阿部共実「空が灰色だから」2巻読了。
1巻の感想時にも書きましたが、この漫画は世間的な弱者を中心に描いてるんですよね。
弱者って言うか、欠陥人間?誰の輪にも入れない、何も報われない、最終的には空回りする
そんなペーソス模様をポップに描く、のと同時に
ホラーちっくなネタだったり
普通の女子高生コメディっぽいネタも描いたり、一所に留まらない多彩さがこの漫画の個性になってるんですが
それでも第18話「信じていた」は読んでてちょっとモヤモヤしちゃいましたね・・・(笑)。
でも、そんなモヤモヤに触れてるのが気持ちいいのよ。
それは何故なんだろう?
自分もダメ人間だから?っていうかこの話の場合は言葉のすれ違い、か。
でも散々頑張って励まし続けて来た彼女に対する報いがこれか、って考えると若干キツいような・・・。
2巻では傷を抉るようなペーソスネタの比率はやや少なくなってると感じられただけに
このお話だけが異様に浮いてるように見える
でもそれによってインパクトって演出では十分に成功してるようにも思う。
彼女はこれからどう生きてくんでしょう。人生間違えなきゃいいが、とか余計な心配までしちゃいますね(笑)。
ただこういうペーソス模様ってペーソス人間からすると物凄く沁みるものですから
その点ではペーソス人間ならばきっと読む価値はあるんじゃないですかね。
今回は笑えたり心地良い気分になるコメディが多目でしたが
やっぱたまにそういう何一つ救われないお話が来るとすっかり夢中になってしまいますね。
そんな切なさだったり、甘さだったり笑だったり、ちょっぴりの感動だったりなんかいいな、って思える
そういう感情ばっかりが詰まってる優良なショートコメディ作品
1巻に続いて2巻でも個人的に大いに支持させてもらいます!
って事で。
このニッチさ加減溢れる漫画が少年誌で連載されてるのは凄い事だよ!って思うけど
一方で自分が少年の時にこの漫画を読んで微妙にトラウマにしたかったかも、って気分もあったり(笑
好き嫌い賛と否は確実に両論になるだろうけど、
その分何も感じさせない漫画になってないのは一つの事実であって
そんな「感想」からは決して逃れられないアート志向の高いオルタナティブなコミックになっているのでは、と。
取り敢えず1巻よりも更にニッチになった印象もあるので、引き続きこの世界観にドプドプ漬かって
そしてちょっとだけ救われた気分にでもなればいい。
まだまだ局地的だけど
ここまでの個性があれば絶対もっと受け入れられるはず。応援してます。
ただ、ペーソスペーソス言ってますけど
結構甘々?な恋愛ネタの「わたしたち」もまた最高に良かったです(笑
なんていうんだろう、こういう捻じ曲がった青春模様でもこんな温かい気持ちになれるんだー、って感想で
ある意味この先の二人の模様も読んでみたくなるような・・・絶対に男子の方はツンデレだ。
だから、有り体に「暗い」って言葉だけで形容するのもまた違う、のかな。
唯一つ言えることは
この漫画には様々な「人間」が詰まってるって事ですかね。
嬉しさも楽しさも悲しさも怒りも、その中間も全部が全部ここに入ってる印象なので
その点ではオールマイティって印象も感じられて個人的な評価もまた高かったり
既にポテンシャルの高さは十分に感じられたので
これからも阿部さんが作り出す様々な喜怒哀楽のカタチを楽しみにしてます!ってオチで。
また3巻を読むのもきっとワクワクドキドキでしょう。そんな漫画の一つです。
それにしても、この漫画の登場人物はみんな「頑張って!」と言いたくなるキャラばっかですね(笑)。
第21話の不破さんなんか特に世間的に見ればダメダメだけど、その分守りたくなるっていうか。
んで華村さんも確かに可愛いーッス!!百合ネタも完備とは恐れいります。
後は第16話「金魚」は人間の抱える本質的な矛盾がバッチリ描かれてて、沁みました。