いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

心証的楽観論の五輪。 olympics of impressionable optimism

2013-09-16 19:39:58 | 日記
 (1)安倍首相がブエノスアイレスでの2020年東京オリンピック招致最終プレゼンで福島第1原発事故汚染水漏れについて、「湾内で完全にブロックされている。コントロールされている(under control)」と発言したことがどういう見方で意味を持つものなのかの判断、解釈が、国際公約とともに当然のように国内政治問題化する。

 最終プレゼン前の日本招致委員会の記者会見で各国記者から汚染水漏れ問題の指摘が続いて同委員長が適切な回答を述べることが出来ずに国内被災地住民からも反発を買ったが、日本招致委員会からは最終プレゼンで安倍首相から「適切」な説明を期待する声があがっていた。

 (2)この段階では、安倍首相も現実を無視したIOC委員向けの印象的、楽観的な見方、発言は世界が注視する一大イベントのオリンピック開催決定プレゼンでは、首相の責任ある立場上からも容易に現実を直視して踏み込めないのではないのかとの観測を持っていた。国際社会での楽観論(optimism)表明は国内に戻れば責任問題になるのが常だ。

 日本招致委員会が票獲得のために安倍首相に期待した楽観的、印象的な見方は、国内事情、影響を考えれば首相としても容易にとりようもないというのが一般的、常識的なありうるべき見方だ。

 (3)最終プレゼンでの安倍首相は、具体的な数値は取り上げずに、汚染水問題に政府が予算化も含めて安全対策、解決に積極的に乗り出す姿勢であることを強調するわけでもなく、冒頭の「湾内で完全にブロックされている。コントロールされている。」心証的な(impressionable)発言となった。

 この発言は当然のように国際公約との認識を持たされて、国内では汚染水が地下水にも浸透影響を与えて海域への広範な流出が懸念されて、さらに除染水が側溝に流れて海域流出もあらたに問題化して深刻な状態が伝えられている。

 (4)直近のメディア世論調査では、この「安倍首相の発言」の適切性について66%が「そうは思わなかった」と回答している。報道によると、この安倍首相の最終プレゼンでの発言がIOC委員の判断を東京開催に向かわせた要因ともいわれている。

 2020年東京オリンピック開催決定をほぼ同じ68%が「良かった」と回答しているから、安倍首相の発言の精度、現実とのかい離、深刻さも国民の理解として安倍首相の発言が現実を反映したものではないがその「責任」を明確にしたものであり、それが開催決定につながった結果として「そうは思わなかった」が「良かった」とのともに60%後半台のギャップ回答(gap answer)になったと見る。

 (5)汚染水問題で、国は費用にこだわらずにあらゆる手段を講じるべきだと86%も回答している。政府が「責任」を持って汚染水漏れ問題を「完全にブロックし、コントロール」『すべき』だとの国民の意思だ。

 オリンピック開催決定の最終プレゼンが楽観論を印象付けるものであっていいとは思わないが、自ずと国会審議、国民への説明精度とは一線を画した心証的なものでもあり、当然のように国際公約として7年後の東京オリンピック開催までの「完全にブロックし、コントロールされる」べき政治責任を表明したということだ。

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