(1)英国のビートルズは米国の音楽の上を行く音楽革命をもたらしたが、米国の音楽というのはやはりすごいなと思うことがある。ウェイン・ショーター(サックス)、トニー・ウィリアムス(ドラムス)など超一線級のジャズミュージシャンは10代でいきなり出てきて、当時のたとえばアート・ブレイキー(ドラムス)、マイルス・デイビス(トランペット)など超一線級のジャズミュージシャンのバンドに参加して、参加できることさえ異次元の世界だがそこで堂々と渡り合って演奏していること(ライブ盤)に驚かされ、あっけにとられる。
(2)ジャズの世界のことだが米国の既成概念にとらわれない、いいものはいいと素直に認める、受け入れる世界観がよくわかる。音楽に限らずに経済、科学、スポーツなど先端的分野で世界をリードする底力、能力をみせつけられる原点、ダイナミズム(dynamism)をジャズ音楽の垣根のない、いいものはいい自由性、創造性、発展性、破格性(extraordinariness)、破壊性(demolition)に見いだせる、感じるものだ。
(3)米国では随所にジャズに根差した都市があり、ジャズが市民の日常生活の基盤(platformer)にあり、そこに生まれてジャズの歴史、音、リズムにいつも触れて、囲まれて育ち10代からジャズで活躍する素地があるうらやましい国だ。
一方で米国の自由性、創造性、発展性は特異性の世界の中で麻薬におぼれた社会悪の常態化を招き、奇行、奇人伝説も聞く。
(4)超人的、超越した人の普通でない生活、素行、行状もそれで他人を傷つけ、搾取することがあっては幻滅だが、自分の健康をむしばみ、自らを傷つけながらジャズ演奏に関しては超人的、超越能力を発揮し続けるところに自滅型、破天荒な人生がなぜか共感性がある。
(5)一時は麻薬におぼれながら廃人同様になりながらも追随を許さないジャズ演奏の卓越した演奏を続け、その演奏スキルにほれ込んでの周囲の励ましのなかで治療を続けながら健康を回復し歴史に名前を残したジャズミュージシャンの生身の人間性を聞くところが懐(ふところ)の奥深い米国ジャズだ。