しさ(変な言い方ですが)が画面を覆い、
胸に迫るものがございます。

佐伯祐三以外の展示作品は、上記3館の常設展示などでお馴染みの作品でございます。
しかし、よいものはいつ見ても、また何度見ても、よろしうございますね。
とりわけのろといたしましては、ピカソの『道化師と子供』に会えたのが嬉しうございました。



もの寂しくも、どこか優しく満ち足りた雰囲気の漂う作品でございます。
ピカソが本作を描いたのは「青の時代」から「バラ色の時代(サーカスの時代)」への過渡期のこと。
いみじくも、ひとつの画面に青とバラ色が同居しております。
寂しげな表情の人物がふたりぽっちで立っているだけ、他には何も描かれておりませんが
そこには穏やかな充足感、もっと言えば幸福感すら、感じられるのでございます。

あさっての方向を向きながら寄り添う、痩せた人物像は
「青の時代」にも見られるモチーフでございますが
哀感に満ちたブルーの中、がっくりとうなだれて骨張った身体をさらす「青の時代」の人物とは異なり
この画中の道化師と子供は、ふたりながらに しっかり すっくり と立っております。
青色もぐっと軽やかで透明感があり、画家の心の安定を感じさせる作品ではございます。
とはいえ、やはり、どこかもの寂しうございましょう。
そこがよろしいのです。

ちなみにこの作品、普段は国立国際美術館の常設展示でお目にかかることができます。

続きは次回。



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