(1)中国と台湾の関係、位置(地理)は米国とキューバの関係、位置(地理)とよく似ている地政学的に同時関係にある。1962年に当時ソ連のフルシチョフ首相が米国直下のキューバにミサイルを持ち込もうとした時は米国ケネディ大統領が米軍による海上封鎖の強硬姿勢を示して阻止し、フルシチョフ首相もミサイル持ち込みを断念した。
(2)米国とソ連の核戦争かといわれたキューバ危機で、ケネディ大統領の勇気ある決断、行動が称賛された。台湾海峡の安全航行維持の台湾を巡っては米国が台湾に兵器供与など軍事支援、協力をして、昨年当時の米国ペロシ下院議長が訪台した時には中国は台湾周辺海域で大規模軍事演習を実行して米国に抗議、威かくして日本のEEZ内、与那国島近くにもミサイル5発を撃ち込んだ。
(3)中国としては台湾を「ひとつの中国」として統一解放を目指しており、米国も日本も「ひとつの中国」を容認しながら台湾擁護に関与することに対して中国は威かく、警告しているもので、キューバ危機でのケネディ大統領の海上封鎖が称賛されるのであれば中国が米国の兵器供与の台湾擁護に反発、対抗するのもあり得る話で、米国が中国の台湾軍事侵攻、統一解放を批判、非難するのも歴史的事実からみれば説明がつかないことになる。
(4)米国はケネディ政権時代にキューバ侵攻を計画し、失敗に終わった歴史経過もある。米国とキューバ、中国と台湾の関係を地政学的に似ていると書いたが、決定的に違うことがある。
いうならキューバのカストロ政権は革命闘争による国内統治の正当な政権樹立の過程があり、台湾政府は毛沢東革命軍に追われての中国本土からの逃亡政権で正当な政権樹立過程にないという歴史事実だ。
(5)それが中国の主張する「ひとつの中国」論であり、米国も日本も「ひとつの中国」容認にいたる理由だ。しかし現在の台湾は自由主義国家として国交樹立をする10数か国があり、半導体産業では世界有数の産業国でもある。
中国の「ひとつの中国」論もわかるが、現在の台湾を中国が軍事力で侵攻、力づくで統一解放することが正当化される時代でもない。
(6)中国としては台湾を軍事力、力づくで解放統一するのは蒋介石一派が革命闘争に敗れて台湾に逃れた直後でなければならなかったし、毛沢東解放軍が広大な中国本土の掌握、制圧に時間と労力が必要であったことが今日的1国2制度のジレンマを生んでいる。
もはや中国の軍事力、力づくでの台湾統一解放の正当化はみえない。