仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

新しい“モノ”から“コト”へ

2013年03月21日 | 日記
地下鉄サリン事件から、作20日は18年、ニース番組で追悼のシーンが流れていました。オーム事件は、日本人の欲望の対象が、物から心へと移った象徴的な出来事でした。

今日(25.3.21)の読売新聞1面にも「モノ欲しがらぬ若者」と題して、若者が車を欲しがらなくなった世相を記事にしていました。デパートの戦略を“モノではなくコト。「楽しむコト」「感動するコト」を通して消費者と双方向の関係を結び「低燃費」の消費者を取り込む”と書いてありました。

“プチ修行”といった仏教のささやかな流行も、“時代に新しいコト”を求めているのでしょう。

モノを獲得することが目的だった時代から、モノによってエンジョイする時代へ。この“モノ”の中に、宗教や恋愛も入ってしまっているようです。

昨日読んだ『女は後半からがおもしろい』(坂東真理子・上野千鶴子)で、上野千鶴子氏が語っていました。

心理学者の小倉千加子さんは『結婚の条件』(朝日新聞社)の中で学歴に応じた女性の結婚観を、「保存・依存・生存」という標語で的確に表現しています。学歴が高い順から、現在の生活レベルや自分を変えない結婚を求める「保存」、相手に養ってもらうことを求める「依存」、そして生き延びていくために結婚する「生存」があるというのです。これが今の結婚の条件です。昔より現実的で恋愛至上主義ではなくなっているのです。(以上)

昔も意識下の思いは同じだったかもしれませんが、昔は、そのことを意識することへ抵抗(はずかしさ?)があったのだと思います。“新しいモノ”を求めていた時代よりも“新しいコト”を求めている現代のほうが、個人の欲望があからさまになった時代だといえます。

それは欲望が時代のニーズであった時代から、欲望が個人のニーズになった時代の変転でもあります。
コメント
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