いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

シャープと東芝の破たん。 breakdown of Sharp and Toshiba

2017-04-03 19:37:16 | 日記
 (1)シャープに続き東芝も経営破たんを招き、これまで築き上げてきた独自の技術開発事業を切り売りして再生を目指す。シャープも東芝も家電事業として日本の高い技術開発力、品質力、販売力で日本を代表する優良企業となり、その後韓国、中国の新興国の躍進著しい家電業界との価格競争で遅れをとり業績不振が続き、外部の資金供与、協力に再生をはかる転落を導いた。

 (2)東芝が米国原発事業で失敗したのは象徴的な出来事だった。福島第一原発事故により国内原発は一時すべて稼働停止状態に陥り、政府は原発事業の海外輸出、展開を推し進める政策に転換した。

 家電事業の不振により原発事業に再生を求めた東芝は、この政府の政策転換、切り替えに乗って米国原発子会社を買い取り米国原発市場に参入、乗り出したが、米国内原発市場の縮小を見誤り多額の負債を抱えて経営破たんを引き起こした。

 (3)1兆円規模の赤字転落で一企業としては史上最悪、前代未聞の国家的規模の負債ともいえる最悪経営破たんとなった。家電事業として韓国、中国新興国との価格競争で遅れを取ったのも、韓国、中国がヨーロッパ(市場)などとの関税相互撤廃(条約)により有利な貿易輸出環境にあったのに比べ、日本の家電業界は政府の貿易自由化の対応の遅れから恩恵を受けられずに後塵を拝したものだ。

 (4)原発事業も政府とつくり上げた誤った原発神話にもとづき狭い日本国土にぐるりと54基もの原発をつくり上げて、安全対策不足の福島第一原発事故により国内事業基盤を失い、今度は政府の方針により原発海外輸出に切り替えての大負債を抱える経営破たんを招いた。

 東芝自体の企業体質、経営管理能力体制の問題はもちろんあるが、政府の方針に従っての企業経営の主体性(subjectivity)、戦略のなさが経営破たんを招いているのは大きな要因だ。

 (5)政府の経済、貿易政策、方針にほんろうされてきた歴史だ。どうしてこういうことになったのか。安倍首相、政権になって、本来自由で自主的な経済活動に対してデフレ脱却、アベノミクス効果経済回復を口実に政府は官邸主導で介入政策を推し進めて、政経労合同会議で企業の賃上げ要請、設備投資、雇用改善、内部留保の市場還元を進めて、企業の主体性を奪ってきた。

 企業の主体性のなさは市場競争力を奪い、失い、主体的戦略のない商品開発、販売、流通では経営勝算などない経営破たんを招くだけだった。

 (6)企業に本来的なガバナンス(governance)不足の責任はあるとはいえ、政府の介入、方針、政策にほんろうされて主体性を失いハシゴを外されたような経営不振の原因はある。

 安倍首相、政権はデフレ脱却、アベノミクス効果経済回復の成果のために経済活動に政治介入を続けており、シャープ、東芝の経営破たんは短期の政治成果のために将来的な経済活動、企業活力の持続性(sustainability)を削ぐ恐れがあることを示唆するものだ。

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