いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

同じ過ちー大型爆弾。 one and the same fail - a huge bomb

2017-04-15 19:43:20 | 日記
 (1)トランプ大統領が米軍空母群を北朝鮮近海に急きょ派遣したことについて、「無敵艦隊を派遣した。空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」(報道)とメディアのインタビューで述べた。

 一部には「無敵艦隊」は日本語訳の間違いとの指摘もあったが、新聞がそのまま報道しているのでそのとおりなのだろう。「無敵艦隊」といえばかっての海軍王国時代のスペイン艦隊の呼称で有名だが、現在の米軍海兵隊は巨大空母群で核兵器も搭載して戦闘能力も高く「無敵艦隊」時代とは比較にならない強大さ、強力さを誇っているから、トランプ大統領の表現には随分と時代感覚の違和感はある。

 (2)確かに時代感覚のズレから日本語訳に間違いがなかったのか気になるところだが、問題はそういうトランプ大統領の威かく論の方だ。無敵艦隊がトランプ大統領の発言だとすれば、シリア攻撃に続いて返す刀で北朝鮮の核実験、ミサイル発射強行の挑発に対する米国、米軍による軍事的圧力による威かく攻撃を「言葉」で応じたものだ。

 北朝鮮は核実験、ミサイル発射強行による挑発を国営テレビニュースでの最大限のおおげさな表現を駆使した「言葉」でさらに挑発するというやり方で、変な話だがそのおおげさな想像力、空想力の表現力を文学観にいかされれば相当な小説が出来上がるのではないのかと思わされるものだ。
 トランプ大統領もついそのレベルに乗っかっての「無敵艦隊」発言ではないのかとさへ思える。

 (3)ところが、その米軍が今度は13日にアフガン東部でISの地下施設に「大規模爆風爆弾兵器」(MOAB)を投下したと発表した。
 こちらの大型爆弾(a huge bomb)は「爆心から半径600メートル圏内は跡形もなく吹き飛ぶ」(報道)威力で、けっして想像力、空想力豊かなおおげさな表現などではなく、人類にとって脅威となる爆弾兵器が使用された。

 日本人にとっては1945年に米軍による広島、長崎への原爆投下を連想させる脅威と同じだ。

 (4)トランプ大統領は「私が軍に権限を与えた」(報道)とし「新たな成功だ」(同)と記者団に自画自賛した。1945年の米軍による広島、長崎への原爆投下は、米軍の戦争を早期に終わらせる原爆投下正当性論理が今も根強く米国民に支持されており、米国のIS掃討作戦の大型爆弾使用の正当性(justification)にも使われる恐れはある。

 (5)ISがこれほど国際テロ組織として増長した原因はどこにあるのかを歴史的、時系列的に分析することなく、現在のIS脅威論だけでISに対する大規模爆風爆弾兵器(核兵器以外の通常兵器で最も強力といわれている)の使用を「新たな成功」と正当化するのであれば、米国は歴史的な同じ過ち(one and the same fail)、汚点をくり返すことになる。

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