のんちゃん雲に乗る

平成17年8月に還暦を迎えた記念に、ブログを始める。
私の趣味や日常を記録して、足跡としたい。

東大寺奉納大歌舞伎

2008-10-15 | Weblog
大仏殿特設舞台


今日10月15日は、聖武天皇が大仏造顕の詔(みことのり)を発した日です。それに合わせて、奉納大歌舞伎が上演されましたので、夫と観に行きました。

出し物は『勧進帳』で、演じるは弁慶/松本幸四郎・富樫/市川染五郎・義経/市川高麗蔵と言う配役です。ご存知「勧進帳」は義経と弁慶の話で、兄頼朝に追われている義経一行が、東大寺復興のために寄進を集める(勧進)山伏に姿を変えているという設定です。
弁慶を演じる松本幸四郎は、昭和33年16歳の時から50年間弁慶を演じて、今回が千回目と言う記念すべき舞台です。その舞台を勧進帳ゆかりの深い東大寺で上演とあっては、歌舞伎ファンは見逃せないのです。
先日の薬師寺のコンサートと違い、今日は雨の心配はなさそうですが、寒いのは避けられません。秋の野外の寒さは、醍醐寺でこれまた勧進帳を見たときに経験済みです。おおきなカバンに、フリースの毛布のようなのやひざ掛けなど4枚と、カイロ、冬用の上着、重ね履きする靴下、雨合羽などを詰めて自転車で出かけました。
遠くからホテルに泊まってきている人や、団体旅行できている人も多いようです。そして寒い夜と言うのに、やはり歌舞伎観賞ならではの着物姿の人が多く見られました。幸四郎の弁慶は私は2回目です。昨年、顔見世で見ていますが、何度見てもいいものです。
歌舞伎上演に先立って、東大寺の僧侶の方々の「散華」があり、お寺での上演ならではの、厳粛で格調高い雰囲気が漲ります。

大仏殿と満月

弁慶が富樫に促され、勧進帳を読み上げる真似をする場面の頃には、空に高く上った満月がきれいに輝き、冷たい秋の夜風が頬に当たり、ピ~ンと張り詰めた空気が漂いました。後ろでは大仏様が、半眼でじっと見ていらっしゃいます。劇場にはない、この緊張が幸四郎の千回記念にふさわしい雰囲気を作り出しているようです。
富樫が、義経とわかりながらも弁慶の心情をくみ一行を許す・・・いつもの筋書き通りに上演は終わりました。いつもなら幕が下りて終演なのですが、舞台に残った富樫に再びライトが当たり、花道に去った義経や四天王が現れ、最後には弁慶までも姿を見せ、いわゆるカーテンコールが始まりました。歌舞伎ではありえないこと。しかし、今日は特別だからでしょう。幸四郎が「こうしてゆかりある東大寺で千回を無事迎えられたのも色々な人のお陰・・・」と挨拶されました。これには感動しました。
満月に見守られ、大仏様に見守られ、世界文化遺産の東大寺で、世界無形文化遺産の歌舞伎を見る・・・。こんな贅沢な時間を味わえた事に感謝しました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿