水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

古今集(55)

2015-01-27 09:47:11 | 古今和歌集
90 故郷(フルサト)と成りにしならの宮こにも 色はかはらず花はさきけり

ならのみかどの歌

平城天皇 大同天子


私にとって故郷といえる平城京にきてみました。昔と変わらぬ花が咲いていて(他はすっかり変わった)感慨ひとしおです。


平城京から長岡京に遷都した(784)後、平城京を訪れて詠んだ歌
平城天皇:774~824、キレモノであったようだ。810年即位、814譲位。后とした人の母親(藤原薬子)を溺愛し、多くの問題を起こす。810年、薬子自殺、天皇僧籍に入る。

古今集(28)(昨年の11/10)の記事で、次の歌を文武天皇の歌としたが、それは間違いのようだ。一般に、この時代、「ならのみかど」というと平城天皇を指すそうだ。

283 竜田河もみじ乱れてながるめり わたらば錦中やたえなむ


古今集にはもう一首、平城天皇の歌があって、それが次。

222 萩の露たまにぬかんととればけぬ よし 見ん人は枝ながらみよ

ある人のいはく、こお歌はならのみかどの御うたなりと


萩の葉に浮いた露玉を、きれいだからといって、(数珠のようにしようと)取ろうとすると消えてしまいます。だから枝ごと見るようにせねばなりません。


三首とも、実生活の激しさをうかがわせない、平明で素直な歌だと思います。

興味魅かれる人物です。