(1)選挙を有権者は政党で選ぶのか候補者で選ぶのか、政権選択選挙(衆院選)は別にして地方選では候補者も広く支持を集めるためにほとんどが無所属で立候補するので、基本的に有権者は候補者の主義、主張で選ぶことになるだろう。
地方選の場合は複数政党相乗り推薦が主流なので、有権者は政党では選択するのはむずかしい。
(2)今年の統一地補選では維新の躍進が目立ち、前半の奈良県知事選に続いて衆院和歌山1区補選でも勝利して、関西圏大阪を中心核としてアメーバのように密着型の支持拡大、ひろがりをみせている。
地方選は地域密着型の選挙になるので地方自治体間の関係、つながり、連携、協力、交流の影響も強く働いて、アメーバのように地域に支持勢力が浸透していく傾向をみせている。
(3)この維新の動きはかなり本格的な流れになってきているので、この流れが続けば09年民主党政権が誕生した統一地方選での躍進がその後の衆院選の勝利に結びついた経過に似てきた。大阪維新の会がなしえなかった大阪都構想の挫折から、今度は日本維新の会として国政政党として政権を目指す方針の転換だ。
(4)大阪維新の会は大阪都構想を目指す大きな政治政策目標はあったが、日本維新の会は国政政党として何を目指すのか明確でなく、国会活動でも憲法改正に前向きな以外は目立った主義、主張、活動もなく、執行部体制もまだ政権を目指す人材はそろっていなくて自民党に代われる消去法による期待の政党名が先行している印象だ。
(5)同時に実施された衆参5補選では自民党候補者が4勝して改選前から1議席伸ばして面目は保ったがほとんどが僅差の勝利で、少ない選挙区での多彩な候補者選びが何とか功を奏したという戦術の勝利で岸田政権の支持回復というところまではいっていないものだ。
(6)政治の構図、図式(political diagram)は、岸田政権と野党維新対抗軸で動く気配だが、岸田首相には5月のG7広島サミットに解散総選挙というダイナミズム(dynamism)があり、通常国会終盤から今年後半にかけて防衛費増額、少子化対策倍増の財源問題の波乱も含めて政治上は何が起きても不思議ではない未曽有の世界に入る。