仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

女性の社会進出③

2015年12月01日 | 日記
本願寺派布教使の「女性の活躍推進」のシュミレェーションです。

* 女性布教使活躍推進の必要性について。

浄土真宗の伝道において、布教使に限らず、男性教師中心の伝道の弊害があります。現在の伝道は、伽藍や荘厳、読経といった1つの権威を利用(場所や手段)伝道が中心であり、こうした現状では、保守的は思いから男性中心となる傾向があります。そうした現実の打破がまず一点にあります。

権威を利用して伝道とは別に、もう1つの伝道として、“悩みを聞く、苦しみに寄り添う”活動があります。ここでは権威的なものは色を失い意味を持ちません。まさにこの伝道の場の開拓が、現代の教団にとって重要な活動です。“悩みを聞く、苦しみに寄り添う”ことは、女性に限ることではないが、大きな力となります。悩みに寄り添うことは、同侶であるか・ないか、男性であるか・ないかは問われません。こうした苦しみの現場で中ができるかが、今後の活動の重要な場となります。これが女性の活躍の場であり、その一翼として、女性布教使の活躍推進です。

また布教使の布教法においても、現在、高座からの一方的な教授法オンリーですが、絵解き(紙芝居等)やブックトーク(連続して数冊本を読み、教えを伝える)など、女性の感性を発揮した伝道法の開拓が望まれます。

* 活躍できる環境を整える

時間的制約のある環境であっても、研修と現場へ出向できる環境と制度をつくる。
女性布教使活躍の基盤となる「任用」「研修」「登用」を整える。現状に応じた的確なゴールを設定し、そのゴールに向けた基盤と順序を整える。

ステップ①
「女性布教使活躍推進」を宗派所属者全員に、取り組み開始を知らせる。

宗派としての取り組みが開始されることを全僧侶に表明します。その目的、具体的な段取り、スケジュールなどを明確にし、全寺院の協力が必要であることも伝える。この取り組みへの協力は宗派伝道の一環として位置づける。

ステップ②
女性布教使の現状の掌握

女性布教使活躍の実態を、客観的に把握することから始める。実態が明らかになることで、女性活躍推進がうまくいかない本当の理由が見えやすくなり、取り組むべきポイントや優先順位を整理することができる。

まずは全布教使へのアンケートの前に、おおまかな状況と、アンケート調査票を作成するためにグループインタビューを行い、女性布教使の課題の勘所をつかむ。

グループインタビューは、似た属性の人、坊守、衆徒、布教使取得年、未婚など、同じ属性から無作為に数人を抽出し、グループインタビューの対象者を決める。似た属性の人を集めることにより、お互いの立場や仕事・役割を共感し合えるので、より率直な発言が出ることが期待できる。望ましいグループの人数は4~5人程度。

グループインタビューは、オープンクエスチョンで行う。
 「YES」「NO」という返事を求める、いわゆるクロしスドクェスチョンでは、表面的で形式的なインタ匸ビューになりがちなので、相手の真意を掘り下げるには、「布教ついてどのように考えていますか?」というような、オープンクエスチョンを心がける。


必要なデータを集めるグループインタビューで大まかな状況をつかんだら、今度は、対象を全女性布教使としてアンケート調査を実施する。このアンケートは、現状を正確に把握するのに必要な材料やデータを集めるために非常に重要なも。作成にあたっては次の点に留意すること。

① 質問項目は、グループインタビューでの気づきをベースに作成する 例えば、グループインタビューの対象者から、布教出向の意欲が持てないという声が多く出だのなら、その理由の分析が必要ですから、「布教出向の妨げになっているものは何ですか?」「何かあれば布教出向を目指すことができますか?」のような質問項目を充実させ、必要な材料やデータを集められるようにすること。

② 質問の文言を作成する際には、質問の意図が伝わるかを熟慮する
 部外者にも数名回答してもらい、質問項目のわかりにくさなどについてヒアリングするなどのトライアルを重ねたうえで設計する。質問の意図が誤解されると、回答が意図からずれたものになるうえ、回答者の真意が寄せられない可能性もある。

③ 質問項目は、改善の指標としても活用できるものにする。いくつかの質問については、経年にわたって繰り返し聞くことを前提とした質問にします。ただ、それ以外の質問は、その時ごとのテーマにそった質問に入れ替える。

女性布教使出向の課題を整理する

 課題が「資格取得」「修学」「出向」のどこにあるのかが判明したら、それがどのような課題なのか、さらに整理していく。
 課題の領域は、「機会創出」「制度支援」「意識醸成」という3つに分類できる。ここまでのステップで明らかになったすべての課題を女性活躍の基盤の3つの段階、すなわち、「資格取得」「修学」「出向」を縦軸に、課題の3つの領域、すなわち「機会剔出」「制度支援」「意識醸成」を横軸とする「女性活躍推進フレーム」に落とし込んでみ「機会剔出」のフレームに入るのは、「何らかの条件(女性、家庭、遠近出向など)にあてはまるとチャンスが与えられない」という課題です。フレームに落とし込んで、「女性の活躍を阻害しているものが何か」をはっきしりさせる。

女性布教使活躍のための「マイルストーン」を設定する。「現在地」を明らかにしたうえで、「マイルストーン」を設定する。マイルストーブとは最終的なゴールに向かうまでの通過点のことで、確実な目標実現に有効なものです。
 
「マイルストーン」を設定する際には、以下の点を心がける。

① あくまでも現状を踏まえた設定をする
 例えば、ほとんど女性布教使の講座出向がないという現状を無視して、「今年中に女性講座出向10%を達成する」といった現実感のないマイルストーンを設定しても意味がない。

② 上層部と担当セクションが合意したうえで決める
 女性人材の育成や活躍推進は、伝道部や、キャンペーン的に設置された女性活躍推進プロジェクトだけで達成できるほど簡単なものではない。女性布教使の扱いに対する宗派の過去の経緯や宗派の根強い意識なども絡む、非常に複雑なもの。
 目標を定める際には、必ず上層部の理解と令窓を得たうえで決めることが必要であり、上層部の理解と令窓の得られないプロジェクトのほとんどは失敗に終わるといっても過言ではない。

やることのメリットを探すよりも、やらないことのデメリットのほうが大きいということを伝えていく必要がある。

抽象的なものではなく、具体的なものにする

 例えば、「女性が輝く会社になる」「女性が生き生きと伝道できる宗派になる」といつか抽象的なものだと、何をもってゴールに到達したかが不明瞭で、最終的なゴールまでの進捗状況もつかめない。
 「本山総会所、別院出向に占める女性の割介を○%にする」「女性布教使の出向率を○%にする」「各教区布教団役員に○人登用する」といつか具体的な「数値目標」を設定する。
すべての目標は「○年までに」という期限を切っておくことも大切。

数値目標そのものをゴールにしない。
 そもそも「女性布教使活躍推進」自体も、「浄土真宗の伝道を推進する」という目的のための、いれば「マイルストーン」です。十分な施策が伴わないまま、数字合わせの女性布教使の登用だけを推し進め、表面的に数値囗標をクリアしても、まったく意味がない。逆に離職の原因になるなど、宗派内の悪評につながるリスクもある。
それは、女性本人にとっても、宗派にとってもデメリットしかもたらさないので、注意が必要。何のための数値目標なのかという「目的意識」を常にもって取り組むことが大切である。(以上)

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