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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「喜劇 にっぽんのお婆ぁちゃん」

2012-12-24 14:34:00 | 映画とドラマと本と絵画
   先夜、NHKBSプレミアムで、1962年の日本映画、「にっぽんのお婆ぁちゃん」を放映しました。監督は今井正。主演はミヤコ蝶々と北林谷栄です。どちらも実年齢は40代くらいだと思うのですが、かなりの老婆を演じています。

   ほかに、原泉、飯田蝶子、東山千栄子、浦辺粂子といった、若い頃からおばあさんばかり演じてきたような女優や、伴淳三郎、三木のり平、殿山泰司、田村高廣、十朱幸代、市原悦子などなど、当時の有名な俳優たちが続々登場します。

   さて、ふたりの老女は浅草の繁華街で出会います。気があって、一日行動を共にするのですが、しだいに2人は、お互いがこの日を最後に自殺するつもりで街に出てきたことを知ります。

   ふたりは自分の境遇を相手に明かさないまま、一緒に交通の激しい往来に出て、轢死しようとします。でも、すぐに挫折。北林谷栄は老人ホームの住人、ミヤコ蝶々は実は団地に住む息子一家と同居。どちらも同居人とうまくいかなくて死を決意したのですが、結局、ふたりとも住処にもどります。

   北林谷栄は、ホームのお誕生会で、取材に来たテレビの記者にインタビューされ、そのようすをミヤコ蝶々が見て、北林の素性を知ります。そして、気に染まない嫁と争いをくり返しながら暮すよりも、ホームで暮らすほうが幸せだと思い、息子たちに家を出ることを告げます。

   すると、息子たちはそれまでさんざん彼女を邪険にしていたのに、ホーム行きをしぶります。「世間から、母親を捨てたように思われるから」ということらしい。ホーム暮しという新しい生活にちょっと希望をもち、寝床に入ったミヤコ蝶々の隣の部屋で、渡辺文雄扮する息子が一人、腕組みして考え込むところで、この映画は終わります。なかなか味のある佳品でした。

   東京オリンピックを目前に控えた60年代前半、高度成長時代に突入する頃の話です。地方から都会に出る人が増え、核家族化が急速にすすみ、それまでの日本の家族の形が、どんどん変わっていかざるを得ないことを、社会派の監督がコミカルに描いています。

   無理して体裁だけ家族の形をとって同居するよりも、他人ばかりだし、揉め事も絶えないけれど、境遇が似ている同士助け合って生きるほうが幸せだよ、というメッセージを送っているようでした。

   この映画は50年も前の作品ですが、つい20年ほど前でも、田舎では、ホームヘルパーに来てもらって同居している舅や姑の面倒を見てもらうことすら、はばかれる風潮がありました。嫁姑の仲はとても悪いのに、家の中に他人が入るのを嫌がるのです。

    ましてや、老人ホームは姥捨て山という認識があり、よほどでないと入所はさせなかったと記憶しています。当時、アメリカでは、宇宙飛行士クラスの親でもホームに入っていると聞き、文化の違いを強く感じたものです。

    だから、そういう時代に制作された映画としては、かなり先進的な考え方を打ち出していたものではないかと思われます。

    いまは、ずいぶん変わり、ヘルパーさんに来てもらうこともホームへの入所も、隠し事ではなくなりました。楽な時代になったな、とおもいます。

    ところで、映画のなかのミヤコ蝶々は65歳、北林谷栄はたしか72歳と言っていました。ふたりともものすごく齢を取って見えるのですが、いまの感覚から行くと、まだ若い。でも、当時の60代、70代はあんな感じだった気もします。

    私の祖母も、私が子どもだったころはたぶん60歳前後。地味な着物を着て、ひっつめ髪にして、控えめな口しか聞かなかった祖母を、私はたいへんな年寄りのように思っていました。

    考えてみれば、昔の老人は貧しい時代が長かったので、働きすぎや栄養不足の人が多かったと思います。平均寿命も短い時代でしたから、年寄りくさく見えて当然だったのかもしれません。

   あれから半世紀。暮らし方も環境もなにもかももっと変わり、家族のあり方も老人の居場所も生き方も、ずいぶん変貌しました。元気で、いつまでも意欲的な年寄りになりたい、と願うこのごろですが、さてどうなることでしょうか。
    

   

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グリーンママン主催の、アンティマキの講習会が終わりました

2012-12-24 11:10:53 | アンティマキの焼き菓子とパン
 12月14日(金)、豊田市街地の高橋交流館で、アンティマキのパンとスコーンの講習会が開かれました。主催は、毎月、守綱寺で朝市を開いているグリーンママンです。

  私にとっては、どんぐり工房以外の場所での講習会は初めて。遅れてはいけないとおもって、朝7時半に出発しました。途中、国道153号線と257号線が交わる稲武交差点で、「-6度」とあり、道中が心配でしたが、8時半過ぎには無事到着できました。

  当日は、グリーンママンのメンバー3人のほか、10人の方たちが参加下さいました。ほとんどの方が、小さな子供さん連れ。にぎやかな会となりました。

   この日作ったのは、こねないパンのうち、甘い小豆のパンと全粒粉のパン、それにハーブのフォカッチャ、黒糖とクルミのスコーンとジャムサンドスコーンです。ジャムサンドスコーンには、紅玉リンゴ、ラフランス、ルバーブの3種類のジャムをはさみました。いずれも自家製です。

   スープは、ニンジンと野菜の豆乳スープ。動物性食品もスープの素も使わないで、蒸し炒めし続けることでコクを出した汁物です。

   勝手の分からないはじめての厨房でしたが、グリーンママンの方たちの助けで、なんとかパンは発酵し、時間通りに終了できました。パンやスコーンのお持ち帰りがたくさんできたので、喜んでいただけて、よかった。

   でも、帰宅してから荷物を整理していて、スープに入れるニンジンを、半分しか使わなかったことに気がつきました。ニンジンスープではなくて、ただの野菜スープでした。やはり、ちょっとあわてていたようです。来てくださった方、ごめんなさい。あれこれ、加減して作ってみてくださいね。

    ところで、2枚の写真に写っているペットボトルには、自宅で私が入れていった水道水が入っています。稲武地区の中でもおいしいといわれている野入地区にある浄水場から、家の水は来ているので、市街地の水と飲み比べてもらおうと思って持っていったのです。そして、スープとパンの仕込にも使うつもりで。

    で、飲み比べてみました、やはり、違う。交流館の水はカルキ臭が口に残りました。ただし、私が持っていった水は前夜からの汲みおきなので、正確な比較はできていません。あしからず。
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