超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

オシエシラバス 4巻/高尾じんぐ

2012-07-28 07:40:28 | 漫画(新作)





高尾じんぐ「オシエシラバス」4巻読了。






今回も素晴らしい出来でした。色々と感動した。
この漫画はやっぱり超が付くほどの現実主義だと思うんですよね。
設定は漫画的な、本から出てきた家庭教師と小人っていうものなんですけど
キャラの普遍的な描写とか、緻密で温か味のある背景だとか、過度に漫画チックな癖を付けない工夫だとか
本当に現実にあってもおかしくないレベルのギャグやコメディパートが多くて
これまででも一番じゃないか、って思うくらい
漫画的と現実的のその中間
グレーゾーンが完璧に研ぎ澄まされた形で提示されていて感動してしまった。
漫画っぽいとも言えるし、現実っぽいとも言えるこの何とも形容し難い感覚は
間違いなく高尾じんぐにしか描けない個性的な作品であり、
実際ここまで美しくグレーゾーンを描けてる漫画家って正直他に思いつかないですね。
その分、余計な欲と色が無さ過ぎるっていうか、ここまで読者受けを想定していない漫画だと
正直知名度が低めなのも納得といえば納得なんですけど
(サブカル系王道の雰囲気漫画にする事ですら避けてますしね)
でも、どの枠やパターンにも当て嵌らないこの独創性はきっと好きな人は全力で好きなんじゃないかと
まあ実際私がそうですもんね(笑)。じんぐさんの漫画はいつだって気持ちの良い場所に連れてってくれます。
67ページの1コマ目の何とも言えない写実的な青空の描写なんかは
いつか自分も見たかのようなリアルさを内包していて心から素敵だな、って思える。
そういう相対的に無欲でありながら、でもキャラはきっちり可愛く面白く読めるっていう
通常の日常作品、美少女中心の作品からアンポンタンな部分を完全に抜き切った感じ・・・ですかね。
勿論アンポンタンなのはそれはそれで面白いし時には毒も必要ですけど
この漫画は本当に自然に、
肩肘張らずに読んで可愛さや楽しさ、賑やかさに
日常の隙間でふと物思いに耽る感じだったり我に返る感じだったり
いつか見た懐かしい風景だったり・・・色気と読者受けの想定して無さから、
割と読む人によっては退屈に感じられるかも、だけど大人にとってはむしろこういう作品は心地良い。
そういった意味で割りと青年誌で連載している目的もかなり明確な漫画じゃないか、と思います。


それにしても、善くんの照れた顔は本当に可愛いですね・・・!
ここまで4巻もじらしただけの事はあったわあ。
思春期男子ならでの気恥ずかしさっていうか
普段はクールを装っている分、ギャップ的なインパクトも抜群で
一気に駆け出して逃げてしまうあたりも男の子らしいリアリティがあって素敵だな、と。
今までは半分苦手意識ばっかだったから、余計にその本心を知れば好きな気持ちが一気にあふれ出す
まあその本心って言うのも奥村の勘違いではあるんですけど(笑
その勘違いもまた素っ頓狂なものでなく
まあ普通はそう思うよなあ、って納得の行く勘違いであるからして
やっぱりこの作者は色々な意味でリアリストだと感じる部分は大きくありつつ
そんな素敵で面白い勘違いの連鎖が今後どういう方向に向かっちゃうのかも至極楽しみ
気づけば前作の松戸くんのポジションに猛スピードで近づいてる気もしますけど
今回は教恵が割と素直過ぎるきらいもあったりするので
彼女の反応も描かれれば楽しみ
いつにも増して続巻が気になっちゃう仕様にニクいなあ、と感じつつも(笑)。
ここまで応援したくなる、見守りたくなる男キャラも早々いないので素直に続きが楽しみです。
善くん、普段は本当に男らしくて格好良いからなあ。その分やっぱ衝撃度は抜群でした。

そして、個人的に笑ちゃんのキャラが大好きです!(笑)。
なんだろう、所謂うるさ型のキャラなんですけどなんか懐かしくもあるんですよね。
学生時代に傍目から見ていてこういう子いたよなあ、と思える感じがあるというか
その辺もまたこの作者ならではのリアル感が出ていて
何の抵抗もなく好きになれたんですけど
無防備な可愛さだとか
一心不乱に楽しさを求めるあの頃ならでの若さの表現だとか
個人的なツボを突かれまくりの他意の無さ過ぎるキャラ造詣に拍手!ですね。
最後には実家に帰ってしまうんですけど、でも自分的には是非これからもちょくちょく出て欲しい
これ程のキャラが1巻で退場とか、ちょっと惜しいと思います。それに、笑もまた過程キャラ
本当の意味での「成長」は未だ遂げてないと思うのでその意味でも先を見たい
彼女が一生懸命になってる姿もいつかは拝んでみたいですねー。そしたら過程を見てる分グッと来そうだ。
でも実際に居たら
可愛くてこづかいあげてしまいたい程あいらしく感じちゃうんだろうな、とも思うけど(笑
着てる服もいちいちあの年代、性格の子が着そうな服で現実的なんだよなあ。
特に最後のお話で着ていた服と下着とか。奥村に腹パンしたい。

そんな複数の新要素/新キャラの登場等で
今回も飽きずに最後まで楽しんで懐かしんで読めた4巻目
もはや私にとってこの方の漫画を読むって言うのは一種の至福行為になっているようです。
この方の作品に関しては相当に個人的な感情移入必至のようです。
そして、どんどん情緒的な成長を遂げてる教恵ちゃん
初期と比べて明らかに表情が柔らかく自然になっていて、その意味でも読んでてとっても楽しかった
相変わらずくにちゃんすうちゃんたちのコントも面白かったですね。特にお姫様願望(笑






にしても笑ちゃんのルックス見てて八重歯って本当にいいものですね、って。
特にキャラのルックスに関してフェチ的なものはないんですけど
八重歯は本当に好きなポイントかもしれないです。
愛嬌があって可愛く思える感触があるし、
そういうキャラは必然的にピュアな性格として描かれる場合が多い気もするなあ。