超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ひだま~ぶる×☆☆☆/marble

2010-05-20 22:12:42 | 音楽


ちょっと遅くなりましたが、「ひだま~ぶる×☆☆☆」についての大まかな感想を。
いつになるかは未定ですが全曲レビューもやる予定です。
その前にもう一度おさらい、的な。


このアルバムの感想を一言で表すと、
まあ、オリジナルアルバムですね、これは(笑)。
 一応タイアップ先の作品のイメージアルバムと言う体で発表されてるんですけど
紛れも無くこれはmarbleの5枚目のアルバムです。
タイアップ先に興味が無い人でも、marbleに興味があれば間違いなくそういう感触で聴けると思います。

で、これがまたすっごく良い。
なんというか、タイアップ先の作品、要はひだまりの空気感のお陰で
オーガニックなmarbleが再び堂々と鳴らされていると言うか
ちょっと懐かしい感じすらしてしまって。
「虹色ハミング」の頃のmarbleが蘇ってきた感じ。
と、同時に「手のひら」みたいな雰囲気もあると思うんですよ。
ちょっとシンプルにバンドサウンドで鳴らしてみました、みたいな
派手さを抑えて地力で勝負してみました、みたいな。
「雲はひとつだけじゃない~」とかは何気にクールmiccoが復活した、みたいな感触もあって
二つの旧譜の良さが交じり合ってる音像のアルバム、
ってのが個人的に大きく感じた事ですね。
だからただ単なる原点回帰じゃないというか
それ以上のものがあるというか。
今までのアルバムと比べてチャレンジングな部分こそ目立たないものの
その分安定して良い音楽を!って意志が感じられて、相変わらず志の高い作品つくりをしてるな、って思います。
 個々の曲を取り出すのもいいですが
一枚通して聴いた時の気持ち良さは半端じゃないですね。
「深呼吸」~「雲はひとつだけじゃない~」~「me*you~」あたりの流れは聴いててホント気持ち良かった。
ムードが抜群、というかね。

そうそう、「me*you~」は菊池さんが初めてメインボーカルを務めた曲でもあるんですよ。
で、これがまた・・・
うーん爽やかっ!!(笑)
なんで今まで歌わなかったの?
と、言いたくなるくらい未曾有の爽やかさ、声のハンサムさ。
あまりの心地よさにmiccoボーカルの曲を聴いているのと同じくらいのカタルシスを感じてしまいます。
最初菊池さんが歌う、って聴いた時は賛否両論になるか?とかまず思ってしまってたんですけど
これは多分みんな好きなんじゃないですかね。
だって曲も良いし、声も良いし、何よりこのアルバムに入っていて違和感が全く無い。
こりゃ一つのエポック・メイキングですよ。
今後もクオリティの高い曲が出来れば時々でいいから菊池達也ボーカルも聴きたい。
なんとなく、そんなことを思ってしまいました。
こりゃいいもの聴かせてもらいましたわ。
(余談ですが、ライブで聴いても菊池さんの歌は上手いです。)


Lantisからのリリースって事で
聴く層が限定されてしまってる感があるんですけど
個人的にはクラムボンとかSPECIAL OTHERSとかおとぎ話とかLOST IN TIMEとか曽我部恵一とかTHA BLUE HERBとか
そこら辺の音楽を好きな人達にも是非聴いて欲しい一枚です。
私はナチュラルなポップス、音楽が好きなんですけど
そういう人には多分うってつけです。
勿論、基本どんな人にでも受け入れられる筈!とは思ってますけどね。
また一枚大好きなアルバムが増えました。
 このアルバムを記念したレコ発なんかも期待したいんですけど。無理かな?
「happy♪eating♪fight!!」なんかは生で聴いたら絶対に気持ちいいはず! ま、インストアで数曲聴けそうですけど。
今からワクワクです。




喜びがやって来る/tobaccojuice

2010-05-20 05:08:42 | 音楽(旧譜レビュー)

コンスタントにやっていきたい旧譜レビュー、
第3回はtobaccojuiceの「喜びがやって来る」です。
彼らのデビュー盤ですね。リリースは今から7年前の2003年。
このタイトルからして好き。


NHK-FM「ミュージックスクエア」で掛かった「プカプカプーカ」という楽曲がきっかけで
彼らの音楽を聴き始めたんですが(このCDにも入ってます)
とにかくボーカルのクセの強い声が耳に残ると言うか
頭の中をループする感じでして。
これ非常に分かり難いかもしれないんですけど、
スッと入ってくる気持ち良さと、しつこくこびりついて離れない感触が同居している感じ。
さわやかであり、渋い、みたいな。
このボーカルのセンスだけでもこのバンドはある程度のポテンシャルの高さを持っていると思うのですが
更には楽曲自体もえらい良くて。
ブルースど真ん中!って印象の曲が殆どなんですけど
歌詞に込められた思想はロックやパンクそのものなんですよね。
ブルースって基本的に嘆きの音楽ってイメージが個人的にあって(勘違いだったらすいません)
もちろん嘆きの要素も往々にしてこのミニアルバムにも入っているんですけど
それ以上にロックやパンク的なエッセンスを強く感じてしまうと言うか。
ま、これも自分の感性だけで書いているので実際にそう感じるかどうかは分からないんですけれども
しかしブルース音楽とはいえ
ロックやパンクス、またはポップスが好きな人にも普通にオススメ出来る音楽、だとは思います。
要はブルース好きもそれ以外も同ベクトルで聴ける、と。
そんな感じがします。


とにかく前述の「プカプカプーカ」が名曲だっ!っていうか、
ルーズな歌い方なのに実はシリアスな想いが込められてる詞とのギャップが堪らないんですけど
それ以外にもこのミニアルバムは良い楽曲揃いでして
ファンクの匂いもする音楽賛歌「トライアングル」、
雑食的なアレンジが面白い「レインコート」はとても洗練された曲として響いていて
ディープなブルース勢「なにもない」「死神電車でロックンロール」も退屈ではなくじっくり聴けるタフさがある楽曲達。
特に「なにもない」の虚無感は憂鬱な気分の時に聴くと驚くくらいハマります。
気がつけば口ずさんじゃったりしてるところが怖くもあったり。
最後は「サンデーサンデー」でちょっと明るくなって終わるのも良い構成だと思います。
沈んだまま、ってのもそれはそれで好きですが
基本的にtobaccojuiceの音楽ってそれでも生きていく、って事が最終目的のように思えるので。
だからこっちのが良い。

で、歌詞もとっても素敵なんですよね。ちょっと引用させてもらうと

「音楽が鳴れば枯れた花が咲きはじめる
 殺し合う人々が殺し合ってる事に気付く
 疲れきった鳥たちが勇気を出しまたはばたく
 ほら空を見ろよ
 悲しみを越えて喜びがやってくるさ」   (トライアングル)


「見えないものばかり大切で
 見えないものばかり
 集めてきたのさ」    (レインコート)


「やりたくない事はもうやるなよ
 着たくない服は燃やしちまえよ」   (サンデーサンデー)


割と分かり易いフレーズ中心に挙げてみましたが
tobaccojuiceの、ボーカルの松本さんの紡ぐ言葉っていうのはそれほど特別なものではないんですけど
不思議と彼が歌うと何でもない言葉が一気に存在感を増すというか
色が付くというか。
って書くと少々大げさかもしれないんですけど。
でも、個人的にはやっぱり天性のボーカリストだと思うんですよね。
その割にはセールス的に非常に不遇な訳ですが(笑)。
派手さないし、職人的なタイプのバンドだから仕方ないのかな、とは思いつつ
もう少し知られてもいいんじゃ?とも思ってたり。



このミニアルバムは旅やちょっとしたお出かけに持っていくのも十分合うとは思いますが
個人的には深夜あたりの時間帯に部屋で一人で聴くのが一番フィットすると思ってます。
ちょうど、それくらいの時に聴くと良い具合に沁みこむというか。
ちょっと考え事をしてる時とか
なんとなくダウナーな気分の時にも合いそう。
もちろん、合う合わない関係なく聴いても全然。
最近新譜も出たので、それもまた取り上げたいです。