いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

値下げと減税。 a price reduction and a tax reduction

2017-04-22 19:45:31 | 日記
 (1)黒田東彦日銀総裁の任期終了が迫って、後任人事(再任も含めて)の話も出始めている。安倍第二次政権の誕生に合わせて安倍首相の意向でリフレ派の黒田東彦さんが日銀総裁に就任して、これまでの2倍のカネを市場に供給する異次元の金融緩和策を実施して期待込みの円安株高効果を引き起こして、当初は大企業中心に為替利益、自然業績回復を果たした。

 安倍首相のデフレ脱却のシナリオは物価を押し上げて企業利益を上げて、その利潤を国民生活、地方に還元するトリクル・ダウン(trichel down)というものだが、黒田日銀総裁が掲げた15年物価上昇2%達成目標は実現せずに、その後も目標達成の先送り、先送りを続けながら実現の目途もたたない中でついに任期終了を迎えることになった。

 (2)市場では原油安などを背景に、逆に物価値下げ(a price reduction)傾向も見え始めている。国民、消費者にとっては物価が低いことは何も問題はなく、問題は企業がやたらと値下げ競争に明け暮れてスパイラル(spiral)な無理な物価下落を招いてデフレ経済に陥ることだろう。

 企業側の論理、経済理論の問題であって、安倍首相、黒田日銀総裁のように最初から物価上昇2%目標を掲げられて国民、消費者がうれしいはずもないことだ。
 現実に円安株高効果は大企業、輸出産業中心に利益(profit)効果はもたらしたが、パラドックス(paradox)として輸入原材料の高騰を招いて消費者の購買意欲を低下させて、これが物価上昇2%目標達成に弊害になったといわれている。

 (3)物価値上げで企業利益を上げて賃金、国民生活に還元するといっても大企業中心のサイクルのことであり、日本経済の大多数の中小企業、そこに働く多くの国民にとってはそんなスパイラル利益にあずかることなどないのが現実だ。

 その多くの人たち、国民生活にとっては物価値下げ効果の方がよほど身になるものだ。経済回復は安倍首相が唱えるように上(大企業)からの利潤を下(中小企業、国民)が享受するようなトップダウンではなくて、底からの拡大、ボトムアップがダイナミズム(dynamism)だ。

 (4)特に日本経済のように中小企業、そこに働く国民が大多数の社会構造では、底辺に光を当てた経済拡大構想が必要だ。
 減税(a tax reduction)は古い経済論理として富裕層だけが高い減税効果を受けるとして今では反対する意見も多いが、そうとは思わない。

 減税効果は収益、所得の高い国民層には比較高いかも知れないが、だからといって平均的国民所得層に合わせた減税効果が低下するものではなく効果は等しく保障されて、富裕層に対しては社会還元効果を期待する、ないしは制度的に義務付ける対応策はある。

 (5)国民投資(税負担)が有効に活用されているかといえば、毎年の会計検査院の調査では政府機関、公的機関のムダ使い、不正使用は数兆円にも及び後を絶たずに社会問題化している。

 減税も実質効果以上に政治の考え方、信頼、国民投資、負担への配慮、工夫が経済を支えるダイナミズムとなるものであって、短期に効果を上げる、期待するというよりは一定期間、長期的視野で持続可能(sustainable)な経済効果をはかるダイナミズムになりうるものだ。

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