水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(190)

2016-05-09 10:54:05 | 古今和歌集
1043 いでてゆかん人をとどめむよしなきに 隣の方に鼻もひぬかな
題しらず
よみひと知らず

(わたくしのいとしい、)人が出ていこうとなさっていますが、引き留める手立てがありません。お近くのどなたかが、くしゃみでもしてくださらないかしら。


この時代の男女関係は、男が女の家を訪ねることを基本としていたそうだが、この歌は、たぶん朝でしょう、出ていく男との別れを惜しむ気持ちを素直に詠ったもの、と解釈しました。


いまの世では、くしゃみをすると、「誰かうわさしているかも」なんて言われることがありますが。

古代では、凶事の前兆と考えられていたようです。
ですから、どこかからくしゃみが聞こえて来たら、「まずい!今日はこのまま居るぞ」ということになることが期待されるわけです。


くしゃみにはもうひとつ意味があって、それは、くしゃみが出た時以前の言葉が全部「ウソ」と解釈されていたらしい、ということです。
つまり、隣からくしゃみが聞こえてくることが大切なのであって、これが、ご本人たち起源のくしゃみだととんでもない方向へ話が進展するかもしれない、ということになるわけです。

つまらぬ歌でも、ちょっと掘り下げると、フムフムとうなる状況が出てくることがあります。