骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

万寿山松応寺を骨で聴く

2016-02-26 11:38:47 | 骨で聴く巡礼旅
杉並区の高円寺周辺にある寺町には、明治末期から大正期にかけて各地から移転してきたことで形成されてきました。
曹洞宗の寺院が多いのが特徴で、今回訪れたのも曹洞宗の万寿山松応寺です。

戦火で本尊の釈迦牟尼仏を消失したため、現在は聖観音坐像が本尊になっています。
宗様式の濃い仏像で、藤原時代の様式を模したと思われるふっくらした円満なお顔に特徴があるといいます。

寺伝によると明暦2年(1656年)に浅草八軒寺町(現在の台東区寿2丁目)に開創されたそうです。
開山は大松寺(現在の北区西ヶ丘1丁目)5世の悦州舜喜大和尚で、開基は雪岩長卯大和尚です。




まず注目したいのは、山門に掲げる万寿山の山号です。
これは江戸時代の高名な書家高玄融の筆になるものです。

江戸時代には武家寺として栄えていましたが、墓地が狭小なことから大正7年に現在地に移転して来ました。

本尊まで消失してしまった昭和20年の戦火は激しく、寺院は全焼し、寺宝・寺録などの全てが消失してしまいました。
そのため寺院の歴史的な詳細は分からなくなりました。




「農政本論」「経済要録」「開国要論」等の著者で江戸時代の農政学者佐藤信淵(1850年歿)の墓があるもの特筆すべき寺院です。

現在では住宅街と一体化した寺町ですが、やはり何となく空気が微妙に異なるように気がします。
それでも耳に入る音は都会のものです。
ここは耳だけでなく骨からも脳に音声を伝えるということで、骨伝導の出番です。
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