いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

オバマ大統領の貢献。 contribution of president obama

2013-09-26 19:43:34 | 日記
 (1)シリア内戦で化学兵器使用を巡るオバマ大統領の軍事介入、外交方針が一貫せずに、国内外からその指導力の評判がすこぶる悪い。
 シリア国内で非人道的化学兵器使用が報じられると、オバマ大統領はこれをシリア政府が使ったと断定して直ちに国連安保理の決議なしにシリア空爆による軍事介入を宣言したが、英議会が軍事介入に反対して英国の参加を否決して、さらに米議会と国民からのシリア軍事介入への反対の声が多くなり、オバマ大統領は一転米議会の承認、協力を求める政策に転換して議会説得対策に乗り出した。

 (2)米国は国内財政不安の中で、軍事費の削減が影響して中東紛争問題には介入しない外交政策を維持してきた。中東、北アフリカ内戦にあたっては、かっての植民地支配国の仏、英が軍事介入して影響力を示してイスラム過激テロ組織との対戦が続いていたが、米国は一歩引いた存在としてこれに参戦してこなかった。

 ところがシリア内戦で非人道的な化学兵器(サリン、毒ガス)が使用されたことによって、世界の189か国が加盟する化学兵器使用禁止条約によって化学兵器の廃棄を目指す国際合意が脅(おびや)かされたことに対する制裁措置と、隣接する中東の強い米国同盟国のイスラエルの立場、安全擁護する危機感から、今や唯一の覇権国家であり世界の警察国家を自認する米国のオバマ大統領は地中海沖に米軍艦船を集結させて、空爆によるシリア軍事介入の制裁方針を言明していた。

 (3)この米国によるシリア軍事介入には、シリアの後ろ盾のロシア、中国が対抗措置を取ると強硬に反対をして対立が続いていた。国連安保理の機能不全(拒否権)を理由にオバマ大統領は国連決議なしの早期のシリア軍事介入制裁を言明していたが、米国内の議会、国民の軍事介入反対の声に押されて議会承認、説得を求める方針転換の中で事態は時間が過ぎることになる。

 シリア国内での国連調査団による化学兵器使用調査は、米、仏による軍事介入が迫る中で調査を切り上げ退去した。事務総長への報告では、シリア政府の化学兵器使用を示唆するものとなって、国連安保理で協議が始まる。

 (4)米国、ロシアはこの問題で協議は続けていたという報道もあるが、そうこうしている内にロシアからシリア政府の化学兵器を国際管理下に置き完全廃棄する調停案(mediation plan)が示されて、米国はこの提案に乗って軍事介入を停止することとした。

 シリアの後ろ盾のロシアの調停案でもあり、その後シリア政府もこれを受け入れることを表明して、この問題はロシアペースで決着することになった。
 米国、オバマ大統領にとっては早期のシリア軍事介入、制裁の思惑が外れて、一方、軍事介入によるシリア内戦の拡大を危惧する国際社会にとってはロシア調停案が実行されればこのうえない安全、最良策となって、すっかりオバマ大統領の立場、指導力が批判、下落する結果となった。

 (5)しかし、この「結末(conclusion)」も米国、オバマ大統領が当初から関与をせずに一線を引いていた中東紛争問題に化学兵器使用により毅然と早期軍事介入、制裁の方針を宣言したことが、シリアの後ろ盾のロシアの調停を促(うなが)したことは間違いないことだ。ロシアはシリア国内の化学兵器は反政府勢力が使用したと主張している。

 この結末は、シリアの後ろ盾のロシアにしか出来ないことでもあり、結果としてそれを動かしたオバマ大統領の指導力が問われる、問題にされるものではない「貢献」(contribution of president obama)効果であったのだ。
 最早、米国も覇権国家、世界の警察国家から降りて、グローバルな協調体制のもとに世界平和に貢献すべき時だ。

 

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