仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

お坊さんの常識

2015年12月11日 | 日記
9.10日(27.12月)と新潟県長岡で青年布教使の研修会に出向。テーマは「現代の浄土真宗」でした。一日目に私の話は大方終わったので、飲み過ぎました。
昨日帰院すると拙著『お坊さんの常識』(探究社刊)の新刊が届いていました。大正昭和の作法全集などを読み見つけたのですが、下記の事柄は、他の本には書かれてないことでしょう。少しおすそわけです。

【上座(かみざ)と下座(しもざ)】

・相手との上下関係やその時の役割に応じて席順があります。

・日本間では、床(床の間)のある側を上席としますが、必ずしも絶対ではありません。

床は本来、仏画などを壁掛けし、その尊前を香や華で荘厳するために設けられた上段の間で、違棚はそれらの仏具を納めるところでした。
また、床は本来、書院(経典を書写するための書斎)にあったものです。それが一般化して座敷や客間にも設けられるようになりました。よって座敷や客間では床をもって上席とすべきではなく、上席であるゆえに床を置いたということになり、必ずしも床の前が上座ではありません。
・固定観念を廃するために、日本間での上下座の標準を以下に示します。

① 尊敬すべき方が座ったところを上席とし、その対面を下とする。
②入口から遠いほうを上席とし、入り口に近いほうを下座とする。
③ 部屋の正面を上席とする。
④ 向かって右を上席とする。
⑤床のあるほうを上席とする。

(以上)
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『NHKことばのハンドブック』③

2015年12月10日 | 日記
『NHK漢字表記辞典』に書いてある法則は、すべてではないですが「七」という漢字で書く場合の読み方の中に「シチ」があります。


上記の辞典には、数字を漢字で書く語が十項目書いてあります。

○数値をあいまいに示す概数
〈例〉十数人 千数百人 何十年 何百人 何千数人 二十数人

○ 固有名詞
  固有名詞として,漢数字で書くことが慣用になっているもの。
  〈例〉
  二重橋  旧制一高  十八銀行  ○○第一原発
 
○ 紙幣と貨幣
  日本のものは漢数字で表記する。
  
〈例〉
  一万円札 五千円札 二千円札 千円札
  五百円玉(硬貨)百円玉(硬貨)五十円玉(硬貨)
  十円玉(硬貨)五円玉(硬貨)一円玉(硬貨)
 
ただし,外国の通貨と併記する場合などは算用数字を用いてよい(1万円札 1000円札 100円硬貨)。

○ 日本の伝統文化や歴史,宗教,習俗に根ざす語
  
〈例〉
  一周忌(注10)三回忌(注11)四世鶴屋南北 五重の塔
  六代目尾上菊五郎 十五代目市村羽左衛門
  七堂伽藍(がらん)七五三 お七夜 絵本太功記十段目
  十七条の憲法 八十八夜

(以上)この中に「七」を「シチ」と発音するものがあるということです。



先の『NHKことばのハンドブック』の見どころは言葉の解説と共に書かれているコラムです。

例えば(以下転載)

外来語の表記のゆれ

Q.専門の雑誌などでは「コンピュータ」と表記しているのに,NHKや新聞はなぜ[コンピューター]なのか。

A.昭和29年に国語審議会が発表した「外来語の表記」には,「原語(特に英語)のつづりの終わりの-er, -or, -arなどをかな書きにする場合には,長音符号「-jを用いる」という原則が掲げられライター(lighter) ,エレベーター(elevator)の例が示されている。マスコミはこれを受け入れて,以来,英語の語尾の-er, -or, -arを長音符号で書くようになった。「コンピューター」の表記は当然この原則に従ったものである。
 これに対して,「コンピュータ」はいわば専門表記である。つまり,電気関係など一部の専門分野では,以前から上のような場合に長音符号を用いない習慣があった。それが文部科学省の「学術用語集」で採用されたこともあって,学問・技術関係の専門的な出版物では,もっぱら「コンピュータ」と表記されることになった。放送のことばでは「コンピューター¥を使っている。

放送と敬語

 昭和27年,国語審議会は|[これからの敬語]で,新しい時代の敬語のあり方について,次のような考えを打ち出した。 [これまでの敬語は…必要以上に煩雑な点があった。これからの敬語は,その行きすぎをいましめ,誤用を正し,できるだけ平明・簡素にありたいものである」
 放送では,ここに示された考え方にのっとって,番組の出演者・出席者に失社にならず,視聴者に不快感を抱かれない範囲で,なるべく敬語の使用を控え目にしている。(以上)

NHKのラジオで、医師が出演する番組で「○○さん」という「さん」で呼ぶのは、この考えを踏襲しているのでと思われます。


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『NHKことばのハンドブック』②

2015年12月09日 | 日記
昨日(27.12.8)、ニュース番組で国会論議の中で、民主党議員が大臣を追求する場面で、事件がらみの車のナンバーを「ゴジュウゴの○○」と語っていました。

丁度『NHKことばのハンドブック』第五章の「数字の発音」を見ていました。数字の発音が32ページにわたってしめされています。
そのハンドブックによると、電話番号・郵便番号・自動車の登録番号…など特別な数字は、「数字は1字つづ読む」。(例)「品55-な5012」(品川ゴーゴー・ノ・な(ノ)ゴーレイイチニー」

とあります。少し知識の上で優越感に浸ったことです。


『NHKことばのハンドブック』(NHK放送文化研竃所)から、布教使として知っておいた方がよい言葉です。

終戦の日・終戦記念日
  8月]5日は「終戦の日」と言い,[終戦記念日]は使わない。同様に8月6日(広島)9日(長崎)も「原爆の日」と言い「原爆記念日]は使わない。


さわやかな天気
  [さわやか]は,秋の季語である。初夏のころに「さわやかな天気」を使うと抵抗感をもつ人もいる。一般には季節に関係なく使われているが,初夏のころには「すがすがしい…」「気持のいい‥・」などと表現することもできる。


暦の上では
 く例)暦の上では,きようは立春ですが‥・
  「立春」のようによく知られている節気の場合は,「暦の土では」と言わなくてもよい。ただし 同じ二十四節気でも|「啓蟄」などのように説明を付け加えたほうがよい日や,北海道のように実際の気候と暦とてずれがあるときには,「暦の上では」と言ったほうがよい場合もある。


兄弟[姉妹]〔キョーダイ]
  「きょうだい」は,男女両方を含む。放送で特に男女を区別する必要のある場合は,「男のきょうだい」「女のきょうだい」と言う。

帰国子女
  一般的に使われているが,アナウンスでは,「海外から帰ってきた子ども(たち)」など,必要に応じて説明を加える。
  [帰国児童]「帰国生徒]という言い方をされるようになっており,注意が必要なことばである。

可能性
 〈例〉墜落した可能性が強い・‥
  「可能性」とはい「将来,現実となりうる見込み」の意であるから,理屈としては,よい場介にも悪い場合にも使える。ところが,期待感のあることばであり,人によっては悪い事態の見込みに[可能性]を使うと抵抗を感じる。「~するおそれがある」「~の危険性が高い」という言い方もできる。

学校閉鎖・臨時休校
  学校全体が休校になるときは,「臨時休校と言い「学校閉鎖」は使わない。クラスの場合は,「学級閉鎖」でよい。

植物人間
⑴ 冷たい語感をもつので放送では原則としで使わない。
 場面に応じて次のように表現する。
 〈例〉
① (交通事故で)意識不明のままの(ooさん)。
  ②生命だけは(かろうじて)維持しているものの意識は不明で運動もできない(眠ったままの)患者。
  ③大脳の働きに障害を起こして意識不明となり,生きることの最小限の機能しかない患者。
 (2)啓発的な番組で特に必要とする場合は,使うのもやむをえないが,その場かは,関係者の感情を十分考慮する。

ゼ囗歳児・O歳児
  「ゼロ歳児」ということばは使ってよい。しかし,1回は必ず「1歳未満の乳児」とか,場合によっては「(お)誕生日前の赤ちゃん]などと言い添えをする。[レイサイジ]とは言わない。

大量(~の難民)
 [大量]を「大量解雇」などのように[人]に使うこともあるが, 本来は[物]に付くことばであり,なるべく「大勢の~」「おびた だしい人数の~|などと表現する。

ちびっ子
 固有名詞に含まれているような場合には,そのまま使うのもやむをえないが,放送では[ちびっ子]はなるべく避け,ほかのことばに言いかえるほうがよい。

曹洞宗 ○ソウトウシュー ×ソウドウ…
神道  ○シントー    ×シンドー

(以上)

最初の「数字の発音」ですが、回忌の項の「7」には、「シチ」とありカッコ書きで(ナナ)とあります。これは本来は「シチ」と発音すべしという意味です。

カッコ書きのない「シチ」は、月[ガツ]・段[段位]・人・里[リ]と少数です。カッコ書きのある「シチ」は、回忌・行(ギョウ)・号・字・時間・次元・条・人前・年・夜[ヤ]とあります。この読み方には法則があります。その法則は、『NHK漢字表記辞典』に書いてあります。続く
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『NHKことばのハンドブック』①

2015年12月08日 | 日記
『NHKことばのハンドブック』『(NHK放送文化研竃所)から、“そうなんだー”と思うものを、頁をめくったところから拾ってみます。

あわやホームラン

 〈例〉あわやホームラン あわやホールインワン
  「あわや」とは,普通「危機一一髪というところで,ことなきをえた」ことを言う言い方で,助かった側からみた表現である。
  最近は例文のように使われることもあるが,誤解を招くので,放送では「もう少しで」「あとOOメートル(センチ)で」などとする。

アンケート・アンケート調査
  原語の「アンケート(enquete)」ということばに[調査]の意味が含まれているが,放送では,[アンケート]「アンケート調査」のどちらを使ってもよい。
  ただし「アンケート調査」は重複表現だという意見もあるので注意する。

祈る
ニュースなどで、一般的に言うときは,仏教徒の場介にも このことばを使っても差し支えない。 浄土真宗では,「念ずる」「願いを込めるJなどと表現している。

和尚

 ①一般的に寺の住職などを言う[和尚(さん)」は,宗派に関係なく「おしょう(さん)」と言う。
 ②「OO和尚」という形で歴史上の僧りょを言うときには,次のようにする。
 禅宗・浄土宗……………………オショー
 天台宗・華厳宗…………………カショー
 真言宗・法相宗・浄土真宗……ワジョウー
 鑑真和上……        ワジョウー
律宗では和上と書いてワジョウーと言う。

お伝えします
[開票速報をお伝えします][人気予鰕をお伝えします]は、重複した表現ではあるが、慣例として使ってよい。
  原則的には「開票速報です」[人気予報です]である。

時刻の言い方
  「午前」と「午後」に分ける。24時制」は採らない。「午前0時」は場合によっては、「夜(夜中)の0時」と言ってもよい。「午前0時」は「午後」という。「午後0時~分」は「12時~分」とは言わない。
  正時前を言うときは、必ず「5時50分」などという言い方にする。「6時10分前」とは言わない。ただし「5時30分]などの場合は「5時半」と言ってもよい。

「大」の付く語の読み

 接頭語「大」の付くことばで,〔ダイ〕か〔オー〕かで迷うことがよくある。一般的な[ダイ]〔オー〕の読みの決まりであるが,原則として,「大」の後に「漢語」(音読みの語)がくると〔ダイ〕,[和語](訓読みの語)がくると〔オー〕だとされている。「大地震」の場合は,〔オージシン〕である。
 「大地震」の場合,なぜ〔ダイ〕と言う人が多いのか。恐らく,[震災]「災害」に「大」が付く場合,〔ダイシンサイ〕〔ダイサイガイ〕になることと関連があるのだろう。「地震」ということばは,かつては「雷」「火事」と並ぶ日常的な“準”大和ことばだった。それが先祖返りして漢語的になってきたらしい。
 例外もありその一つが大地震の読みである。「大」が漢語(音読みの語)の前にきているが,従来,慣用的に〔オー〕と読むことになっている。
 この他,大+漢語のもので伝統的に〔オー〕と読むものを〔ダイ〕と読むようにゆれが出てきている。
(以上)
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他人事ーひとごとと読む

2015年12月07日 | 日記
“その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』”(2012/3/7矢野香著)の続きです。

この本に接して一番の収穫は、この本の中で紹介している、『NHK漢字表記辞典』と『NHKことばのハンドブック』『(NHK放送文化研竃所)の存在を知ったことです。

特に『NHKことばのハンドブック』『(具にNHK放送文化研竃所)は、読み物としても面白いです。図書館から借りてきて、これは買うべしと購入しました。

まずは矢野香さんの本の中からの紹介です

 「早急」の読みは「そうきゅう」ではなく」「さっきゅう」です。… 時代とともに言葉は変化しています。…『NHK漢字表記辞典』です。私は放送で使う言葉のルールをこの辞書で調べながら仕事をしています。
 この辞書で「早急」の読みを調べてみると、昭和五十六年に発行された『NHK新用字用語辞典 第1版』には、「さっきゅう」としか書いてなかったものが、最新の『NHK漢常表記辞典』には、「さっきゅうが正しいが、そうきゅうとも読む」と書かれています。NHKには七十年以上の歴史をもつ「放送用語委員会」という組織があります。一つひとつの言葉について議論し、放送で使う言葉の目安を決定しています。その委員会で平成三年に「早急」は「そうきゅう」も読みとして認めたのです。


読み間違えやすい漢字とは?
 日々、文字で書かれた原稿を読むアナウンサー。私が原稿の読み間違いに気をつかっている言葉ベスト3は、「他人事」「一段落」「施策」です。
 他人事は「たにんごと」ではありません。一段落は「ひとだんらく」ではありません。施策は「せさく」ではありません。「ひとごと」「いちだんらく」「しさく」が正しい言葉です。


…とくに『NHKことばのハンドブック』は必須です。この本は、間違えやすい現代日本語について発音、表記、意味、使い分けについて、辞書のように五十音順にまとめたデータベースです。
 読み方について正しいものは○、放送では使えないものは×として記し、さらに、○と記している読み方の中でも、数種類あるものには優先順位がついているので、とても便利です。
 例えば、「あ」の最初に出ている言葉は「秋田犬」。何と読みますか。
 『NHKことばの『ンドブック』では、一番お勧めの読み方は「あきたいぬ」、二番目に「あきたけん」と書いてあります。この場合、放送では第一優先の「あきたいぬ」を使います。(以上)
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