5年めか6年目になる自家製醤油づくり。今年は初めて11月のうちに絞り作業をしました。
仕込んだのは3月。8か月醸造した醤油です。長野県阿南町のさわんど主宰・井上時満さんにお越しいただいて作業開始。まず、醸造したもろみを適度の濃さにお湯で薄めます。撹拌したものを、袋に入れ、絞り機に積んでいきます。
出てきたのがこちら。今年の醤油です。
濃度を測りながら作業続行。このとき、出てきた生醤油をなめるのがこの日の一番の楽しみ。今年は、Covid-19感染拡大が心配だったので、醤油醸造にかかわっている2グループのメンバーだけの会としました。そのため、いつものように、小さな子供たちが醤油がおいしいといってなめ続ける姿をみることはできなかったのが、ちょっと寂しかった。
最初絞ったのは私たちとは別のグループのもろみ。同じ麹を同じ時期に仕込んでいるのに、毎年私たちとは違う味の醤油に仕上がります。こちらのほうがいつもなんとなくやわらかい味がします。今年もそう。
塩と水が違うほか、大きく違うのは置き場所。管理の仕方によってももちろん違います。
去年の私たちの醤油と、麹を分けてくれている麹屋さんの3年醤油、去年同じ麹で別の土地で仕込んだ友人たちの醤油、それに今年の私たちの醤油と、別グループの醤油を舐め比べました。
今年も私たちの醤油は味が強い。私たちのもろみを見たとき、絞り師の井上さんは、かなり熟成が進んでいる、と思ったそう。カビが出るのを心配して、数年前から早めに冷暗所から外にある蔵に移動し、高温の状態を長く続けているからのようです。
一方もう一つのグループは、周年半日陰の場所に置いています。味がやわらかく感じるのはそのせいかもしれません。
別の土地で仕込んだ去年の友人の醤油は、まるでだし醤油のようにおいしい。置いた場所は、初めの数か月風通しのいい軒下、その後夏になってから外に出したそうです。はじめ置いた場所の風通しのよさと、夏になってから急激に高温の環境に変えたことが、私たちの醤油との大きな違いのようです。自分たちの育てた醤油には愛着はありますが、よその醤油と舐め比べると、さらなるおいしい醤油を目指して工夫したくなります。
お昼ご飯は、地元のうどん屋さんで買ってきた白玉うどんと汁だけ。生醤油と薬味をかけてシンプルにいただきました。汁は鍋に持ち寄り野菜をいれて醤油仕立てにしました。いつものもちよりおかずは中止。なんだかさびしかったけれど、簡素なご飯だからこそなのか、今回はことのほか、醤油のうまさや野菜のうまさをきちんと味わえたような気がしました。
最後は加熱。88度まであげるのですが、急激な上昇は禁物だそうで、徐々に温度を上げていきます。
さて、これで数家族の1年分の醤油ができました。しばらくはまず生醤油をあじわい、友人たちにおすそわけ。春になったら、また来年の醤油を仕込みます。
いつもは冬の寒い時の仕事となる絞り作業ですが、今年は秋の、それも暖かい日の続いているうちに実施できました。気の焦りが少なかったせいか、この日は、しみじみ晩秋の一日を楽しむことができました。