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今年も「坂東玉三郎特別舞踊公演」へいそいそとお出かけ・・・
演目は「お目見え口上」と「鏡獅子」。
「口上」では裃姿の玉三郎さんが舞台の中央に座り観客に語りかけるように
八千代座にかける思いを述べられた。こう云う形の口上は初めてで
素の玉三郎さんの言葉で時にはユーモアを交えてのお話は、舞台と客席が
近いここ八千代座ならではの温かい空間だった。
そして・・・・圧巻だったのが「鏡獅子」
玉三郎さんの「鏡獅子」を観るのは初めてだったがこれまでのたおやかな
女形とは一変した獅子の精の勇壮な姿に釘付け。
「鏡獅子」は前シテの小姓弥生の踊りから始まり獅子頭に引かれて花道へ
引っ込みその後に獅子の精に変身して再び花道から登場。
今回も座席は下手の花道沿いの場所だったので衣装が触れんばかりの
近さだった。衣擦れの音や衣装の高貴な香りもこの場所ならではの特権。
今回舞台を観るまでは玉三郎さんの隈取りのメークと獅子頭の毛振りの
イメージが想像できなかったがいざ獅子の精に扮した姿を目の前にしたら
何時ものたおやかな女形とは違ってとても大きく見えた。
体力のいる毛振りも見事だった。流石だ。
最後の所作がきまり幕がひかれてアンコールの拍手をしながら涙がでて
仕方なかった。踊りを観て涙がでたのは初めてだった。
他の観客の思いも同じのようで凄い拍手の嵐になった。
観客の感動が演じ手にも伝わったのか思いがけないサプライズが・・
いつもお約束事のアンコールは多い時は4回ぐらいはあるがそれは
下手、上手、二階席と丁寧に頭を下げられるだけのご挨拶だけど
今回は4回目のアンコールの時後ろの囃し方の小鼓の傳左衛門さんに
何か云われて三味線とお囃子が始まった。
そして再び毛振りをされて観客の拍手に応えられたのだ。
帰りに八千代座のスタッフの方が
「今日のお客様は特別でしたよ。よかったですね!」と云われ最高に嬉しかった!
また、来年も同じ感動を味わいたいと心から思った。
熊本弁でひとこと
涙ん出るごて、感動するこつぁ、たいぎゃな、幸せな、こったいね。