仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

平等意識の弊害

2013年03月17日 | 日記
一昨日(25.3.15)午前10時代のNHKラジオ放送にホームレス支援団体「TENOHASI」の代表を務める精神科医・森川すいめい氏が出演していました。『漂流老人ホームレス社会』(朝日新聞出版)の著者でもあるようです。

放送は同書のまえがきに書かれている「ホームレスとは、単に家(ハウス)がない状態をいうのではない。安心して生きていく場(ホーム)がない状態をいう。みんなが平等であることを前提とする社会は、人間を、ホームレス状態に押しやる」の紹介から始まりました。
12年の調査で、ホームレスの平均年齢は59.3歳。60歳以上の高齢者が半数以上を占め、70歳以上でも全体の10%を超え、また認知症やうつ病などの人が大変多いと語っておられました。

「みんなが平等であることを前提とする社会は、人間を、ホームレス状態に押しやる」の言葉は、確かに思い当たります。みんな平等だと思っている社会では、ホームレスや犯罪者は自己責任として、すべての責任をその人が負っていかなければなりません。

現代日本は、格差社会だといっても、前提に「みんなが平等」意識があるので、発展途上国の格差社会と違って、意識の上にも格差が反映して、しかもその意識は隠されて表面上は平等を装うといったいびつな(不健全)な社会になっているようです。

これを仏教に重ねて考えると、「一切衆生悉有仏性」という平等を前提とした仏道は、人間をこころのホームレス状態に押しやるとも言えます。平等から外れている人には、安心できる所在がない。悪人正機のように、そのままでいいんだよという、悪人のままで安定していける拠り処がないということです。
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