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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「愛の神エロス~若き仕立て屋の恋」

2018-02-01 21:36:29 | 映画とドラマと本と絵画
   「楽園の瑕」に続けて、ウォンカーウァイ他2人の有名な監督による共作映画「愛の神エロス3部作」を見ました。他二人とは、「セックスと嘘とビデオテープ」のソダーバーグと「太陽がいっぱい」のミケランジェロ・アントニオーニ。90歳を越えたアントニオーニの誘いで、3部作ができあがったそう。

   この映画のことを教えてくれた知人は、「ウォン・カーウァイだけが良作。あとはとるに足りない」というようなコメントをくれたのですが、ほんとにその通りでした。そのウォンの映画のタイトルは「若き仕立て屋の恋」。1960年代の香港が舞台。仕立て屋で働く若い男チャンが主人公です。彼の働く店の上得意のフォンは高級娼婦。フォンの住まいにドレスを届けたチャンは、寝室で客と性交するフォンの喘ぎ声に興奮。その興奮したままの彼を招き入れたフォンは、彼の体に自分の手を差し伸べ、服の上を繊細な動きでまさぐります。それが二人の出会い。

    原題は「The hand」。全編、裸のシーンはなく、つややかなドレスやスーツのしわの動き、顔や手の表情から、エロチックな気分を掻き立てられます。高慢でうそつきのフォンは次々に客に捨てられ、転落していきます。しかしチャンはずっと彼女への純愛を抱き続けます。いったんすべてのドレスを捨てるよう頼まれたチャンは、捨てずに保管。落ちぶれた彼女から久しぶりにドレスの注文を受けたチャンは、他の従業員や雇い主のいない深夜、昔自分が作った服をやせ衰えた彼女の体型に合わせて手直しします。出来上がったそのドレスを裁ち台にひろげて、彼は裾から手を入れ、あたかも服の下にある彼女の体をゆっくり撫でまわしているかのような表情に徐々に変わっていきます。このシーン、圧巻です。

    ドレスは「花様年華」同様、体にぴったり合うよう裁断されたチャイナドレス。筋はとてもわかりやすく、ねっとりしっとり描かれていて、知人のいう通り「良作」でした。最後の彼の表情もよかった。

    ソダーバーグの映画は、ある女の夢を見続けていることについて分析医に話すシーンが主。会話にウィットが少しちりばめられていてクスッと笑った箇所もいくつかありましたが、だからどうっていうことはない。アントニオーニにいたっては、「どうしちゃったの?」といいたくなるくらい、ひどい映画でした。だれが見ても、ウォン監督の作品が断然面白いというとおもいます。次にツタヤレンタルから届くのは「ブエノスアイレス」かな?
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映画「楽園の瑕 終極版」

2018-02-01 21:24:50 | 映画とドラマと本と絵画
   「グランド・マスター」を見てから、ツタヤレンタルで、ウォン・カーウァイ監督のまだ見ていない映画を数本頼みました。最初に来たのがこちら。「楽園の瑕 終極版」です。

    舞台は南宋の時代の荒れ果てた土地。そこに一人住んでいる殺し屋が主人公。かれのもとに毎年やってくる友人、かれの殺し屋家業を手伝う男、弟の敵討ちを頼みに来る女などなど次々に登場。話の筋はあるのですが、夢のよう。主人公が昔であったある国の王子に、冗談で「君に妹がいたら娶りたい」といったその言葉で、主人公の人生も王子(実は男装した王女)の人生もかわってしまいます。

    またまた描き方がすごい。のちの作品に比べて、あまりお金はかかっていないと思うけれど、「グランド・マスター」に至るには、ちゃんと前身があったのだと、納得できる画面でした。

    この監督の作品で最初に見たのは「花様年華」。話の筋は忘れたのですが、香港の裏路地の狭い階段を上がるチャイナ服の女性の、ぞくっとするほどなまめかしい腰は、いまでもはっきり覚えています。この「楽園の瑕」に登場する、たぶん男が迎えに来るのを待ち続けているらしい女性が馬を洗うシーンは、あの腰つきを見た時の気分を思い出させました。

    原題は「東邪西毒」。最後に残る二人の男がそれぞれこう呼ばれた、というのですが、意味は不明。深いいわくがありそうななさそうな。筋など関係なく、ボーっと見入ってしまった映画でした。実際の興行成績は最悪で、観客が次々に席を立ってでいったそう。でも、評論家には絶賛されたということです。
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