オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

コインマシンやギャンブルゲームやカジノの歴史的エピソードとか、時々カジノ旅行記とか、たまにスポーツやマンガとか。

ラスベガス半生中継・2017年9~10月 (4)10月3日(火)G2E初日

2017年12月10日 17時41分42秒 | 海外カジノ
【お詫び】 多忙のためなかなか次の原稿に着手できず、更新が遅れてしまいました。もし、多少なりとも拙ブログの更新をお待ちになっている奇特な方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。

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今日からサンズ・エクスポセンターでG2Eショウが開幕します。会場を擁するヴィニーシャン(またはパラッソ)は、ショウ期間中は駐車場が満車となることが良く有るので、ワタシはT本を同乗させた車で、始めからヴィニーシャンとはストリップを挟んだ向かいに建つtiに向かいました。本当は、ヴィニーシャンの並びとなるハラーズやウィンに停めた方がいくぶん楽なのですが、これらは最近、駐車場を有料にしてしまいました。tiは、ストリップエリアに残された、数少ない駐車場無料を維持するカジノホテルです。

それにしても、ただでさえ諸物価が上昇している中、度重なる値上げでいいかげん限界に達しているリゾートフィーだけでも腹立たしいのに、更に駐車場まで有料化するとはなんと強欲なのでしょう。こうなったらストリップエリアなど余程の事情でもない限り近寄りたくもねえや、という気になってきます。

さて、今年のG2Eショウですが、業界の苦悩がより一層鮮明になってきているように感じました。

スロットマシンは、長い間もっぱら年配の婦人向けのゲームと認識されていました(スロットマシンのテーマにお色気モノが殆どないのもそれが少なからず影響している)。顧客層を拡大したいスロットマシンメーカーにとっては、このイメージを払拭し新しい客層を開拓することが長年の課題となっており、特に若いプレイヤーをどうにか取り込もうという掛け声だけは、ずいぶん以前から行われています。

その一環として、「Skill Based Gaming(結果が技量に基づくギャンブルゲーム)」を、業界が目指す新たな方向性のひとつと定めて行政に働きかけ、ネバダでもスキルゲームによるギャンブリングが許可されるようになったのが一昨年の2015年のことでした。

この流れを受け、一昨年の2015年に開催されたG2Eショウでは、いくつかのメーカーがSkill Basedのスロットマシンを大々的に発表してきました。そこでは、業界最大手であるIGTはスマートフォンのゲームアプリのようなゲームを出展しました。SG社(正確には、同社の子会社となったバーリー)は、1978年に大ヒットしたビデオゲーム「スペースインベーダー」をテーマに、スペースインベーダーを遊ばせるボーナスゲームを搭載したビデオスロットを発表しました。コナミも、1981年に発売し特に北米で大ヒットした「フロッガー」というビデオゲームをモチーフにしたスロットマシンや、日本では「ユビート」と言うタイトルでヒットした音ゲーをゲーミング仕様に作り替えたものを出展しました。アルゼ社などは、たった2台のSkill Basedマシンのために特別なブースを設けて、原則として商談客しか試遊できないようにさえしてアピールしました。

しかし、「Game Of Skill(技量のゲーム)」と言う文言が「Game of Chance(偶然のゲーム)」の反対概念とされてきたことを見ても明らかなように、「Skill」はギャンブルに馴染みにくい要素であることは、業界人であればだれもが承知していたはずです。あれから2年を経た現在、曲がりなりにも普及していると言えるものは、バーリーのスペースインベーダーくらいで、カジノでは依然として「Skill Based Gaming」自体が普及しているとはとても言える状態ではありません。

期待を集めつつも実は非常に難しい分野のSkill Based Gamingは、今年は各社ともテンションが下がってきているように見受けられました。IGTは、昨年までとあまり変わらない出展内容で、とりあえずスキルゲームの開発を継続していることがわかる程度に過ぎない出展内容でした。コナミは、音ゲー「ユビート」のゲーミング仕様「Beat Square」を8台リンクして、最近日本でも注目されるようになってきた「e‐スポーツ」のような形のデモンストレーションで大規模にアピールしていましたが、来場者にはまだ将来の成功を確信できるほどではないのか、コナミ自身が期待しているほどの注目は集められていないように思われました。アルゼに至っては、クラップスやルーレットなどのテーブルゲームの自動化を進めたマルチプレイヤーゲームに傾注し、過去にスキルゲームに手を出したことなどなかったかのように完全に黙殺していました。

そんな中でただ一社、「Gamblit」と言うメーカーだけは気を吐いていました。元々はPCやモバイル用ゲームの開発をメインとする会社ですが、Skill Based gaming専門メーカーとして昨年からG2Eショウに参加しています。今年の目玉は4人同時対戦型のパックマンで、まるでパーティー会場のようなブースではパックマンの着ぐるみキャラクターが愛想を振りまいていました。これを見ると、Skill Based gamingの未来は明るいように勘違いしてしまいそうですが、Gamblitの製品は、「Cannonbeard's Treasure」や「GAMBLIT POKER」などが既にいくつかのカジノに導入されているものの、まだ「物珍しい新奇なゲーム」の域を出ておらず、一般的な存在とはなっていません。


①Gamblitのブースの外観。 ②4P対戦パックマン。アーケード用としては既に世に出ているが、ギャンブル仕様としたときのプライズマネーをどう調達するのか今一つわからない。 ③他に出展されていたゲームも、最終的にギャンブル用としてどのようなシステムになるかまでは明らかになっていない、「参考出展」止まりのものが多かった。 ④カクテル筐体のゲームもいくつか出展されている。このうち、少数はいくつかのカジノに導入はされている。


Skill Based Gamingの出展いくつか。(1)IGTのブースの一角に設けられたスキルベースドゲームコーナー (2)IGTのピンボールをモチーフとしたスキルゲーム。(3)やはりIGTの、筐体が搖動するレースゲーム。どの辺がギャンブルになっているのかわからない。 (4)Gamblit社のその他のスキルゲーム。ほとんどは参考出展レベル。 (5)NEXT GAMING社では、「TAITO」と「ATARI」のロゴを掲げて、アルカノイド、パズルボブル、アステロイドをテーマとしたビデオゲームを出展していたが、まだどのようにゲーミング機とするかは定まっていないらしい。 (6)コナミの「Beat Square」。e-スポーツの素材にはなりうるかもしれないが、継続的に参加するプレイヤーがどれだけ現れるか。

業界が目指すもう一つの方向として、「VR(バーチャル・リアリティ)」があり、やはり一昨年よりいくつかのメーカーが試行錯誤を続けていますが、しかしこれはSkill Based Gaming以上に険しいようです。VRにも、一般にすぐ想起されるヘッドマウントディスプレイを使用したものと、日本でいう「体感ゲーム」のように搖動する筐体でゲームをさせるものの二通りの方向がありますが、いずれも筐体の大型化や高額化という問題は半ば無視されたままで、さらにゲーム内容にはSkill Based Gamingと共通する難しさがあり、スロットマシンの新しい形として定着するには突破しなければならない壁がいくつも残されています。立体視(3D)のビデオスロットマシンが裸眼で実現できるようになってやっとそこそこ普及するようになってきたように、VRも同様にもっと簡単に実現できるようになって初めてブレイクする余地が生まれるものと思います。


IGTからVRとして出展されていたゲーム。しかし、昨年、一昨年ほどの熱気は感じられない。

というわけで、期待ばかり膨らむものの一向にブレイクスルーの道筋が見えないSkill Based GamingとVRの将来はまだまだ暗いと言わざるを得ないように思います。ただ、Skill Based Gamingについては、「eスポーツ」という分野でいくらか使えそうな予感がしないこともないというくらいです。

◆本日の夕ごはん
 ショウがはねると場内や道路が混雑するので、閉場前の4時にT本ほか現地で合流したかつての同僚たち3人と待ち合わせた後、西スプリングマウンテン通りにある寿司レストラン「Sushi Takashi(寿司隆)」に行きました。ラスベガスまで行ってなんでわざわざ和食を、という意見もごもっともだとは思いますが、日本の文化が異国においてどんなメタモルフォーゼを起こしているかという興味もありますし、また、ラスベガスには値段の割にレベルの高い寿司屋が結構多く、特にサケの刺身は日本で食べるよりも圧倒的においしい(拙ブログでは、過去にも同じことを言っていたかもしれない)ので、サケ好きのワタシとしては「寿司こそラスベガス」とさえ思っていたりします。

写真:
ワタシを含む3人が注文した10品のコースのうちから4品。他に焼き物や椀物などが付く。オプションが多く、注文すると、前菜、焼き物、ごはんもの、寿司、てんぷらなどについてメモをする用紙が渡され、それぞれ希望するものにチェックを付けるという、日本のラーメン店「一蘭」を思わせるシステム。大食いと言われるワタシでもかなり腹が膨れた感じがするお値打ちメニュー。

この店には、「Salmon Overflow Bowl」という、サケの刺身が溢れるほど乗ってくる丼ものもあります。サケ好きのワタシとしては当然大いに興味があるのですが、サケの刺身1種類を大量に食べるというコンセプトに二の足を踏んでいたら、同行者の一人がこれを注文してくれました。


Salmon Overflow Bowl。7,8割の刺身を食べた時点で、「刺身のお代わりはいかが」と言われたが、さすがに辞退していた。

10品コース、Salmon Overflow Bowlともに、飲み物1品に税金13%、チップ約20%込みで一人およそ$50でした。