いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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オバマ回顧録。 reminiscences of the ex-president obama

2017-04-10 19:42:54 | 日記
 (1)オバマ前米国大統領は現在、回顧録(reminiscences)を執筆中でしょうか。少し前に相当高額な契約で回顧録を出版する話題が報道されていた。オバマさんがその高額な回顧録執筆料を何に使うのか関心のあるところだ。

 (2)米国史上初めての黒人大統領として「当選」して、その米国民の比較高い期待の中で誕生したオバマ大統領は、09年就任早々にプラハ訪問で「核のない世界」宣言を打ち出して高い米国理想主義を掲げて船出をしたが、一方で「強い米国」を願望する根強い米国民社会ではバックボーン(back bone)とはならずにロシアとの核軍縮交渉は進展せずに、黒人層を中心として弱者社会に目を向けた医療保険制度改革(オバマ・ケア)はこれまた米国社会の歴史、伝統、文化観(自分のことは自分で責任を持つ)の中で理解をなかなか得られずに、共和党優勢の議会運営の中で苦慮して四苦八苦の末にようやく成立実現させた。

 (3)トマ・ピケティさんが「21世紀の資本」の中で主張した世界的な格差社会の是正の必要性と同じく米国特殊格差社会の解消に取り組んだものだが、就任当初はリーマンショックの後遺症の中で国内経済の低迷が続き、低所得者層のために国民の自己資本を使う政策批判も強かった。

 米国民社会のえん戦気分の中でイラク内戦からの米軍事力撤退を決めて、シリア内戦でも直接軍事関与をしてこなかったが、シリア内戦で化学兵器が使用されたことから地中海に米軍戦艦を集結させてシリア空爆体制をとりながら、ロシアの調停に乗って空爆攻撃を直前で回避してその後シリア内戦からも手を引くことになる。

 (4)イラク、シリア内戦からの米軍事力の撤退がその後ISなど国際過激テロ組織を増長させたとの批判の中で、オバマ政治は根強い「強い米国」を望む米国民社会からは「弱腰外交」との批判を受けて支持率低下を招いた。

 シリアの後ろ盾のロシアにシリア国内化学兵器全廃をまかせたことが、今回の再びの終わりのないシリア内戦での化学兵器使用を招いたことにつながったともいえる責任は、ロシアともどもオバマ外交政治にはある。

 (5)それでもオバマさんは再選を果たして8年の大統領任期をまっとうし、任期後半では国内経済も急カーブの回復傾向をみせた。
 黒人大統領として人種差別問題の解消も期待されたが、人種問題は米国伝統、文化の銃社会依存の影響もあってまた白人警官による黒人排斥が社会問題化してかえって人種対立激化を招いて、銃規制も必要性を訴えながらも米国伝統、文化、社会(もっと国民が銃で自分を守ればいいとの意見の中)では理解を得られていない。

 (6)オバマ前大統領が回顧録で何を語るのかは注目されるが、米国伝統の高い理想主義を掲げて米国の良識を世界に示しながらその米国社会の伝統、文化観との落差を解消できずに、自らの理念、理想のダイナミズム(dynamism)とはならなかったのは残念だった。

 オバマ政治の8年間がパラドックス(paradox)としてトランプ大統領を誕生させたともいえる今日的米国政治状況を招いた。

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